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アスピリン喘息(NSAIDs過敏症、不耐症)

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疾患

・アスピリンおよびアスピリンと同様な作用がある解熱鎮痛剤(解熱剤、鎮痛剤、風邪薬、坐薬、湿布など)などによって誘発される喘息。

・アレルギー反応ではなく、COX1阻害作用を有するNSAIDsに対する過敏症状を呈する非アレルギー性過敏体質である。

・最近では、アスピリンだけに対する過敏症と混同されやすいため、「NSAIDs過敏症(不耐症)」と呼ぶ方が良いともされている。

・成人発症が多い

・成人喘息患者の約5~10%を占める

・ほとんどの症例で「好酸球性鼻茸副鼻腔炎」を合併する

・原因となる薬剤の服用から通常1時間以内に,鼻閉,鼻汁,咳,息苦しさなどの症状が出現する。

・50%はステロイド依存性の重症喘息となる

 

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機序

・アスピリン喘息の過敏症状がでる明確な機序は不明である。

・NSAIDsは,アラキドン酸カスケードにおいてプロスタグランジンやトロンボキサンの合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase:COX)を阻害する。

・COXには1と2の二つのアイソフォームがあり、NSAIDsはCOX-1とCOX-2の両者を阻害する。

・COX‐1はすべての組織に常時発現しており、血管の恒常性、胃腸粘膜の血流や増殖、腎機能、血小板機能に関与している

・COX-2は炎症性サイトカインの刺激を受けてマクロファージ、線維芽細胞、滑膜細胞などに発現誘導され、血管拡張作用などを有し炎症促進作用を持つ。

・NSAIDsによりCOXが阻害されると,アラキドン酸カスケードがロイコトリエン系に傾くために,ロイコトリエン類の産生が増える(下図)

・NSAIDsのCOX-1阻害作用によって、気管支拡張に関与するプロスタグランジンE2(PGE2)の合成が低下することが一つの要因と考えられている。

・またPGE2の低下によってマスト細胞が刺激され、気管支収縮作用、血管拡張作用、血管透過性亢進作用にかかわるロイコトリエンが過剰に産生されることも原因と考えらえる

※ ロイコトリエン類は炎症反応において重要な役割(好中球走化性の活性化,気管支収縮作用,血管拡張作用,血管透過性の亢進など)を有し、作用が過剰になると喘息を誘発する(ロイコトリエン拮抗薬が気管支喘息の長期管理薬として使用されていることからも,ロイコトリエン類が過剰になると喘息を誘発してしまうことは想像できる)。

 

参照(このサイトから引用):https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2020/PA03389_04

 

COX-1とCOX-2

・COX-1は、細胞に恒常的に存在し、胃粘膜保護、腎機能維持、血小板凝集、気管支拡張に関連するプロスタグランジンE2(PGE2)を産生し、主に生体を守る機能を有している。

・これに対してCOX-2は、炎症部位において各種サイトカインなどの刺激によって誘導され、主に炎症や疼痛に関与するPGを産生する。

・このことから、抗炎症作用を目的としてNSAIDs使用する場合には、COX-2のみを選択性に阻害する薬剤が理想的と考えられ、実際、COX-2選択性が高い薬剤では、胃腸障害の副作用(COX-1阻害が原因と考えられる)が発現しにくいことが明らかになっている。

・また「COX-2選択的阻害薬」の場合はCOX-1経路でプロスタグランジン類が産生されるために,全てがロイコトリエン系に傾かず,アスピリン喘息のリスクが下がる

・そのためアスピリン喘息患者の場合,COX-2選択的阻害薬のセレコキシブ(セレコックス®)や、NSAIDsとは異なる作用機序で鎮痛・解熱作用を示すアセトアミノフェン(カロナール®)は使用可能である。

 

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急性期治療

気管支拡張薬吸入

1時間までは20分おきに反復し、以降は1時間に1回のペースで吸入

 

ステロイド

・内服可能な状態であれば、重症化する前にプレドニゾロン内服を考慮する

・コハク酸エステルステロイド(サクシゾン®,ソル・コーテフ®,水溶性プレドニン®,ソル・メドロール®など)は過敏症の危険性があり禁忌。

・リン酸エステルステロイド(水溶性ハイドロコートン®,デキサメタゾン(デカドロン®)、ベタメタゾン(リンデロン®)など)を使用すること。

・1~2時間以上かけてゆっくり点滴静注が望ましい

 

 

 

 

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