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Lewy小体型認知症(レビー小体型認知症)(dementia with Lewy bodies; DLB)

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疾患

・αシヌクレインの神経細胞内への異常蓄積を主病変とし、レビー小体と呼ばれる封入体を形成、疾患の進行とともにレビー小体の分布も広がる

・中枢神経系以外に心臓や末梢交感神経節、消化管などの内臓自律神経系にも広がる

・Lewy小体型認知症は、初期には診断が難しい。

・疑うべきは、「ふらつきや転倒が増えた」「薬剤に過敏性がある」「レム睡眠行動障害」「過鎮静(→誤嚥性肺炎)」「薬剤抵抗性のうつ病」のエピソードがある時。

・早期には記憶障害が伴わないことが多く、不安や抑うつ症状が前面に出ることも少なくない。

幻視は明瞭な形をとることが多い

・錯視(実際に見えているカーテンやコンセントなどの像を取り違える)の場合もある

妄想性誤認:誰もいないのに誰かがいると訴えたり、テレビドラマを実際にあったかのように信じたりする。亡くなった人が生き返った、自分は亡くなっているといった妄想を抱く

レム睡眠行動障害

・レム睡眠中にもかかわらす骨格筋が動き、夢の内容に合わせた寝言や体動を特徴とする障害

・睡眠時随伴症状の一つ

・主に男性に多くみられる(男女比は9:1)

・パーキンソン病や多系統萎縮症、レビー小体型認知症などのα-シヌクレイン蓄積と関連する神経変性疾患に合併し、またこれらの疾患の前駆症状としても知られる

・レム睡眠が主体となる睡眠の後半に集中して起こるため、明け方により多く見られる

・症状は夢(その多くは怖い夢)の内容に合わせて、寝言を言う、手を動かずなどの軽微な行動から、物を投げる、ベッドから落ちる、時にはベッド・パートナーの首を絞めたり、殴る、蹴るなどの暴力的な行為に及んだりすることもある

・パーキンソン病の早期症状として知られる嗅覚障害を伴うことが多い(70~90%)

 

 

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検査

・脳SPECTやPETが有用

・123I-MIBG心筋シンチグラフィは早期より取り込みが低下するため、診断に有用

 

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アルツハイマー型認知症との鑑別点

・発症の数年前から便秘、嗅覚障害、レム睡眠行動障害、抑うつなどの症状が前駆症状として現れることがある。

・パーキンソニズム、幻覚、妄想、せん妄、うつを認めやすい

・認知機能検査では「図形模写」や「計算力」が侵されやすく、「遅延再生」は保たれていることが多い(↔アルツハイマー型では遅延再生障害が特徴的)

 

国際ワークショップ診断基準改定版(2017年)

1)注意や明晰さの著明な低下を伴う認知の変動

2)繰り返し出現する構築された具体的な幻視

3)認知機能の低下に先行することもあるレム睡眠行動異常症

4)特発性のパーキンソニズムの以下の症状のうち1つ以上(動作緩慢、寡動、静止時振戦、筋強剛)

 

家族への説明

・うつ病からDLB、幻視などで他精神疾患からDLB、アルツハイマー型認知症からDLBに診断が変わり得ることを説明する。

・DLBは変化を伴いながら進行していくという事実を説明する。

 

 

 

参考:DLBの臨床診断基準(2017年)

・DLB の診断には、「社会的あるいは職業的機能や、通常の日常活動に支障を来す程度の進行性の認知機能低下を意味する認知症である」ことが必須である。

・初期には持続的で著明な記憶障害は認めなくてもよいが、通常進行とともに明らかになる。

・注意、遂行機能、視空間認知のテストによって著明な障害がしばしばみられる。

 

1. 中核的特徴(最初の 3つは典型的には早期から出現し、臨床経過を通して持続する)
●注意や明晰さの著明な変化を伴う認知の変動
●繰り返し出現する構築された具体的な幻視
●認知機能の低下に先行することもあるレム期睡眠行動異常症
●特発性のパーキンソニズムの以下の症状のうち 1つ以上;動作緩慢、寡動、静止時振戦、筋強剛

2. 支持的特徴
抗精神病薬に対する重篤な過敏性、姿勢の不安定性、繰り返す転倒、失神または一過性の無反応状態のエピソード、高度の自律機能障害(便秘、起立性低血圧、尿失禁など)、 過眠、 嗅覚鈍麻、 幻視以外の幻覚、 体系化された妄想、 アパシー、不安、うつ

3. 指標的バイオマーカー
● SPECT または PET で示される基底核におけるドパミントランスポーターの取り込み低下
● MIBG 心筋シンチグラフィでの取り込み低下
●睡眠ポリグラフ検査による筋緊張低下を伴わないレム睡眠の確認

4. 支持的バイオマーカー
● CT や MRI で側頭葉内側部が比較的保たれる
● SPECT、PET による後頭葉の活性低下を伴う全般性の取り込み低下(FDG-PET により cingulate island sign を認めることあり)
●脳波上における後頭部の著明な徐波活動

 

<Probable DLB(ほぼ確実) >
「2 つ以上の中核的特徴が存在する」
または
「1つの中核的特徴が存在し、1つ以上の指標的バイオマーカーが存在する」Probable DLB は指標的バイオマーカーの存在のみで診断するべきではない

<Possible DLB(疑い)>
「1つの中核的特徴が存在するが、指標的バイオマーカーの証拠を伴わない」
または
「1つ以上の指標的バイオマーカーが存在するが、中核的特徴が存在しない」

<DLB の診断の可能性が低い>
・臨床像の一部または全体を説明しうる、他の身体疾患や脳血管疾患を含む脳障害の存在(ただし、これらは DLB の診断を除外せず、臨床像を説明する複数の病理を示しているかもしれない)
・重篤な認知症の時期になって初めてパーキンソニズムが出現した場合

DLB は認知症がパーキンソニズムの前か同時に出現したときに診断されるべきである。

PDD は、明らかな Parkinson 病の経過中に起こった認知症を記載するために用いられるべきである。実際の場では、その臨床的状況に最も適した用語が用いられるべきで、Lewy 小体病(Lewy Body Disease)といった総称がしばしば役立つ。

DLB と PDD の区別が必要な研究では、認知症の発症がパーキンソニズム発症の 1 年以内の場合 DLB とする“1 年ルール “ を用いることが推奨される。

 

 

総合診療 2019年12月号 困っている“あなた”に届く 認知症診療

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