ポルフィリン症とは
・ヘム代謝系に関わる8つの酵素のいずれかの活性低下により、ポルフィリン体あるいはその前駆体が蓄積することによって発症する遺伝性の代謝疾患
・現在9つの病型に分けられる。
・これらのうち光線過敏など皮膚の症状を主に生じるものを「皮膚型ポルフィリン症」と呼び、腹痛、運動麻痺など急性の症状を合併するものを「急性型ポルフィリン症」と呼ぶ
急性間欠性ポルフィリン症(AIP)
・常染色体優性遺伝
・ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ欠損によるポルフォビリノーゲン過剰蓄積による疾患
・ポルフィリンの過剰産生が肝細胞で起こるか,造血幹細胞で起こるかによって「肝性」と「骨髄性(赤芽球性)」とに分類される。
・ポルフィリン症は,通常の検査で異常を指摘できないこともあり,疑うことができなければ診断に苦慮することになる。結果的に精神疾患と誤診されてしまうかもしれない
「繰り返す腹痛+精神症状」を診た場合には,鑑別診断に加える。
AIPの症状
・症状でもっともよく見られるのは腹痛で,嘔吐,吐き気,便秘,下痢といった消化器症状を伴うこともある。
・Güntherの三徴:「強い腹痛」「嘔吐」「便秘」
腹痛の原因は、肝臓で神経毒性物質であるアミノレブリン酸、ポルフォビリノーゲンが生成されることとされる
・四肢の脱力、疼痛
・不安,せん妄,痙攣、といった精神症状を来たすことも多い。
・代表的な発作誘発薬剤としては,バルビツール酸系薬剤,サルファ剤,抗けいれん薬,経口避妊薬,エストロゲン製剤などが知られる。
診断:
・診断には尿中ポルフォビリノーゲンの測定が必要であるが,非発作時には上昇していないことも多いため注意を要する。
・尿を放置すると赤黒く変色(ポートワイン色)する
治療
・発作の急性期治療にはへミン製剤が有効
ヘミンとして3 mg/kgを1日1回,4日間点滴静注
(1日当たりの製剤の投与量は250 mgを超えないように調整)
・ブドウ糖の投与が発作を軽減すると言われており,10%ブドウ糖液でブドウ糖を少なくとも300 mg補う。
コメント