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オトガイしびれ症候群(Numb chin syndrome:NCS)

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疾患

・NCSとは、オトガイ神経分布域(下顎、下口唇、歯肉)の感覚異常を特徴とする神経障害をきたす症候群である

・下歯槽神経障害による

・歯科的な原因が明らかでない時は乳癌や血液学的悪性腫瘍などのよる可能性が考えられるため、病因の検索が必要である

 

下歯槽神経、オトガイ神経について

参照(このサイトより引用):https://harifuku.net/case/inferior-alveolar-nerve/

 

・下歯槽神経は、三叉神経第三枝である下顎神経の枝。

・下顎孔から下顎骨に入り下顎管を通る。

・その間に下顎の歯に知覚枝を出し、下歯神経叢をなすほか、小さな神経を歯や歯肉に向けて分岐させる。

・前方、下顎第二小臼歯の部分でオトガイ孔から下顎骨を出、オトガイ神経を分岐し、オトガイと下口唇の知覚を担当する。

 

 

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原因

・局所腫瘍または転移性腫瘍による圧迫(転移性乳癌および高悪性度リンパ腫)が多い。

・その他、肺癌、黒色腫、前立腺癌、肉腫、腎細胞癌、甲状腺癌、結腸癌、多発性骨髄腫、頭頸部癌など

・小児の場合は急性白血病が多い

・症例の47%でNCSは原発腫瘍の診断に先行し、悪性腫瘍の初発症状のことがある

・ 一方で、 癌の既往歴のある患者では、多くの場合、病気の再発を示している。

・頭蓋内三叉神経根の圧迫

・歯科原因、特別に医原性のもの(例えば口腔外科)

・非悪性の疾患:歯原性感染症、外傷、糖尿病、アミロイドーシス、梅毒、サルコイドーシス、鎌状赤血球症、血管炎(側頭動脈炎)、動脈瘤など

 

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症状

・下歯槽神経には運動神経線維がないため、NCSは純粋に感覚神経障害である(下部顔面の運動機能はそのまま保たれる)。

・通常は下顎、唇、そして時折歯肉の、皮膚の片側性のしびれが含まれる。

・しびれは、通常は片側性であり、両側性は10%程度。

(↔過呼吸や低カルシウム血症例のときのように口の周囲ではない)

・患者は下唇を不注意に噛んでしまったり、食べ物や飲み物がだらだらこぼれて食事困難を訴えることがある。

・打診誘発性の疼痛と下顎の歯の緩みは、白血病細胞の下顎管浸潤例で発生しうる。

 

検査

・パノラマX線撮影(溶骨性変化)、CT、MRI、骨シンチグラフィーなど

・穿刺吸引細胞診や病変生検が診断の確認のために有用

・腰椎穿刺および細胞学的分析は、X線撮影が陰性である場合には有用である

(癌性髄膜炎や軟膜転移の評価)

 

治療

・原因疾患に対する治療

・症状は多くの患者で自然に解決する。

・しかし癌患者におけるNCSの予後は不良で、診断後の生存期間の中央値は、一般的に1年未満である。

・診断されたNCS後の平均生存期間は下顎転移に起因する場合には約5ヶ月および、軟膜転移が存在する場合には12ヶ月である。

 

 

 

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