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Alzheimer(アルツハイマー)型認知症(症状、薬物療法)

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症状

・近時記憶障害で発症することが多い

・進行に伴い、見当識障害や遂行機能障害、視空間認知障害が加わる

・アパシーやうつ症状などの精神症状

病識の低下

振り返り徴候(head turning 徴候)

問診の際など医師からの質問に対し、自信がないために、付き添い者のほうを振り向いて確認を求める行動

取り繕い反応

記憶障害や見当識障害を取り繕い、事実とは異なることを話したり、「誤魔化した」と受け取られるような回答をしてしまうこと。

・健忘失語(喚語困難のため迂言が多くなる)

・語性錯誤

・物盗られ妄想

アルツハイマー病っぽいHDS-R所見

・記憶障害(遅延再生、時間の見当識、物の名前の想起、野菜の名前)が侵されやすい

 

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アルツハイマー型認知症重症度(FAST)

(Functional Assessment Staging of Alzheimer’s Disease:FAST)

・アルツハイマー型認知症の進行度、重症度評価スケール

・FASTは患者さんへの質問ではなく、患者さんを観察することで得られる情報、家族や介護者へのヒアリングによる情報をもとに評価を行う

・アルツハイマー型認知症の初期段階では物忘れが生じる。家族や親しい人の名前を思い出せない、同じことを何度も聞いたり話したりするなどの変化がみられるものの、日常生活に大きな支障はみられない。しかし、末期の段階ではADLが著しく低下し、ほぼ寝たきりとなる。

・FASTは、ADLの障害の程度をみることで、アルツハイマー型認知症の進行度および重症度を7段階で評価する。

 

ステージ4:IADL障害

ステージ5:見当識障害、BPSD

ステージ6:ADL障害

ステージ7:会話困難、寝たきり

 

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薬物療法の原則

・治療薬の効果は認知症症状の軽減、進行抑制であり、効果がみられない場合は漫然と継続しない。

※通常、ADの自然経過ではHDS-RやMMSEは年3点程度の低下を認める。

・軽症ではChE阻害薬、中等症以上ではChE阻害薬、メマンチン、あるいは両者を併用する。

・重症ADに適応のある阻害薬はドネペジルとメマンチン(メマリー®)

・6か月間使用し効果がない場合は中止。

・認知症終末期(FAST≧7)は適応外

 

アルツハイマー型認知症治療薬の種類

ChE阻害薬

・コリン作動薬

・ドネぺジル(アリセプト®)、ガランタミン(レミニール®)、リバスチグミン(リバスタッチ®、イクセロンパッチ®)の3剤が利用可能

・効果:活気が出る(↔興奮しすぎたり、怒りっぽくなることがある)

薬剤間に治療効果の差はない

・副作用として、アセチルコリン過剰による症状がある

消化器症状(悪心嘔吐、下痢、食欲不振、消化管出血)

循環器症状(徐脈、血圧低下、失神、房室ブロック、延長)

睡眠障害

 

 

ドネぺジル(アリセプト®)

第一選択(安価、増量しやすい)

・レビー小体型認知症にも適応あり(基本容量は10㎎、副作用がある場合は5㎎)

・開始時1回3mg1日1回で開始(副作用チェックのため)

・1~2週後に1回5mg1日1回に増量(基本容量)

・重症ADでは1回5mg1日1回で4週間以上継続後に、1回10㎎1日1回まで増量可能

 

リバスチグミン(リバスタッチ®、イクセロンパッチ®)

貼付薬

・開始時1日4.5㎎から開始、4週毎に4.5㎎ずつ増量し、1日18㎎まで増量し維持(基本容量)

 

ガランタミン(レミニール®):あまり使用しない

BPSDにも効果があると言われている

・開始時1回4mg 1日2回から開始

・4週後に1回8㎎ 1日2回まで増量(基本容量)

・効果不十分の場合は1回8㎎1日2回で4週間以上継続後に、1回12㎎1日2回まで増量できる

 

NMDA受容体拮抗薬:メマンチン(メマリー®)

・グルタミン酸受容体の一種を遮断。

・AD脳で過剰となるグルタミン酸の興奮毒性を遮断する

中等度~重度のADに適応

焦燥、攻撃性などのBPSDに効果がある

・副作用:便秘、めまい、傾眠、失神など

・開始時1回5mg1日1回夕食後で開始。1週毎に5mgずつ増量

BPDS改善目的に対しては、15㎎までで効果がる容量で継続

中核症状の改善が目的の場合は基本的に1回20㎎まで増量。

・腎障害(Ccr<30)の場合は1回10㎎1日1回で維持

 

 

アルツハイマー型認知症に対する薬剤投与計画

①軽症例

ChE阻害薬のいずれかから1剤

効果不十分、効果減弱、あるいは副作用で継続困難

他のChE阻害薬に変更

 

②中等度例

ChE阻害薬の1剤かメマンチンを開始

効果不十分、効果減弱、あるいは副作用で継続困難

「他のChE阻害薬かメマンチンに変更」、または

「ChE阻害薬とメマンチンの併用」

 

BPSDに対する治療

参照:せん妄、不穏、BPSDに対する薬物治療

・非薬物療法を優先する

・無効の場合は、非定型抗精神病薬であるリスペリドン(1回0.5~1㎎、1日1回)、クエチアピン

(1回12.5㎎~25mg、1日1~2回:糖尿病禁忌)を使用

・長期投与は生命予後の悪化に関連するため、一時的な使用に限定する

 

 

 

総合診療 2019年12月号 困っている“あなた”に届く 認知症診療

 

 

 

 

 

 

 

 

レジデントノート 2021年7月 Vol.23 No.6 絶対に見逃してはいけない画像診断8疾患〜致死的な疾患を見抜くために、正常解剖と典型的な異常所見を押さえる!

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