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甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症、甲状腺クリーゼ

甲状腺機能亢進を疑う症状

・高熱

・頻脈

・頻呼吸

・意識障害

・四肢のふるえ

・落ち着きのなさ、意識障害

 

疾患

1)亜急性甲状腺炎

・30~50歳代、女性に多い

・症状:

のどが痛いといった漠然とした疼痛

発熱

倦怠感

前頸部圧痛(前頸部、それもやや下方)

・急性上気道炎の先行あり

・エコーで疼痛部位に一致した血流の乏しい境界不明瞭な低エコー領域

疾患

2)急性化膿性甲状腺炎

・頚部痛(顎や耳に放散、嚥下障害を伴うこともある)

 

3)下垂体腺腫(TSH産生)

・頭痛、視野障害(両耳側半盲)

 

4)Basedow病

・甲状腺細胞膜上にあるTSHレセプター、あるいはその近縁部位と反応する自己抗体であるTRAb(TSH receptor antibody:TSHレセプター抗体)が出現し、甲状腺ホルモンを過剰に分泌させて甲状腺機能が亢進する疾患(IgG抗体に属する)

・びまん性に軟らかい甲状腺腫大

甲状腺腫大の視診:

頸部を真横から見た時、正常では輪状軟骨の尾側は直線状だが、甲状腺腫があると、輪状軟骨の尾側が「前方に凸」になる

・甲状腺眼症(眼瞼後退、眼球突出、外眼筋機能不全など)

・甲状腺の血管雑音(動静脈瘻の発達による連続性雑音)

・ばち指

・非圧痕性浮腫(前脛骨部、上肢、肩、顔など)

・アキレス腱反射のhaif relaxation time(平均半弛緩時間:ハンマーで叩いた時からアキレス腱が元の位置へ半分まで戻る時間)の短縮;収縮したアキレス腱が再び弛緩する時間が短縮すること

 

検査

・甲状腺エコーでびまん性の血流増加

・TSH、FT3、FT4

TRAb(TSH receptor antibody:TSHレセプター抗体):甲状腺細胞膜上にあるTSHレセプターあるいはその近縁部位と反応する自己抗体で、IgG抗体に属する

TSAb(thyroid stimulating antibody):甲状腺細胞に患者血清を添加し細胞がどれだけ活性化するかで測定する方法。正常<120%

治療

① チアマゾール(MMI):メルカゾール®

・妊娠初期には催奇形性の危険性があり、妊娠5週0日~9週6日までは避ける

 

② プロピオチオウラシル(PTU):チウラジール®

・妊婦に使用可能

 

妊娠時一過性甲状腺機能亢進症

・妊娠に伴う高濃度のhCGが甲状腺に作用して亢進症を来す

・hCG>10×10^4mIU/mL以上では甲状腺機能亢進症を来しうる

・数週間で自然治癒するため、治療は不要

 

5)出産後甲状腺炎

 

 

検査

・fT4、fT3

・TSH

・甲状腺自己抗体(TRAb,TSAb)

・白血球数、分画

・ビリルビン

・トランスアミナーゼ

・アルカリフォスファターゼ

・腎機能

・凝固系

・エコー

 

甲状腺クリーゼ

・甲状腺中毒症の原因となる未治療ないしコントロール不良の甲状腺基礎疾患が存在し、これに何らかの強いストレスが加わった時に、甲状腺ホルモン作用過剰に対する生体の代償機構の破綻により複数臓器が機能不全に陥った結果、生命の危機に直面した緊急治療を要する病態をいう。

 

診断基準(日本甲状腺学会)

必須項目

甲状腺中毒症の存在:遊離 T3 および遊離 T4の少なくともいずれか一方が高値

症状(注1)

1. 中枢神経症状(注2)
2. 発熱(38 度以上)
3. 頻脈(130 回/分以上) (注3)
4. 心不全症状(注4)
5. 消化器症状(注5)

 

確実例:必須項目および以下を満たす(注6)

a.中枢神経症状+他の症状項目1つ以上、または、
b.中枢神経症状以外の症状項目 3 つ以上

疑い例

a.必須項目+中枢神経症状以外の症状項目2つ、または
b.必須項目を確認できないが、甲状腺疾患の既往・眼球突出・甲状腺腫の存在
があって、確実例条件の a または b を満たす場合(注6)。

 

(注1)明らかに他の原因疾患があって発熱(肺炎、悪性高熱症など)、意識障害(精神疾患や脳血管障害など)、心不全(急性心筋梗塞など)や肝障害(ウイルス性肝炎や急性肝不全など)を呈する場合は除く。

しかし、このような疾患の中にはクリーゼの誘因となるため、クリーゼによる症状か単なる併発症か鑑別が困難な場合は誘因により発症したクリーゼの症状とする。

このようにクリーゼでは誘因を伴うことが多い。甲状腺疾患に直接関連した誘因として、抗甲状腺剤の服用不規則や中断、甲状腺手術、甲状腺アイソトープ治療、過度の甲状腺触診や細胞診、甲状腺ホルモン剤の大量服用などがある。

また、甲状腺に直接関連しない誘因として、感染症、甲状腺以外の臓器手術、外傷、妊娠・分娩、副
腎皮質機能不全、糖尿病ケトアシドーシス、ヨード造影剤投与、脳血管障害、肺血栓塞栓症、虚血性心疾患、抜歯、強い情動ストレスや激しい運動などがある。

(注2)不穏、せん妄、精神異常、傾眠、けいれん、昏睡

Japan Coma Scale (JCS)1以上または Glasgow Coma Scale (GCS)14 以下。

(注3)心房細動などの不整脈では心拍数で評価する。

(注4)肺水腫、肺野の50%以上の湿性ラ音、心原性ショックなど重度な症状。

NewYork Heart Association (NYHA)分類 4 度または Killip 分類 III 度以上。

(注5)嘔気・嘔吐、下痢、黄疸(血中総ビリルビン > 3mg/dl)

(注6)高齢者は、高熱、多動などの典型的クリーゼ症状を呈さない場合があり
(apathetic thyroid storm)、診断の際注意する。

 

治療

βブロッカー

・HR≧90の場合

・プロプラノロール(インデラル®)

1回60~80㎎、1日6回

・気管支喘息では禁忌(→ベラパミル、もしくはジルチアゼム)

 

抗甲状腺薬

チアマゾール(メルカゾール®)

1回20㎎、1日3~4回経口投与

 

副腎皮質ステロイド
アセトアミノフェン
血漿交換
外科手術

 

 

 

 

 

内分泌・代謝
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