乳幼児健康診査の頻度
・母子保健法に基づいて、公費で乳児健診として「1歳6か月健診」と「3歳児健診」の2回(多くの市町村では3回)行われている。
成長評価(すべての年齢で実施)
・「平均値から±2以上の逸脱」や「成長率の急な変化」があれば原因検索を行う
心雑音
無害性雑音(Still雑音)
・胸骨左縁下部から心尖部できかれる「弦を弾くような収縮期雑音(楽音様)」
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※無害性の判断でも、のちに心疾患が見つかることもある
→病的と無害性の判断は難しく、臨床経験を要するため、迷ったら専門医へ紹介した方がよい
各月齢、年齢ごとの健診
1か月健診:出生した病院で行うことが多い
・体重増加:25~30g/日以上なら良好。20g/日未満なら疾患の有無に注意
【精査や観察を要する例】
・体重増加不良、嘔吐の悪化→肥厚性幽門狭窄症、心疾患
・黄疸、灰白色便→胆道系疾患
・マススクリーニングで「要精密検査」→大至急、専門機関へ
・イチゴ状血管腫→増大傾向ならβ2阻害薬適応の可能性
3~4か月:集団または個別健診
発達
・体重(出生時の2倍)
・定頚(3~4か月)
・追視(3か月)
・あやし笑い(2か月)
・Moro反射消失
発育性股関節形成不全の鑑別
・治療開始が早い方が整復の成功率が高いため、生後3~4か月までにはスクリーニングされることが望ましい
・リーメンビューゲル法の適応は生後6か月未満である
【2次健診紹介基準】
① 股関節開排制限がある
または以下②~⑤のうちの2つ以上がある
② 大腿部または鼠径部の皮溝の左右非対称
③ 股関節疾患の家族歴
④ 女児
⑤ 骨盤位
予防接種を開始できているかの確認
6~7か月
・寝返り」(5~6か月)
・座位保持」(7~8か月)
・人見知り
8~10か月:集団または個別健診
・はいはい(8~9か月)
・つかまり立ち(9~10か月)
・伝い歩き(10か月)
・パラシュート反射
・表情で意思表示
12か月(1歳)
・独歩(2,3歩歩く)(12~18か月)
1歳6か月:法定健診(集団または個別)
・意味のある単語(有意語)3語以上(マンマ、パパ、ブーブー、ワンワンなど)
→2語以下で要フォローアップ
・簡単な指示に応じる
・一人歩き
・積み木を積む
・コップで飲める(1歳6か月~2歳)
・視線が合う、興味ある物への指差し、共同注意
診察内容
・ペンライト追視
・心音聴診:(2thRSB(AS)、2thLSB(ASD)、4thLSB(VDS)」
・歩容(2m以上歩けるか)
・小走り10mくらい
・大泉門閉じているか
・腹部にしこりないか
・陰嚢(睾丸あるか)
2歳
・階段を2足1段で上がる
・2語文
3歳(法定健診)
・自分の名前が言える
・3語文
「名前は?」
「いくつかな?」
「協力的か?」
「目線が合うか?」
「会話が成り立つか?」
・一人で服を着る(3~4歳)
・視覚、聴覚、尿検査
4歳
・スキップ
5歳
乳幼児健診の3つの軸
・全年齢で「成長」に注意(身長、体重)
・年齢が低いほど、「疾患」に重きを置く(先天疾患など)
・年齢が上がるほど「発達」に重きを置く(自閉症、知的障害など)
CHEER(Child Health Examination and Empowerment of child Rearing)
総合診療 2020年 3月号 これではアカンで! こどもの診療 ハマりやすい11のピットフォール
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