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クリオグロブリン血症性血管炎

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疾患

・クリオグロブリンは低温下(37℃より低い温度)で沈殿し、37℃で加温すると再び溶ける可逆的に沈降する免疫グロブリン。

・クリオグロブリンが血中に増加した状態をクリオグロブリン血症と呼ぶ

・クリオグロブリン血症性血管炎は、免疫複合体の関与する小血管炎(主に毛細血管、細静脈、細動脈)に分類される

 

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原因

・基礎疾患のない「本態性」と、多発性骨髄腫や原発性マクロブロブリン血症などの血液疾患やシューグレン症候群、SLEなどの膠原病、悪性リンパ腫や肝疾患などおw基礎疾患として生じる「続発性」に分類される

C型肝炎との関連

・1989年にC型肝炎ウイルスが同定され、大半の症例にC型肝炎ウイルス感染症が関与していることが判明した。

・C型肝炎ウイルスの50%以上でクリオグロブリンが陽性となるが、実際に血管炎を起こすのはその極一部である

 

その他の原因

・その他、Ⅰ型クリオグロブリンを生じる疾患として多発性骨髄腫やマクログロブリン血症など血液疾患、II・III型クリオグロブリンを生じる疾患としてSjögren症候群や全身性エリテマトーデスなどの膠原病、悪性リンパ腫などのリンパ増殖性疾患、各種感染症があります。

 

 

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クリオグロブリン血症の分類

クリオグロブリンの構成成分に基づいて、3型に分類される

I型:単クローン性免疫グロブリン(10~15%)
II型:多クローン性IgGと単クローン性IgM(50~60%)
III型:多クローン性IgGと多クローン性IgM(30~40%)

 

 

症状

・紫斑(下肢から始まり、立位や寒冷で増悪)、レイノー現象(主に指の色が白→青→ピンクなどのように寒冷で変化する)、皮膚壊死(鼻、耳、指趾、寒冷刺激で増悪)、関節痛、筋力低下、腎障害(特に膜性増殖性糸球体腎炎)、神経症状(末梢神経症状:軽度の知覚異常を伴う感覚神経障害が多い)など

・触知可能な紫色の斑点(purpura)、関節痛(arthralgia)、筋力低下(weakness)が知られています。

・皮膚病変は下肢に好発し、寒冷刺激部位に網目状の皮疹・紫色の斑点・潰瘍などの症状を呈します。

・腎障害は症状を伴わない血尿・蛋白尿が50%と最も多く,20%は血液中の蛋白が尿中に漏れ出るネフローゼ症候群、30%は急速に腎障害をきたす急性腎炎症候群を呈します。

 

診断

・現在のところ診断基準は特に定められたものはない。

 

検査所見

・CRP陽性赤沈亢進

・血清補体価の低下:

高頻度にみられ、特にC4,C1q,CH50は高度の低下、C3は軽度低下を示すことが多い

→SLEとの鑑別

・リウマチ因子陽性(70~100%)

・皮膚の病理組織

真皮上層~中層の血管に壊死性血管炎の像

・腎臓の病理組織学的検査

膜性増殖性糸球体腎炎の形態像をとるものが80%と頻度が高い。

・基礎疾患の有無の検索も行う

※鑑別すべき疾患

SLE(補体低値、リウマチ因子陽性)

ANCA関連血管炎

IgA血管炎などの全身性小型血管炎

抗リン脂質抗体症候群などの血栓症

血栓性微小血管障害症

膠原病に伴う血管炎

クリオフィブリノーゲン血症など

 

C型慢性肝炎やリンパ増殖性疾患などの基礎疾患の場合

肝臓専門医や血液専門医等の各分野の専門医と連携をとりながら,基礎疾患に応じた治療を行う

 

治療

・原疾患の種類、病状の重症度によって治療法が異なります。

・全身性血管炎、活動性の高い腎炎の場合:
ステロイドやシクロホスファミド(商品名:エンドキサン®)などの免疫抑制療法、血漿交換療法等を行います。

 

生活上の注意

寒冷曝露をさけて保温に努めるよう指導

 

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