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上腸間膜動脈症候群

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疾患

・大動脈と上腸間膜動脈の間に十二指腸水平脚が挟まれることにより発症する

・上腹部痛,吐き気・嘔吐などの消化器症状を認め,胸膝位と腹臥位により症状が改善することがある。

・慢性型では腹部膨満感,上腹部痛,吐き気・嘔吐を間欠的に長期にわたり認め,るい痩,栄養不良状態が進行することもある。

・10~39歳の女性に多い(若年者の原因不明の嘔吐)

・通常は慢性(急性は稀)の食後の嘔吐で、腹臥位や胸膝位、左側臥位で軽快する

・慢性の原因不明の嘔吐であり、心因性と誤診されてしまう可能性があり注意

 

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検査所見

腹部立位単純X線

・十二指腸水平脚の閉塞による胃・十二指腸の拡張のため,double bubble signを認める

 

腹部超音波検査、腹部CT検査

・十二指腸の拡張および狭窄部位,上腸間膜動脈や大動脈との角度・距離・周囲脂肪組織量を評価する。

・腹部大動脈と上腸間膜動脈のつくる角度が20°以下,距離が8mm以下であることが多い(正常では45~60°)

 

上部消化管造影

・十二指腸近位部の著明な拡張

・水平脚中央で認められる急激な断列像(cut off sign)

・造影剤の振子運動

 

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治療

① 保存的治療

・本症の治療は保存的治療が第一選択である。

・急性期では,絶飲食,胃管留置による減圧,脱水・電解質異常の補正を行う。

・慢性期の食事は少量ずつ頻回にわけて摂取

食後に左側臥位ないし腹臥位をとることで上腸間膜動脈の分岐角を広げ食物の通過を促す。

・上記に奏効しない場合には,上腸間膜動脈根部周囲の脂肪組織を増やすことを目的に,十二指腸水平脚を越えて経鼻空腸チューブや経胃瘻的空腸チューブを留置し(Treitz靭帯を超えたEDチューブ)経腸栄養を行う。

・完全静脈栄養等を行う場合もある。

 

② 手術療法

・上記の保存的治療抵抗例や早期に社会復帰を強く希望する症例が手術適応となる。

・術式には,十二指腸水平脚授動術,十二指腸前方転位術といった十二指腸水平脚の上腸間膜動脈からの圧迫を解除する方法と,バイパス手術である十二指腸空腸吻合術などがある。

・近年は腹腔鏡下によるバイパス術も多く報告されるようになっている。

 

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