疾患
・ネコの唾液中に含まれる細胞内寄生・グラム陰性桿菌である「Bartonella henselae」「Bartonella clarridgeiae」を原因菌とする感染症である。
・引っ掻き傷や咬症部から感染し、感染部位には水疱や膿疱を形成し、感染部位に近いリンパ節の腫脹、発熱をきたす
・唾液中に含まれているため、舐められただけでも感染リスクがある
・保菌率の高い1歳未満の子猫からの感染が多い
・潜伏期間約2週間
・猫間の感染はネコノミを介して行われ、夏の間に飼い猫に感染し、冬季に飼い主に感染が広がるケースが多い
症状
発熱(55%)
・不明熱として来院することもある
リンパ節腫脹(94%)
・リンパ節腫脹は感染部位に近いリンパ節の腫脹を認める。
・片側性有痛性リンパ節腫脹となる
・手から感染することが多いため腋窩(30%)が最多で、その他頚部(22%)、鼠径(19%)
倦怠感、食欲低下
筋痛、関節痛
高齢者では脳炎や心膜炎など
眼症状
・ぶどう膜炎
・強膜炎
・視神経網膜炎
・パリノー眼腺症候群
中枢神経症状
・脳炎
・髄膜炎
診断
・培養は難しく時間も要する
・リンパ節の組織生検(悪性腫との鑑別に難渋することがある)
・血清抗体(ヘンセレIgM、IgG抗体)
治療
・抗菌薬投与がなくとも、数週~1、2か月程度で自然軽快するが、
リンパ節腫脹は2~4か月続くこともある
・抗菌薬:アジスロマイシン5日間(初日500㎎、250㎎×4日)
・重症例ではステロイド
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