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BPSDに対する薬物治療

参考:「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」

平成27年度厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事

 

BPSD

過活動症状

抗精神病薬

・クエチアピン(半減期短い:夜間だけ効かせたい場合など)

・リスペリドン

・オランザピン(半減期長い:日中も症状強い場合)

・アリピプラゾール(エビリファイ®)(比較的マイルド)

 

抗てんかん薬

・バルプロ酸(100mgから)

・カルバマゼピン(50mgから)

 

抗認知症薬

・ガランタミン(レミニール®)

・メマンチン(メマリー®)

 

漢方

・抑肝散

・抑肝散加陳皮半夏(虚証の人)

 

 

せん妄ハイリスク患者の不眠に対する眠剤処方

・ベンゾジアゼピン系はせん妄を惹起しうるため投与しないこと。

・せん妄の症状は夜間に多く、精神症状が著しくなると内服がうまくできなかったり、必要とする薬剤量が過量となり翌朝まで効果を持ち越す可能性があるため、内服の時間は眠前より早めの夕食後の方が望ましい

トラゾドン(レスリン®、デジレル®)がfirst choice

 

① トラゾドン(レスリン®、デジレル®)

・抗うつ薬。催眠効果に加えてせん妄抑制効果もある

・鎮静効果は弱い。「ゴソゴソレベル」の不眠に有効

・筋弛緩作用が少なく、安全

・抗コリン作用が少なく、特に注意点なし

・作用時間は約8時間で使いやすい

・ベルソムラ、ロゼレムとの併用も可

使用法

トラゾドン(デジレル®、レスリン®)25㎎錠

0.5~1錠 夕食後(または眠前)

30分毎、合計3錠まで(1日計4錠まで)

深夜2時まで使用可

 

② レンボレキサント(デエビゴ®)

① 5㎎

② 2.5㎎

③ 2.5㎎

それぞれ30分以上あけて

 

 

BPSD治療薬

・過活動型せん妄で、内服可能かつ糖尿病がなければクエチアピンセロクエル®)がfirst choice

・またはリスパダール

抗精神病薬の併用(2剤以上)は避ける

・内服困難な場合はハロペリドール(セレネース注)またはクロルプロマジン(コントミン®)

・ハロペリドールは鎮静効果が決して強くないため、効果不十分の場合はフルニトラゼパム(サイレース®)やヒドロキシジン(アタラックスP®)を用いる

 

① セロクエル(クエチアピン)

first choice

・非定型抗精神病薬

・MARTA(multi-acting receptor targeted antipsychotics)の一つ

鎮静作用強い(リスパダールより強い)

・作用時間が約8時間と短い(翌日への持ち越しが少ない

・昼夜のリズムを保つのに役立つ

・錐体外路症状が少ない

・幻覚、妄想への効果が弱い

糖尿病には禁忌(糖尿病がある場合はリスペリドンを使用すること)

使用法

クエチアピン(セロクエル®)25㎎錠

0.5~1錠 夕食後

1時間あけて、合計1日4錠まで

(1日の最大量は100㎎を目安)

 

② リスペリドン

・鎮静作用はやや弱い(セロクエルより弱い)

・催眠効果もあまり期待できない

・幻覚、妄想への効果が強い

・腎機能低下で翌日持ち越しあり

・パーキンソン症候群、嚥下機能障害(誤嚥)の危険性

使用法

0.5~1㎎ 夕食後1時間空けて

1日最大2㎎まで(夕と眠前に分けても可)

 

 

③ ハロペリドール(内服困難時)

・内服困難時

・鎮静作用普通

・幻覚、妄想への効果あり

・禁忌:パーキンソン病、レビー小体型認知症、重症心不全患者

・鎮静効果は強いものではない

・静注、または筋注

(静注の方がパーキンソニズムなどの副作用が少なく、速効性がある)

・不穏が強く速効性が求められる場合は、ワンショット静注も可

投与法

ハロペリドール(5mg/1mL)

1A+生食20ml IV

1A+生食100ml点滴

 

・朝まで寝てほしいといった持続性を期待する場合は、時間をかけて点滴

例)1A+生食100ml点滴:2時間かけて点滴静注

 

 

④ フルニトラゼパム(サイレース®)

・鎮静効果強い

・呼吸抑制あり(→呼吸状態が悪いときは、代わりにアタラックスPを使用)

・ハロペリドールも無効の場合

・呼吸抑制をきたすことがあるため、フルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬)やアネキセート、気道確保の準備をしておく

 

投与法:

サイレース(2㎎/A)0.5A+生食100mL

1時間ペースで点滴静注、入眠したら中止、覚醒したら再開

 

参考:不穏時・次なる一手(T病院式)

オランザピン(ジプレキサ®)

