咬症治療の原則
洗浄
・洗浄は必須。水道水で異物が残らないように洗い流す
・医院では18~19ゲージのプラスチックカテーテルを付けて、ゆっくり洗浄する
・洗浄液が排出されるように尖刃刀で創部を拡張するのも有効
創処置
・縫合はせず、開放創とするのが基本。
・猫咬症では、歯牙が細長く刺入部が深いため、感染を起こしやすい
・犬では、感染徴候がなく、受傷後12時間以内(顔では24時間以内)に症状がみられず、手や足の傷でない場合は縫合可能
抗菌薬
・人、猫、野生動物では抗菌薬は必須。
・犬は下記の場合に適応:
深い穿通創
中等度から重度の挫滅創
指、足などの血流が乏しい創
骨、関節部に近い創
深部組織に達する創
縫合した創
免疫不全患者、高齢者
・嫌気性菌との混合感染が問題となるため、セフェム単剤ではだめ(後述)
・感染を起こす潜伏期間は、犬では平均24時間、猫では12時間
専門医へのコンサルト適応
・腱に達する創
・皮膚欠損(顔面など)
・感染創
・fight bite
起因菌
Pasteurella mitocida:
・グラム陰性球桿菌
・猫100%、犬15~75%が保菌
Capnocytophaga canimorsus
・グラム陰性桿菌
・犬74%、猫57%が保菌、時に劇症化
抗菌薬治療
・嫌気性菌との混合感染が問題となるため、セフェム単剤ではだめ(後述)
1)AMPC/CAV (Amoxicillin / Clavulanate:オーグメンチン®)
1回375㎎、1日4回を5日間
2)ペニシリンアレルギーがある場合
クリンダマイシン(ダラシン®)1回300㎎ 1日4回
+併用:レボフロキサシン(クラビット®)1回500㎎ 1日1回
5日間
破傷風予防
免疫状況によって破傷風トキソイド、破傷風ヒト免疫グロブリンを投与
参照:破傷風(予防、治療)
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