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患者中心の医療

・家庭医療で言う「患者中心の医療」とは、単に「患者迎合医療」や「顧客中心医療」とは一線を画すので、単なるスローガンや理念ではない。

・医療者が患者の思いやその背景を十分に理解し、患者も医者の説明を十分理解したうえで、ともに現在の健康問題の解決に向けて協働していくというモデルである。

・むしろ、双方が相手を理解しようとする努力を丁寧に重ねることが求められるため、時には患者との衝突や摩擦も起こりうる難しい手法と言われている。

・しかし、この手法が効果的に発揮されると、患者の苦痛、心配の軽減、健康状態改善、検査数や紹介数の減少など、健康指標や医療効率に関する好影響を示すことがエビデンスとして示されている

・この医療モデルは良好な患者・医師関係を築くための医療面接や、行動変容を促すための患者教育の方法などを網羅しており、家庭医に限らず、患者さんと接することを仕事とする全ての医療者にも利用可能なものである。

 

(1)「健康観」「疾病」と「病い」の経験を探る

・患者の訴えは「疾患」と「病い」に分けられる

・「疾病」(disease)とは、病態生理に基づいて病気がもたらす病歴、身体診察、検査などの客観的な情報 (いわゆる生物医学モデル)

・「病い」(illness)とは、病気に罹患したり、体調不良を覚える一人の人間としての患者が受ける様々な影響のことをいい、個々の患者それぞれに固有の情報である。

・そして「病い」は疾病に対する患者の「解釈・思い(idea)」、自分の問題について患者がもつ「感情(feeling)」、医療者や治療結果に対する「期待(expectation)」、生活、QOL等の「(生活)機能に対する影響(function)」の4つの要素に分類され、患者の病気に対する思いや真の受診理由を把握することが可能となる。

 

(2)地域・家族を含め全人的に理解する

・BPSモデルの中の、社会的背景(コンテクストという)を把握すること

・コンテクストは近位(家族、家計、職業)と遠位(地域、文化、社会)に分けられる。

・コンテクストの一つ一つが疾患の発症や増悪、また患者の病い体験に影響を与えるため、患者一人一人が同じ疾患であっっても全く異なる様相を呈することになり、一人一人に異なる対応が求められる。

 

(3)共通の理解基盤を見出す

・最も重要な要素。

・これまでの経緯で獲得した患者理解に基づき、健康問題を同定し、そこに介入することで、患者に安心と満足をもたらすことを目指す

・まず、医療者側の理解(疾患)と患者の理解(病い)の問題点のギャップをお互いが認識して、ギャップを埋める作業を行う(「問題」)

・次いで、検査や治療などのマネジメントに関して目標を設定する(「ゴール」)。

・次いで、目標にむかって、医療者、患者がともに自分の役割を認識し、積極的に関わっていく姿勢を共有する(「役割」)

 

このような診療を心掛けることで、患者-医師関係がが強化され、医療者・患者双方に満足度の高い診療ができるのである。

 

 

日本プライマリ・ケア連合学会 基本研修ハンドブック

総合診療・家庭医療
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