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心疾患(特に心不全)に対するリハビリテーション

参照:

日本循環器学会 / 日本心臓リハビリテーション学会合同ガイドライン
2021年改訂版
心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン
JCS/JACR 2021 Guideline on Rehabilitation in Patients with Cardiovascular Disease

 

心臓リハビリテーション(ドック学会専門医試験)

心臓リハビリテーション:

・包括的心臓リハビエリテーションは心疾患の予後を約20%改善する。

・運動療法の強度は最高酸素摂取量の40~60%が適切である。

・運動療法は高感度CRP、炎症性サイトカインを低下させる

 

運動負荷試験が禁忌となる疾患・病態

1)絶対的禁忌

1. 2日以内の急性心筋梗塞

2. 内科治療により安定していない不安定狭心症

3. 自覚症状または血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈

4. 症候性の重症大動脈弁狭窄症

5. コントロール不良の症候性心不全

6. 急性の肺塞栓または肺伷塞

7. 急性の心筋炎または心膜炎

8. 急性大動脈解離

9. 意思疎通の行えない精神疾患

2)相対的禁忌

1. 左冠動脈主幹部の狭窄
2. 中等度の狭窄性弁膜症
3. 電解質異常
4. 重症高血圧(原則として収縮期血圧>200 mmHg,または拡張期血圧>110mmHg,あるいはその両方とすることが推奨されている)
5. 頻脈性不整脈または徐脈性不整脈
6. 肥大型心筋症またはその他の流出路狭窄
7. 運動負荷が十分行えないような精神的または身体的障害
8. 高度房室ブロック

 

積極的な運動療法が禁忌となる疾患・病態

1)絶対的禁忌

1. 不安定狭心症または閾値の低い(平地のゆっくり歩行[2MET]で誘発される)心筋虚血

2. 過去3日以内の心不全の自覚症状(呼吸困難,易疲労感など)の増悪

3. 血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈(心室細動,持続性心室頻拍)

4. 手術適応のある重症弁膜症,とくに症候性大動脈弁狭窄症

5. 閉塞性肥大型心筋症などによる重症の左室流出路狭窄

6. 急性の肺塞栓症,肺伷塞および深部静脈血栓症

7. 活動性の心筋炎,心膜炎,心内膜炎

8. 急性全身性疾患または発熱

9. 運動療法が禁忌となるその他の疾患(急性大動脈解離,中等症以上の大動脈瘤,重症高血圧 、血栓性静脈炎,2週間以内の塞栓症,重篤な他臓器疾患など)

10. 安全な運動療法の実施を妨げる精神的または身体的障害

2)相対的禁忌

1. 重篤な合併症のリスクが高い発症2日以内の急性心筋梗塞

2.左冠動脈主幹部の狭窄

3. 無症候性の重症大動脈弁狭窄症

4. 高度房室ブロック

5. 血行動態が保持された心拍数コントロール不良の頻脈性または徐脈性不整脈(非持続性心室頻拍,頻脈性心房細動,頻脈性心房粗動など)
6. 最近発症した脳卒中*

7. 運動負荷が十分行えないような精神的または身体的障害

8. 是正できていない全身性疾患*

3)禁忌でないもの

1. 高齢者

2. 左室駆出率低下

3. 血行動態が保持された心拍数コントロール良好な不整脈(心房細動,心房粗動など)

4. 静注強心薬投与中で血行動態が安定している患者

5. 補助人工心臓(LVAD),植込み型心臓電気デバイス(永久ペースメーカ,植込み型除細動器〔ICD〕,両室ペーシング機能付き植込み型除細動器〔CRT-D〕など)装着

 

運動療法実施中の中止基準

1)絶対的中止基準

• 患者が運動の中止を希望

• 運動中の危険な症状を察知できないと判断される場合や意識状態の悪化
• 心停止,高度徐脈,致死的不整脈(心室頻拍・心室細動)の出現またはそれらを否定できない場合
• バイタルサインの急激な悪化や自覚症状の出現(強い胸痛・腹痛・背部痛,てんかん発作,意識消失,血圧低下,強い関節痛・筋肉痛など)を認める
• 心電図上,Q波のない誘導に1 mm以上のST上昇を認める(aVR,aVL,V1誘導以外)

• 事故(転倒・転落,打撲・外傷,機器の故障など)が発生

 

2)相対的中止基準

• 同一運動強度または運動強度を弱めても胸部自覚症状やその他の症状(低血糖発作,不整脈,めまい,頭痛,下肢痛,強い疲労感,気分不良,関節痛や筋肉痛など)が悪化

• 経皮的動脈血酸素飽和度が90%未満へ低下または安静時から5%以上の低下

• 心電図上,新たな不整脈の出現や1 mm以上のST低下

• 血圧の低下(収縮期血圧<80 mmHg)や上昇(収縮期血圧≧250 mmHg,拡張期血圧≧115 mmHg)

• 徐脈の出現(心拍数≦40/min)

• 運動中の指示を守れない,転倒の危険性が生じるなど運動療法継続が困難と判断される場合

 

心不全患者で運動療法が禁忌となる病態・症状

絶対禁忌

1.過去3日以内における自覚症状の増悪

2.不安定狭心症または閾値の低い心筋虚血

3.手術適応のある重症弁膜症,特に症候性大動脈弁狭窄症

4.重症の左室流出路狭窄

5.血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈(心室細動,持続性心室頻拍)

6.活動性の心筋炎,心膜炎,心内膜炎

7.急性全身性疾患または発熱

8.運動療法が禁忌となるその他の疾患(急性大動脈解離,中等度以上の大動脈瘤,重症高血圧,血栓性静脈炎,2週間以内の塞栓症,重篤な他臓器障害など)

相対禁忌

1.NYHA心機能分類IV度

2.過去1週間以内における自覚症状増悪や体重の2 kg以上の増加

3.中等症の左室流出路狭窄

4.血行動態が保持された心拍数コントロール不良の頻脈性または徐脈性不整脈(非持続性心室頻拍,頻脈性心房細動,頻脈性心房粗動など)

5.高度房室ブロック

6.運動による自覚症状の悪化(疲労,めまい,発汗多量,呼吸困難など)
注)ここに示す「運動療法」とは,運動耐容能改善や筋力改善を目的として十分な運動強度を負荷した有酸素運動やレジスタンストレーニングを指す

 

運動負荷量が過大であることを示唆する指標

1)自覚症状

倦怠感持続、前日の疲労感の残存、同一負荷量におけるBorg指標の2以上の上昇

参照:Borgスケール

2)体重増加傾向

1週間で2kg以上の増加

3)心拍数増加傾向

安静時または同一負荷量における心拍数の10bpm以上の上昇

4)血中BNP上昇傾向

前回よりも100pg /mL以上の上昇

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