ガイドライン
編集:日本消化器病学会
定義(ガイドライン2021)
機能性ディスペプシアとは「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」である。
有病率
・日本人の機能性ディスペプシアの有病率は健診受診者で11~17%、病院受診者の44~53%
分類
・食後の上腹部違和感を主徴とする「食後愁訴症候群」と、食事摂取とは無関係に心窩部痛が出現する「心窩部痛症候群」に分類される
・H.pylori感染を伴うディスペプシアは「H.pylori関連ディスペプシア」とされ、FDとは区別される
病態
下記の因子が複合的に関与していると考えられている
・胃十二指腸運動異常
・内臓知覚過敏
・心理社会的因子
・胃酸分泌
・遺伝的要因
・生育環境
・感染性胃腸炎の既往
・運動・睡眠・食事内容・食習慣等のライフスタイル
・消化管微小炎症
警告徴候
・高齢での新規症状発現
・体重減少
・再発性の嘔吐
・出血
・嚥下障害
・嚥下痛
・腹部腫瘤
・発熱
・食道がんや胃がんなどの家族歴
診断
・基本は除外診断
・内視鏡検査を積極的に行い、器質的疾患の除外に加え、H.pylori感染の有無の確認を行う
・自己記入式質問票は診断に有用
自己記入式質問票
・ディスペプシア症状の種類や程度などを評価する質問票として、GSRSや出雲スケール、改訂Fスケールなどがあります。
・改訂Fスケールは、7つの胃食道逆流症(GERD)症状と7つのディスペプシア症状、計14症状に関する頻度を聞き取る項目から成り立っており、機能性ディスペプシアやGERDの診断の一助になります
治療
初期治療
・PPI
・H2 ブロッカー
・消化管運動機能改善薬(アコチアミド)
2次療法
・漢方(六君子湯)
・抗うつ薬、抗不安薬
・認知行動療法
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