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DIC(disseminated intravascular coagulation; DIC)

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概念

・重篤な基礎疾患によって引き起こされる広範かつ持続的な著しい凝固系活性化に伴い、細小血管内に微小血栓を多発する病態である。これにより多臓器に障害が生じる。

・また同時に線溶系活性化も合併するが、基礎疾患によりその程度は異なる。

・進行すると血小板、凝固因子などが大量に消費され、消費性凝固障害に至る。

・線溶亢進と消費性凝固障害により出血症状を来す。

 

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分類

・DICは線溶系の活性化の程度により、「線溶抑制型(臓器障害型)」「線溶均衡型(無症候型)」「線溶亢進型(出血型)」に大まかに分類される

 

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検査所見

① 血小板の消費

・血小板数↓、出血時間延長

 

② 凝固因子の活性化、消費

・PT、APTT延長

・AT↓、TAT↑(血栓形成が継続して起こり、凝固反応を抑えようとしてアンチトロンビンがトロンビンに結合し消費され、TATが形成される)

 

③ 微小血栓の形成

・フィブリノゲン↓

 

④ 2次線溶の亢進

・FDP↑、D-dimer↑

 

診断基準

日本救急医学会「急性期DIC診断基準」

 

参照(このサイトより引用):http://www.3nai.jp/weblog/entry/58176.html

※SIRS診断基準項目

体温:>38.0℃あるいは<36.0℃
心拍数:>90/分
呼吸数:>20回/分あるいはPaCO2<32 mmHg
白血球数:>12,000/mm3あるいは<4,000/mm3 あるいは幼若球数>10%

※血小板数減少はスコア算定の前後いずれの24時間以内でも可能。

※PT比(患者血漿PT/正常血漿 PT):ISI(国際感度指数:試薬により決まる)=1.0の場合はPT-INRに等しい。各施設においてPT比1.2に相当する秒数の延長または活性値の低下を使用しても良い。

※FDPの代替としてD-ダイマー を換算して使用して良い(換算表)

 

 

日本血栓止血学会「DIC診断基準(2017年版)」

 

DIC疑い: DICの基礎疾患を有する場合(表II-1),説明の付かない血小板数減少・フィブリノゲン低下・FDP上昇 などの検査値異常がある場合,静脈血栓塞栓症などの血栓性疾患がある場合など.

造血障害:骨髄抑制・骨髄不全・末梢循環における血小板破壊や凝集など,DIC以外にも血小板数低下の原因が存 在すると判断される場合に(+)と判断.寛解状態の造血器腫瘍は(−)と判断.

基礎病態を特定できない(または複数ある)あるいは「造血障害」「感染症」のいずれにも相当しない場合は「基本型」を使用す る(例えば,固形癌に感染症を合併し基礎病態が特定できない場合)
・ 肝不全では3点減じる

 

 

凝固系検査項目

必須項目

・PT

・APTT

・フィブリノゲン(重症で減少)

・FDP

・D-dimer(線溶亢進で上昇)

・AT

・TAT(トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体)(凝固亢進で上昇)

・PIC(プラスミン・α2プラスミンインヒビター複合体)(線溶亢進で上昇)

・PAI(プラスミノゲンアクチベーターインヒビター)(凝固亢進で上昇)

 

参照(このサイトより引用):http://igakukotohajime.com/2020/05/13/%E5%87%9D%E5%9B%BA%E3%83%BB%E7%B7%9A%E6%BA%B6%E7%B3%BB/

線溶系

線溶系とは、プラスミン(plasmin)がフィブリノーゲン、フィブリンを溶かす機序をいう。

プラスミン(plasmin)

・血管内皮細胞から作られたtPA(tissue plasminogen activator:組織型プラスミノーゲン活性化因子)によりプラスミノーゲン(plasminogen)がプラスミンとなり、このプラスミンがフィブリノーゲン、フィブリンを分解する。

・フィブリノーゲンもしくはフィブリンの分解産物をまとめてFDP(fibrin/fibrinogen degradation products)と表現し、フィブリンの分解産物のD domainが架橋されてペアになったものをD-dimerという。

PIC(plasmin・α2-plasmin inhibitor complex)

・プラスミンはα2-PI(α2-plasmin inhibitor)によって阻害される。線溶系の活性度を知るための指標としてはプラスミンが半減期が短く測定できないため、このプラスミンとα2PIの複合体であるPIC(plasmin・α2-plasmin inhibitor complex)を測定することで線溶系の活性度を測定する(線溶亢進で上昇)。

 

FDPとD-dimer

・FDPはフィブリノーゲンかフィブリン、D-dimerはフィブリンの分解産物。血栓が産生されると線溶系により分岐されることで両者は基本的一緒に上昇する。

・しかし、線溶系がとても亢進している場合は、フィブリノーゲンがフィブリンになる前に線溶系により分解されてしまう。この場合、フィブリノーゲンが分解されるのでFDPは上昇するが、フィブリンはまだ少ないためD-dimerはあまり上昇しないという「FDPとD-dimerの解離」が起こる。これは特に線溶亢進型DICで特徴的である。

 

TAT(thrombin・antirhtombin complex)

・AT(antithrombin:アンチトロンビン)はⅡa(トロンビン:凝固促進因子)と結合し、酵素活性を阻害することで抗凝固作用を示す(ヘパリンはこの経路を促進することで抗凝固作用を持つ)

・Ⅱa(トロンビン)は半減期が短く測定困難なので、ⅡaとATの複合体であるTAT(thrombin antirhtombin complex)で凝固因子の活性化を評価する(線溶系のPICと対応した測定項目)。

 

 

 

 

内科レジデントマニュアル 第9版

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