典型的病歴
・乳児では「発熱」「鼻汁」が高頻度。その他「不機嫌」「食事摂取困難」「断眠」
・幼児~学童では「鼻汁」「鼻閉」「咳嗽」が主症状
※「下痢」や咳き込みを伴わない「嘔吐」はまれ
原因ウイルスの季節性変化
春:アデノウイルス
春、秋:ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス
夏:エンテロウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス
冬:コロナウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス
症状の持続時間
・6歳未満では14日程度
・6歳以上では5~7日
・低年齢のほうが長引きやすい
・「鼻閉」「鼻汁」「咳嗽」「くしゃみ」は2~3日でピークを迎え、徐々に改善
・「咽頭痛」は1週間程度続く
注意すべき合併症
・細菌性中耳炎
・喘息
・「肺炎」の合併の可能性は、「風邪の症状が発現後、数日経過してから新規の発熱があった場合」に考慮する必要あり。
・「ウイルス性下気道感染」は、「新規の発熱がなく咳嗽が継続する場合」に考慮する必要がある。
風邪以外を想起すべき症状
・39℃を超える高熱
・長く継続する発熱
・ぐったりした外観
・鼻症状がない
・口腔粘膜の異常
・喘鳴
・肺の異常所見
・突然発症の咳嗽や呼吸努力の存在
鑑別すべき疾患
アレルギー性鼻炎
急性細菌性副鼻腔炎
鼻腔異物
異物誤嚥
百日咳
鼻腔の構造異常
インフルエンザ
細菌性扁桃腺炎
咽後膿瘍
髄膜炎
川崎病
心筋炎
診察の注意点
・「stridor」や「 sniffing position」がある場合は安易に咽頭の評価は行わないこと
・stridorは「気道狭窄」を意味し危険のサイン
・舌圧子は事前に濡らしておくと、嫌な味が軽減する
・「咽頭粘膜の発赤」は「頬粘膜」と比較。頬粘膜より赤味が強い場合は「有意な発赤」と診断。
・開口制限は「患児の3横指未満しか開口できない場合」に診断
→炎症が「外側翼突筋」まで波及していることを意味する
・「頸部後屈制限」は「咽後膿瘍」で最も多い所見の1つ(玩具などで追視させて評価)
治療方針(薬剤)
発熱
・発熱は生体の防御反応で、子供は38℃台でも元気であり、解熱剤の必要性は低い
・ただし熱でぐったりしている、ぐずって眠れない場合に使用して体力の消耗を防ぐ
例)アセトアミノフェン 10㎎/㎏/回
38.5℃以上、熱で辛そうな時
6時間以上開けて
ただし平熱まで下がる訳ではないことを事前に説明しておくこと
鼻水
・抗ヒスタミン剤は熱性けいれんとの関連性がしてきされており、また効果も少ない
・それよりも鼻汁の粘稠性を下げる去痰薬や鼻吸引が有効
咳
・咳込んで眠れない、吐くなどの場合に、体力消耗を防ぐために処方
再受診の目安
・熱が3日以上続く場合
・熱が5日以上続く場合は小児科専門医へ紹介
・増悪傾向のある咽頭痛
・食事が摂れない、ぐったりの程度が強い
・呼吸窮迫
・経過中に新規の症状出現
総合診療 2020年 3月号 これではアカンで! こどもの診療 ハマりやすい11のピットフォール
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