参照:
胃瘻交換後の確認の必要性
・PEGで造設する瘻孔は、長期間にわたり胃壁と腹壁を密着することで形成される。
・その瘻孔自体は薄い膜で出来ており、造設後6ヶ月以内の症例や栄養状態の悪い症例の瘻孔は、その強度が弱くカテーテル交換による力学的な負荷に耐えられる強さではない場合がある。
・また瘻孔の方向と異なった方向にカテーテルの挿入を行った際などに、カテーテルの先端が胃内へ挿入されず、腹腔内へ留置される場合がある。これが「腹腔内誤挿入」で、胃瘻カテーテル交換の後、カテーテルは外見上では一見正常に挿入されているように見えても、先端が瘻孔を破壊穿破して腹腔内に留置されている状態となる。
・腹腔内誤挿入は希ではあるが、避けることの出来ない合併症といえる。
・腹腔内誤挿入が発生した際は、適切な管理を行えば重篤な事態に至ることはない。しかし、誤挿入に気付かずに栄養剤の注入を行うと、栄養剤が腹腔内に注入され、汎発性腹膜炎の原因となり重篤な状態となる。
・経鼻胃管においては、その挿入後に肺への誤挿入が発生し得ることが広く認知されているため、挿入後の先端確認が重要視され確実に行われている。しかし胃瘻カテーテルの交換の際は、かつて腹腔内誤挿入の発生が充分認知されていない状況においては、その確認が必須とはされなかった。
・しかし、腹腔内誤挿入が広く認知されてきた昨今においては、胃瘻カテーテルの交換後も経鼻胃管挿入時と同様に、その挿入が胃内へ確実に行われているか確認する事が重要視されている。
ガイドワイヤーを用いた胃瘻交換法
参照:
カテーテル交換後の確認方法
・カテーテル交換後の確認方法は各種あり、煩雑なものと簡便なもの、在宅で可能なものと医療機関でのみ可能なものがある。
・それら各方法においては、その利点と問題点を熟知した上で、対象となる症例の状態や環境に合わせ、その方法を選択することが望ましい。
・カテーテル交換後の確認方法は、直接法と間接法に分類される。直接法とは、胃瘻カテーテルの先端および内部ストッパーを直接視認することにより、カテーテルの胃内への挿入を確認する方法である。一方、間接法とは胃瘻カテーテルの先端および内部ストッパーを直接視認することなく、何らかの方法でカテーテルの胃内への挿入を確認する方法となる。
間接確認法
・送気音による確認 →非推奨
・胃内容物の吸引による確認 →非推奨
・色素液注入による確認(スカイブルー法)
・レントゲン設備を利用した確認
直接確認法
・経胃瘻カテーテル内視鏡による確認
・経鼻/経口内視鏡による確認
在宅・介護施設での交換手技
・バルーン型に関しては内視鏡やX線透視設備の無い在宅や施設で汎用されており、簡便な盲目的胃瘻交換が行われることが多い。
・バンパー部のバルーンに入っている蒸留水をシリンジで吸引した後、古いカテーテルを経皮より抜去する。ひきつづき新しいカテーテルを胃内に入れ再度蒸留水を適量バルーンに入れ固定する。
・注意点として交換後、新しいカテーテルが胃内に挿入されていることを確認する必要がある。
・胃内容物の吸引で間接的に確認する方法がとられることが多く、交換前に胃内へ液体を注入し、交換後に再度胃内容物を確認する方法である(スカイブルー法)。この方法はあくまで間接的な確認法である。
・なお、交換後カテーテルからの送気音を確認する方法は推奨されていない。なぜなら、腹腔内にカテーテルが誤挿入された場合でも、送気音が聞こえるからである。
色素液注入による確認(スカイブルー法)
方法:
・カテーテルの交換を行う前に、あらかじめ胃内へ色素液を注入した後に交換を行い、交換後に色素液の吸引確認をする方法である。代表的な方法としては、鈴木らの報告によるスカイブルー法がある。
・本法は100mlの水に1mlのインジゴカルミン®を混入した色素液を、交換前に胃内へ注入し交換後に吸引して確認する方法である。
・30mlL以上吸引できた場合、または自然排液があった場合に胃内留置と判断
・その確認法においては、感度91%、特異度100%、陽性適中率100%、陰性適中率6%と非常に高い有効性が示された。
・簡便に実施が可能であり、在宅でも実施が可能である。安価に実施が可能であり、交換の確実性も非常に高い方法である。
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