・非定型抗精神病薬

・MARTA(multi-acting receptor targeted antipsychotics)

※クエチアピンと同じ作用機序

鎮静(催眠)作用がクエチアピンより少し強く、副作用も多め

・クエチアピン同様、糖尿病には禁忌

・半減期が長い(1日1回投与)

・1日1回夕食後、2.5㎎から開始。効果を見ながら最大10㎎まで増量可

 

ヒルナミン®10%細粒

・レボメプロマジン(フェノチアジン系抗精神病薬:定型抗精神病薬)

・鎮静作用強い。少量で睡眠薬としても使用

内服:1日5~75㎎ 分服(10%細粒 0.05g~0.75g)

頓用:0.1g 1×不眠、不穏時

 

バルプロ酸ナトリウム(デパケン®)

・抗てんかん薬

易怒性、衝動性、攻撃性、脱抑制に対して

・鎮静作用は穏やか

・肝代謝のため、腎機能障害患者にも使用しやすい

肝機能障害、皮膚症状の副作用があり

400mg(高齢者では200mg)~1200mgを1日2~3回に分服

 

ヒベルナ散®10%

・第1世代抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)

・鎮静作用強い(抗アレルギー性疾患にはあまり使用されない)

内服:1回5~25㎎(10%散 0.05g~0.25g) 1日1~3回

 

参考:抗精神病薬の等価換算表(経口薬)

※リスペリドンを基準に、抗精神薬の等価換算量を示す

(例:リスペリドン1㎎をオランザピンに置き換えるなら、2.5㎎と考える)

・リスペリドン 1mg

・オランザピン 2.5mg

・アリピプラゾール(エビリファイ®) 4mg

・クエチアピン 66mg

・ハロペリドール 2

・レボメプロマジン(ヒルナミン)100

 

T病院薬事委員会「不穏時薬剤選択フロー」

内服可能な場合

糖尿病なし:クエチアピン または オランザピン

クエチアピン(25mg)

・高齢者は通常25mg/日より開始

・鎮静が強い

・興奮、攻撃性に有効

 

オランザピンOD(10mg)

・クエチアピン同様、糖尿病には禁忌

・鎮静(催眠)作用がクエチアピンより少し強く、副作用も多め

・半減期が長い(1日1回投与)

・高齢者は通常2.5m 1日1回夕食後から開始。効果を見ながら最大10㎎まで増量可

・気分安定効果あり

 

糖尿病あり:リスペリドン または ペロスピロン(ルーラン®)

リスペリドンOD(1mg)、リスペリドン内用液(1mg/1mL)

・抗幻覚作用強い

・非定型抗精神薬の中では錐体外路症状を来しやすい

・高齢者は通常1回あたり0.5mgから開始1日最大2㎎まで(夕と眠前に分けても可)

 

ペロスピロン(ルーラン®)(4mg)

・セロトニンとドーパミンを遮断するSDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)に分類される非定型抗精神病薬

・効果、副作用ともmild

・高齢者には通常1回あたり4mgから開始

 

内服不能な場合:ハロペリドール

ハロペリドール

処方例)

① ハロペリドール(5mg/1mL)0.5A+生食50mL

30分以上あけて、1日2回まで

② 朝まで寝てほしいといった持続性を期待する場合は、時間をかけて点滴

ハロペリドール1A+生食100ml点滴:2時間かけて点滴静注

 

・鎮静作用普通

・幻覚、妄想への効果あり

・禁忌:パーキンソン病、レビー小体型認知症、重症心不全患者

・鎮静効果は強いものではない

・静注、または筋注も可能

(静注の方がパーキンソニズムなどの副作用が少なく、速効性がある)

 

上記にても無効かつ入院加療上、鎮静が不可欠な場合

フルニトラゼパム(サイレース®)

・鎮静効果強い

・呼吸抑制あり(→呼吸状態が悪いときは、代わりにアタラックスPを使用)

・ハロペリドールも無効の場合

・呼吸抑制をきたすことがあるため、フルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬)やアネキセート、気道確保の準備をしておく

 

投与法:

サイレース(2㎎/A)0.5A+生食100mL

1時間ペースで点滴静注、入眠したら中止、覚醒したら再開

 

その他:抑肝散、ロナセンテープ

抑肝散

・易怒性に対し有効

・1回2.5mg、1日1~3回

 

ロナセンテープ(40mg)

・セロトニン・ドーパミン遮断薬(SDA)のテープ剤

内服不能な場合に有効

・通常40mg 1日1回貼付。最大1日80mgまで

 

 

 



内科救急診療指針2022 
一般社団法人 日本内科学会専門医制度審議会 救急委員会

 

 

 

 

 

 

 

medicina(メディチーナ) 2019年 増刊号 特集 一人でも慌てない! 「こんなときどうする?」の処方箋85

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