疾患
・中枢神経組織の脱髄性炎症疾患
・ミエリンに対する自己免疫機序が原因
・20~30代の若年女性に多い。
・空間的時間的多発性が特徴。
症状
・視力、視野障害(初発症状として最多)
・眼球運動障害
・めまい
・構音障害
・筋力低下
・感覚障害
・小脳失調
・膀胱直腸障害
特徴的症状
球後視神経炎
視野の中心部が見えにくくなる中心暗点
Uhthoff(ウートフ)徴候
・体温の上昇によって一過性に神経症状が増悪すること。
・特に入浴後や運動後
・温度上昇によって脱髄病変の伝導障害が一時的に増悪するため
・視力障害、脱力、しびれ、痙攣など
Lhermitte徴候
・頚部を前屈させると、四肢や体幹への電撃様の異常感覚の放散が誘発される徴候。一種の反射性根性疼痛と考えられる
・脊髄視床路や後索障害が原因
有痛性強直性痙縮
痛みをともなって筋がつっぱり、一定時間動かせなくなること
検査
髄液の異常所見
オリゴクローナルバンド
髄液蛋白の電気泳動においてγ-グロブリン領域に幅狭く濃染した数本のバンドが出現するもの。
MS を始めとする脱髄性疾患や中枢神経系の感染症などで高率に検出され、とりわけMS では重要な診断指針とる。
IgGインデックス
多発性硬化症では髄腔内で免疫グロブリンが産生される。多発性硬化症ではリンパ球が髄液中に移行し、中枢神経内でIgG合成が起こるため、IgG濃度が増加する。
アルブミンは肝臓のみで合成されるため、髄液中アルブミンは脳脊髄液への移行で出現するものと考えられる。
この現象を応用し、中枢神経系内でのIgG合成を推定する検査が「IgGインデックス」である。
髄液中IgGおよび血清IgGの値をそれぞれのアルブミンで補正したもの
=(CSF-IgG / CSF-Alb) / (血清-IgG / 血清-Alb)
多発性硬化症としばしば鑑別が問題となるウイルス性髄膜炎では、髄液中タンパク質濃度は上昇するが、BBB破綻による血清タンパク質の移行によるものが主体のため、IgGだけでなくアルブミンの上昇も認められる。したがって、IgGインデックスはあまり上昇しない。
IgGインデックスは、多発性硬化症が強く疑われる症例において、オリゴクローナルバンドとともに、鑑別診断を進める上で有用な検査と考えられる。
視神経脊髄炎(NMOSD)
・歴史的にはデビック(Devic)病とも呼ばれ、重症の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする。
・視神経炎は失明することもまれではなく、視交叉病変により両眼性視覚障害を起こすこともある。・また、脊髄炎は、MRI矢状断ではしばしば3椎体以上に及ぶ長い病変を呈し、軸位断では慢性期には脊髄の中央部に位置することが多い。
・アクアポリン4抗体(AQP4抗体)はNMOSDに特異的な自己抗体であり、半数以上の症例で陽性である。
リハビリテーションでの注意点
・過度の運動負荷をかけないように注意する
・安静期間を入れた反復訓練が望ましい
・過度の運動負荷は再燃を誘発しやすい
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