スポンサーリンク

職場における健康診断

スポンサーリンク

職場における健康診断の種類

・労働者の健康診断は、「健康管理」の一部として行われる

・労働者に対して事業者が実施すべき健康診断は、大きく「一般健康診断」と「特殊健康診断」に分けられる(労働安全衛生法第66条)

・事業者は、健康診断を実施している医療機関に健康診断の実施を委託する必要がある

 

健診機関の選定基準

全国労働衛生団体連合会(全衛連)

総合精度管理事業

・健診施設が実施する健康診断が精度の高いものとなるよう、総合精度管理事業実施要綱に基づき、「総合精度管理事業」を実施しています。総合精度管理事業では、「臨床検査」、「労働衛生検査」、「胸部X線検査」、「胃X線検査」、「腹部超音波検査」について各々の検査が適切に行われているかどうか評価

・企業・事業所が健康診断実施機関を選定する際の基準となる

 

日本総合健診医学会

優良認定施設一覧

 

日本医師会 臨床検査制度管理調査

令和3年度臨床検査精度管理調査結果報告書抜粋版 参加施設一覧 

 

一般健康診断と特殊健康診断

1)一般健康診断

・主に労働者の一般的な健康障害を調べるために行う健康診断のこと

・事業者は対象となる労働者に一般健康診断を実施しなければならない

① 雇入れ時健康診断

・雇い入れ時(雇入れ時3か月以内の健診結果で代用可)

 

② 定期健康診断

・1年以内毎に1回

 

③ 「特定業務従事者」の健康診断

・心身への負担が大きいと考えられる所定の業務(特定業務)に従事している者に対しては、同じ内容の健康診断を年2回実施する規定となっている

・「特定業務」従事者に対して、配置換えの際、6か月以内毎に1回(年2回)

・診断項目は「定期健康診断」と同じ

特定業務一覧:
① 多量の高熱物体を取扱う業務および著しく暑熱な場所における業務
② 多量の低温物体を取扱う業務および著しく寒冷な場所における業務
③ ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
④ 土石、獣毛等のじんあいまたは粉末を著しく飛散する場所における業務
⑤ 異常気圧下における業務
⑥ さく岩機、鋲打機などの使用によって、身体に著しい振動を与える業務
⑦ 重量物の取扱いなど重激な業務
⑧ ボイラー製造など強烈な騒音を発する場所における業務
⑨ 坑内における業務
⑩ 深夜業を含む業務
⑪水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取扱う業務
⑫鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務
⑬ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
⑭ その他厚生労働大臣が定める業務

 

④ 海外派遣労働者の健康診断

・6か月以上の海外勤務に派遣する前

・6か月以上の海外勤務後に日本で業務につかせる時

 

⑤ 給食従事者の検便

・雇入れ時、または該当業務への配置換えの際

・項目については法令上特に規定はない

・一般に赤痢菌、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、ノロウイスルなどの検便を行う

 

⑥ 2次健康診断

・一般健康診断で、脳・心臓疾患に関連する4項目(血圧、血中脂質、血糖、腹囲・BMI)の4項目全てについて異常の所見があると診断された場合、労災病院または都道府県労働局長が指定する病院・診療所(健診給付病院等)において、無料で必要な精密検査や特定保健指導を受けることができる制度

・2次健康診断の受診は労働者本人の任意の希望による(事業者の義務ではない)

 

2)特殊健康診断

・法令で定められた、特定の有害な業務に従事する労働者に、業務に起因する健康障害がないか調べるために行う健康診断

・「特殊健康診断」の対象者は、一般健康診断の対象にも該当する場合、その両方の健康診断を受ける必要がある。

 

特殊健康診断の健康管理区分

管理A:
健診の結果、異常が認められない場合

管理B:
健診結果、管理Cには該当しないが当該因子によるか、または当該因子による疑いのある異常が認められる場合

管理C:
健診結果、当該因子による疾病にかかっている場合

管理R:
健康診断の結果、当該因子による疾病又は異常を認めないが、当該因子に就業することにより憎悪するおそれのある疾病にかかっている場合又は異常が認められる場合
管理T
健康診断の結果、当該因子以外の原因による疾病にかかっている場合又は異常が認められる場合(管理Rに属するものを除く)

 

スポンサーリンク

一般健康診断の判定

・健康診断を実施すると、一般的には健康診断の結果が事業場へ送られる。事業場は、この健康診断の結果を受診者全員に文書で通知する義務がある。

健康診断を委託した医療機関、健診機関の医師によって、医療的な介入の要否である「診断区分」(もしくは「医療区分」)の判定がなされている。

 

