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M蛋白血症(単クローン性免疫グロブリン異常症 :monoclonal gammopathy)

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M蛋白とは

・異常に増殖した 1 つのクローンの形質細胞あるいは B 細胞から産生分泌された均一な免疫グロブリンまたはその構成成分。

・産生分泌されるM 蛋白の種類:

全分子: IgG,IgA,IgM,IgD,IgE

重鎖:γ 鎖,α 鎖,µ 鎖,δ 鎖,ε 鎖

軽鎖:κ 鎖,λ 鎖

・種類の決定には免疫電気泳動法を行う

 

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疑う所見

・貧血

・蛋白アルブミン解離(総蛋白増加、アルブミン低下)

・A/ G比低下

 

A/G比(基準値:1.2~2.0)

・A/G比の異常はアルブミンの減少、またはグロブリンの増加によって生じる。中には、その両方を合併しているケースもある

・アルブミンの減少:肝硬変、肝臓がん、栄養状態不良、ネフローゼ症候群など

・グロブリンの増加:多発性骨髄腫、膠原病、慢性肝炎、肝硬変など

・Mタンパクの増加により血清総蛋白高値とアルブミン低値(総蛋白/アルブミン解離)を認める

 

ベンス・ジョーンズ蛋白

・M蛋白の一種で、免疫グロブリンの軽鎖だけがモノクローナルに増殖したもの

・BJPは低分子のため糸球体でろ過されて尿中に排出される。

・そのため血中濃度が低く、蛋白電気泳動で検出されにくい。

・健常者では近位尿細管で再吸収されるため、尿中にはほぼ検出されない。

・糸球体や尿細管に障害を与えるおそれがあり、その検出は非常に重要である。

 

 

 

 

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M蛋白を認める疾患

・「腫瘍細胞の量」と「悪さ(臓器障害)しているか」で分類。

・「悪さ」(臓器障害)とは

腎障害

貧血

高カルシウム血症

骨病変

・MGUS→(1%/年)→くすぶり型骨髄腫→(10%/年(5年間))→多発性骨髄腫と時間的に推移すする

 

⓵ 多発性骨髄腫

参照:多発性骨髄腫

・「腫瘍細胞があって、悪さもしている」状態

・高齢者に多く、骨髄中で異常な形質細胞が増殖するため正常な造血が抑制される。

・IgG、IgA、IgD、IgEのいずれかが増加し、他の免疫グロブリンは低下する。

・κ/λ比(基準値:0.26~1.65)が異常になる(どちらか一方の軽鎖が増えるため)

 

② くすぶり型多発性骨髄腫(smoldering multiple myeloma)

・M蛋白が増加しているものの、症状は現れていない状態。

・血清M蛋白≧3g/dL、骨髄中形質細胞≧10%、しかし臓器障害なし

・「腫瘍細胞は多いが、悪さをしていない」状態

・多発性骨髄腫の前癌病変(臓器障害が出現した段階で「多発性骨髄腫」と診断される

※ 臓器障害は「高Ca血症」「腎障害」「貧血」「骨病変」「症候性の血液過粘稠」「アミロイドーシス」「免疫不全(年2回以上の細菌感染)」で判断される

・症状はないために通常は治療対象にならないが、MMへの伸展の可能性があるため2~3か月ごとのフォローが必要である

・MM進展リスクが高い症例ではレナリドミド-デキサメタゾン(LD)療法を考慮してもよい

 

③ MGUS(エムガス:monoclonal gammopathy of undetermined significance:意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症)

・「エムガス」と読む

・「腫瘍細胞が少量で、悪さもしていない」状態

・M蛋白の増加は「くすぶり型多発性骨髄腫」よりも軽度で、症状はなく、健康診断で偶然発見される。

・M蛋白<3g/dL、骨髄中形質細胞<10%、臓器障害なし

・加齢により増加(50歳以上の3.2%、80歳以上の6.6%)

・治療は必要ないが、頻度は少ないながら多発性骨髄腫などに進行することもあるため、定期的な検査が必要。

 

④ 原発性マクログロブリン血症

・増加するM蛋白はIgM

 

⑤ 重鎖病(H鎖病)

・まれな疾患。

・増殖するM蛋白はH鎖(γ、α、μ)

 

⑥ B細胞性リンパ腫

 

⑦ その他:

リンパ系腫瘍

感染症

膠原病

肝硬変

 

 

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