疾患
・椎骨動脈 V4(硬膜を貫通してから対側のVAと合流するまでのsegment)から分岐する延髄傍正中動脈あるいは脳底動脈の閉塞による疾患。
・両側性のこともある。
・顔面を除く、対側の上下肢麻痺、感覚障害がおこる。
皮質脊髄路(錐体路)→対側の顔面を除く上下肢麻痺
内側毛帯→対側の半身の消化管、深部感覚障害
舌下神経核(Ⅻ)(もしくは核下線維障害)→同側の舌下神経麻痺(舌半側の麻痺・萎縮)
・しかし血管支配にはvariationがあるため必ずしもこれらが全て揃うわけではない
・問題は舌下神経麻痺でこれがあれば延髄を病巣として同定しやすいですが(脳神経の最も下位はⅫ:舌下神経)、舌下神経核が障害をまぬがれる場合も約4割程度あることが知られており、そうすると頸髄の片側性障害との鑑別は困難。
両側障害症例→ギラン・バレー症候群との鑑別
・延髄下部の障害では前脊髄動脈の障害により、両側性に延髄梗塞をきたすことも報告されている(延髄内側梗塞の2.2-13.4%とまれ)
・この場合は四肢麻痺を呈し、脊髄障害(頸髄)との鑑別が必要になる場合や、嚥下障害を伴うとギラン・バレー症候群との鑑別が必要となる場合など様々。
・四肢麻痺で頸髄と末梢神経、筋疾患(特に周期性四肢麻痺など)が除外されれば「何もないかな?」とつい思ってしまいますが、神経解剖的には延髄下部の可能性が残っているため注意が必要です。
・両側延髄内側梗塞を起こした場合、DWI高信号の形がハート型のように見えることがあり、heart apperance signと呼ばれる(前内側、外側脊髄動脈の閉塞によるが、稀)
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