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リウマチ熱

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疾患

・リウマチ熱は、A群レンサ球菌(Group A streptococcus:GAS)の上気道感染後、2~4週間で発症する急性の非化膿性炎症性疾患

発熱、多関節炎、心炎、皮下結節、輪状紅斑、舞踏運動などを引き起こす。

・好発年齢は5歳~15歳の小児に最も多い(この年齢はレンサ球菌咽頭炎の発症のピークである)

・成人発症はまれ(3歳未満と21歳以降ではまれ)

・A群レンサ球菌(GAS)咽頭炎が急性リウマチ熱の先行する病因であるが,宿主側の因子および環境因子も重要である。GASのMタンパクは滑膜,心筋,心臓弁にみられるタンパクと共通のエピトープ(抗体に認識される抗原決定基となる部分)を有し,このことはリウマチ原性(rheumatogenic)の高い株のGAS抗原による分子擬態(molecular mimicry)が関節炎,心炎,および弁損傷に寄与していることを示唆している。

・宿主の遺伝的危険因子には,D8/17 B細胞抗原と特定の組織適合性抗原クラスIIなどがある。

・低栄養,過密環境,社会経済的地位の低さが,レンサ球菌感染とその後のリウマチ熱発症の素因となる。

 

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症状

・GASによる咽頭炎の感染を確認できれば良いが、2/3の症例では最近の咽頭痛を覚えておらず、

3/4の症例では咽頭培養も陰性である

(→咽頭培養や迅速検査が陰性でも臨床的に疑った場合はASOやASKを施行すること)

関節炎は感染後3週間以内に呈する最も早期に出現する症状

・関節炎は多関節炎(膝、足関節、肘関節、手関節)、移動性関節炎を呈する

・関節炎は無治療でも4週間以内には軽快する

・関節炎は膝関節や股関節などの大関節に多く、1~3日で自然軽快し、移動性であること、NSAIDが著効することが特徴。

・GASの先行感染から2~3週間後に関節炎(75%)を発症し、その後1週間以内に弁膜炎などの心炎(50~60%)、輪状紅斑(0~12%)、PR間隔の延長(20%)を発症する。

 

輪状紅斑:

参照(このサイトより引用):https://www.dermatologyadvisor.com/home/decision-support-in-medicine/dermatology/erythema-marginatum-erythema-marginatum-rheumaticum-erythema-annulare-rheumaticum/

・心炎は心外膜、心内膜、心筋を侵し、無治療のまま放置すると、数十年後にリウマチ性心疾患を起こす可能性がある

 

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診断

急性リウマチ熱の臨床徴候

先行するA群連鎖球菌感染症があり、

かつ

主徴候2項目以上

または

主徴候1項目+副徴候2項目以上

または

副徴候3項目以上

を満たすときに診断する

(ただし主徴候で関節炎がある場合は、副徴候として関節痛を採用しないこと)

<主徴候>

・心炎(無症候性を含む)†

・多関節炎

・中枢神経症状(シデナム舞踏病)

・皮下結節

・輪状紅斑

<副徴候>

・多発性関節痛‡

・発熱・関節炎は膝関節や股関節などの大関節に多く、1~3日で自然軽快し、移動性であること、NSAIDが著効することが特徴。

・炎症反応亢進(ESR≧60mm/時)かつCRP≧ 3.0mg/L)

・心電図でPR間隔延長(心電図上)§

 

※注

・急性リウマチ熱を診断するには『主項目2つ』または『主項目1つと副項目2つ、およびA群レンサ球菌感染の証拠(臨床像からレンサ球菌咽頭炎が示唆される小児において,抗レンサ球菌抗体価[例,抗ストレプトリジンO抗体,抗DNase-B抗体]の高値または上昇,咽頭培養陽性,または迅速抗原検査陽性)』が必要となる。

・†心炎は症候性の場合と非症候性の場合がある。非症候性の心炎は,厳密な心エコー上の基準によって定義される。

・‡多関節炎が主症状であれば,多発性関節痛は診断に用いられない。

・§PR間隔は年齢によって補正し,また心炎が主症状であれば診断に用いられない。

 

治療

・治療には,アスピリンまたはその他のNSAIDの投与,重症心炎発生時のコルチコステロイド投与,残存するレンサ球菌の根絶と再感染防止のための抗菌薬投与が含まれる。

 

 

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