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ヒドロモルフォン(ナルサス®、ナルラピド®)

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ヒドロモルフォン(ナルサス®、ナルラピド®)

徐放性製剤:ナルサス® 2mg、6mg、12mg、24mg/錠

突出痛に対して臨時服用する即放性製剤:ナルラピド® 1mg、2mg、4mg/錠

注射剤:ナルベイン® 2㎎/1mL、20㎎/2mL(経口モルヒネ製剤500㎎に相当)

 

・ヒドロモルフォンは、μオピオイド受容体に作用し鎮痛効果を発揮する半合成オピオイド鎮痛薬である。

・構造的にモルヒネと類似し、鎮痛効果や副作用はモルヒネやオキシコドンとほぼ同等と言われている。

・WHO方式がん疼痛治療法でも、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどと共に、「中等度から高度の痛みに対して使用する強オピオイド」として分類される。

・日本では長らく未承認であったが、2017年6月にヒドロモルフォン経口薬として、持続痛に対して定期服用する徐放性製剤(ナルサス®)と、突出痛に対して臨時服用する即放性製剤(ナルラピド®)が発売された。

・オピオイド鎮痛薬を少ない量から始めたい場合に有効。例えば、経口モルヒネで定期服用に使用する徐放性製剤は20㎎/日が最少用量となる。これに対して、経口ヒドロモルフォン徐放性製剤では2㎎/日(経口モルヒネ換算で10㎎/日)が最少用量であり、より少ない量から始めることができる。

・注射剤としてナルベイン® は、2㎎/1mLと高濃度規格製剤の20㎎/2mLがあり(経口モルヒネ製剤500㎎に相当)高用量持続皮下注に対応しやすい。

 

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ヒドロモルフォンを選択する場面

他のオピオイド鎮痛薬からの変更

・オピオイド鎮痛薬を使っていて効果が不十分な場合や副作用が出た場合に、薬剤変更を行うことがある。

・ヒドロモルフォン経口薬の鎮痛効果は、同用量のモルヒネ経口薬の約5倍とされている。

オピオイド鎮痛薬を少ない量から始めたい場合

・例えば、経口モルヒネで定期服用に使用する徐放性製剤は20㎎/日が最少用量となる。これに対して、経口ヒドロモルフォン徐放性製剤では2㎎/日(経口モルヒネ換算で10㎎/日)が最少用量であり、より少ない量から始めることができる。

内服負担を減らしたい場合

ヒドロモルフォン徐放性製剤は1日1回服用のため、1日に何度も錠剤をのむことに負担のある方は負担低減となる。

代謝酵素チトクロームP450(CYP)の誘導・阻害に関わる薬剤との併用時

・ヒドロモルフォンの主な代謝経路は肝でのグルクロン酸抱合である。そのためCYPによって代謝を受ける薬との相互作用は起こりません。

呼吸困難への利用の可能性(保険適用外)

・モルヒネ経口薬は、鎮咳にも適用される。

・日本緩和医療学会の「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン(2016年版)」では、がんによる呼吸困難に対してモルヒネの全身投与(内服や注射など)が推奨されている。ヒドロモルフォンはモルヒネと構造が似ていることから、呼吸困難や咳嗽による苦痛が緩和できる可能性がある。

・欧州臨床腫瘍学会のガイドラインでは、がんによる呼吸困難の治療薬としてモルヒネ、ヒドロモルフォンを挙げていますが、現在日本では保険適用外である。

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ヒドロモルフォン使用の注意点

腎機能障害時、肝機能障害時

腎機能や肝機能が低下した方では、これらの機能が正常な方に比べてヒドロモルフォンの血中濃度が高くなるため、副作用が出現しないよう、慎重に観察し用量調整を継続します。

食事の影響

空腹時と比較して食後内服時で、ヒドロモルフォンの血中濃度が上昇したという報告もあります。服薬時の条件(内服予定時刻と食事の時間間隔など)をある程度決めておくことが望ましいでしょう。

オピオイド鎮痛薬としての副作用

どのオピオイド鎮痛薬でも、眠気、吐き気、便秘などの副作用に注意します。これらの症状は、オピオイド鎮痛薬以外の原因でも起こります。症状の原因を見極め、それに応じた適切な対処が必要です。

眠気:

ヒドロモルフォン開始後・増量後に眠気が強まることがありますが通常は数日で改善します。強い眠気が続く場合には医師にご相談ください。

吐き気:

ヒドロモルフォンを使い始めて吐き気がでる方もいますが、1~2週間でおさまることが多く、その間は吐き気止め(制吐剤)を併用して対応します。

便秘:

オピオイド鎮痛薬によって便秘が起こっている場合(=オピオイド誘発性便秘症、opioid-induced constipation: OIC)は、通常の排便調整(便秘薬や浣腸など)のほかにOIC治療薬ナルデメジン(スインプロイク®外部リンク、2017年6月発売)も選択肢となります。

副作用があっても、オピオイド鎮痛薬の連用中に急激に減量したり突然中止すると、退薬症候(発汗、あくび、不安、不眠、落ち着かない、など)が出現することもありますので、副作用の対症療法をしつつ徐々にオピオイド鎮痛薬を減量したり他の鎮痛薬に変更するなどの手順を踏む必要があります。副作用と考えられる症状の出現時は医師に報告し対応についてご相談ください。

 

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