感染予防
・接触感染で伝播するため、手袋、ガウンを用いた接触予防策を行う
・芽胞を形成するため、アルコール消毒は無効であり、石鹸や流水での手洗いが重要
・水様便改善後、少なくとも48時間は接触予防策を継続することが推奨される
危険因子
・抗菌薬使用
抗菌薬治療中から使用後3か月にリスク(特に1か月以内)
・年齢(65歳以上)
・長期入院患者
・開腹術や内視鏡などの腸管操作を伴う治療、検査を受けた患者
・PPI投与
・経管栄養
・化学療法中の患者
症状
・1日3回以上の水様便
・発熱
・腹痛
・WBC増多
血液検査
・白血球上昇
入院患者で原因がはっきりしない白血球上昇を認めた時は、CDIを鑑別に入れる
診断検査
・診断方法のゴールドスタンダードは便からのC.difficileの培養だが、感度が培養方法に左右され、しかも結果が出るまでに時間が掛かるため、下記の「2段階法」が推奨される
① C.difficile共通抗原検査(glutamate dehydrogenase;GDH)
・即時スクリーニング検査法
・感度85~95%、特異度89~99%。
・陰性的中率が高い(検査結果が陰性と出た人のうち、真に疾患を有していない人の割合:真陰性)ため、即時スクリーニングとして有効(GDHが陰性なら除外可能)
・GDHが陽性であっても、これだけでは毒素産生株かの判断はできない
・GDH陽性のものから、さらに「EIAによるtoxinA/B検査」を加え、毒素産生株かの判断する「2段階法」が推奨されている
・「GDH陽性でも、CDトキシン陰性」であれば、CDIの判定は保留となり、「CDIガイドライン」では、PCRによるトキシン遺伝子評価が推奨されている
② toxinA/B検査(EIA法)
・感度63~94%、特異度75~100%と、感度が低目でかつ感度や特異度に幅があるため、毒素単独での検査は推奨されない
治療
軽症~中等症
・メトロニダゾール 1回500㎎ 1日3回経口 10日間(腎機能で調整)
重症
・バンコマイシン 1回125㎎ 1日4回 経口 10日間(腎機能によらず)
治療判定
・治療経過の確認や治療判定は臨床症状とし、GDHやトキシン検査を用いてはいけない
(治療後も陰性化しないことがあるため)
・水様便改善後、少なくとも48時間は接触予防策を継続することが推奨される
medicina 2022年 6月号 特集 抗菌薬の使い方-敵はコロナだけにあらず! 今こそ基本に立ち返る
抗菌薬ドリル 実践編〜臨床現場で必要な力が試される 感染症の「リアル」問題集
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