診断区分(医療区分):日本人間ドック学会による

基本検査項目/判定区分(人間ドック学会)

A:異常なし
B:軽度異常
C:要再検査・生活改善
D:要精密検査・治療要医療
E:治療中

・2022年4月より日本人間ドック学会の判定区分に関する表記が改定された。「 D1:要治療」「 D2:要精検」を併合し「 D:要精密検査・治療」に変更された。

・また「値の高低・所見によって要精密検査,要治療を使い分けしてもよい」とされた。

・「 C :要経過観察」の表現が「 C:要再検査・生活改善」に変更となった

・この結果の中で、異常の所見があると診断された従業員に対して、健康診断実施日から3ヶ月以内に、以下の3つの就業区分に従って医師等(産業医(50人以上の事業場)または地域産業保健センターの登録産業医など(50人未満の事業場))から意見聴取し、その内容を健康診断個人票へ記載することになっています。

・総合判定には、就業上の措置を行うための「就業区分」と、医療上の措置や保健指導に活かすための「保健指導区分」がある

 

スポンサーリンク

産業医による健康診断の総合判定

・産業医は「就業区分」と「保健指導区分」の判定を行う

 

① 就業区分

・就業上の措置を行うための判定

・会社は、この医師等の意見を勘案し、必要があると認めるときは、該当する従業員の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じたり、医師等の意見を衛生委員会等へ報告したりするなどの対応が求められます。

就業区分

① 「通常勤務可能」(通常の勤務でよいもの)
・就業上の措置を講じる必要なし

② 「要就業制限」(勤務に制限を加える必要のあるもの)

・勤務による負荷を軽減するため、労働時間の短縮、出張回数の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等、必要に応じて適切な措置を講ずる

③ 「要休業」(勤務を休ませる必要があるもの)

・療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させないといった措置を講ずる

 

参照:就業制限を検討する検討する項目とその数値
・収縮期血圧 180mmHg

・拡張期血圧 110mmHg
・血清クレアチニン 2.0㎎/dL
・ALT 200IU/L
・空腹時血糖 200㎎/dⅬ
・随時血糖 300㎎/dL
・HbA1c 10%
・ヘモグロビン 8.0g/dL

 

②保健指導区分

・区分に明確な指針はない

例)

① 無所見

・明らかな所見が認められないもの

 

② 有所見観察不要

・基準値を外れる項目または画像診断等での所見が認められるが、病的な意味はないもの

 

③ 要観察

・現時点では治療の必要はないが、生活習慣の改善や定期的な検査の必要があるのも

・今後の健康維持には生活習慣の改善や経過観察が必要である

・具体的な保健指導を実施し、その後の改善経過を確認する

 

④ 要管理

・健康診断の結果だけでは治療の要不要の判定はできないが、医師による管理が必要なもの

・生活習慣の改善により改善が認められない場合に治療が必要になる

・医師の管理のもと保健指導や栄養指導を実施し、その後の改善効果を確認し、必要に応じて治療を開始する

 

⑤ 要治療

・健康診断の結果から、明らかに治療が必要な異常が認められるもの

・速やかに治療が開始されるように指導を行い、また必要な場合には医療機関の紹介を行う。

・さらに確実な治療が実行されているか、確認する

 

⑥ 治療中

・健康診断と関連する異常について治療を受けているもの

 

 

 

健康診断結果判定

① A、B、C、Dの4段階評価

A(異常なし):

健康診断の結果、検査をした事典では特に病的な所⾒が認められません。ただし、
将来への健康が保障されたわけではありませんので、⽇常の⽣活に留意してくださ
い。

B(経過観察):

薬を投与する治療は不要ですが、⽇常⽣活の改善が必要です。次回の健康診断の結
果で経過を⾒ます。

C(再検査、要精密検査):

再検査は検査結果が本当に異常であるか、再現性を確認するためにもう1度⾏いま
す。要精密検査はさらに詳しく検査を⾏い、病気の有無を確認します。

D(要治療):

健康診断で異常が⾒つかり、明らかに病気と考えられるので治療、または指導が必
要です。病気により3〜6カ⽉の定期的な経過観察が必要な場合も含まれます。

 

② 「A、B、BF、D、G」判定

Aが異常なしまたは病的所⾒なし、Bが有所見健康(軽度の異常)、BFが要経過観察、Dが治療中、Gが要精密検査を意味します。

 

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました