専門医へのコンサルト適応
・腱に達する創
・皮膚欠損(顔面など)
・感染創
・fight bite
起因菌
犬猫
Pasteurella multcida:
・グラム陰性球桿菌
・猫100%、犬15~75%が保菌
Capnocytophaga canimorsas
・グラム陰性桿菌
・犬74%、猫57%が保菌、時に劇症化
Bartonella henselae
・猫ひっかき病
ヒト
・ブドウ球菌
・連鎖球菌
・Eikenella corrodens
洗浄
・創部に異物の残存がないか視診、必要に応じて創部X線撮影
・洗浄は必須。水道水(水道水で十分)で異物が残らないように洗い流す
・医院では18~19ゲージのプラスチックカテーテルを付けて、ゆっくり洗浄する
・洗浄液が排出されるように尖刃刀で創部を拡張するのも有効
※ 創部の消毒処置は創治癒を遅延させるため、基本的には行わない
※ デブリドマンの際、鎮痛のためキシロカインゼリーで皮膚創面の浸潤麻酔を行い、その後に歯ブラシでしっかりとデブリドマンを行うとよい
創処置
創ドレナージ
・縫合はせず、開放創とするのが基本(受傷直後であっても)。
・猫咬傷では、歯牙が細長く刺入部が深いため、感染を起こしやすい(感染率80%)
・一方で、犬咬傷の感染率は5%
・垂直型の細い創では、1-0ナイロン糸を3~4本挿入・留置してドレナージをする
・犬では、感染徴候がなく、受傷後12時間以内(顔では24時間以内)に症状がみられず、手や足の傷でない場合は縫合可能
創ドレッシング
・moist wound healingが推奨
・ハイドロコロイドやラップなどで密閉しないこと
・プラスモイスト®が推奨
抗菌薬治療
※ 局所抗菌薬外用は効果なし。投与必要なら全身投与。
※ 創部に塗るとしてもワセリンだけ
適応
・人、猫、野生動物では抗菌薬は予防投与も必須。
・犬は下記の場合に適応:
深い穿通創
中等度から重度の挫滅創
指、足などの血流が乏しい創
骨、関節部に近い創
深部組織に達する創
縫合した創
免疫不全患者、高齢者
抗菌薬選択
・嫌気性菌との混合感染が問題となるため、セフェム単剤ではだめ
・感染を起こす潜伏期間は、犬では平均24時間、猫では12時間
1)感染予防、内服治療:
AMPC/CAV (Amoxicillin / Clavulanate:オーグメンチン®)(375㎎)1T
+AMPC(サワシリン®)(250㎎)1T
1日3回 5日間
2)ペニシリンアレルギーがある場合:
ドキシサイクリン(100㎎)1回1錠1日2回、ミノサイクリン(100)1回1錠1日2回、ST合剤1回2錠1日2回のいずれか
+メトロニダゾール(500㎎) 1回1錠 1日3回(嫌気性菌に対し)
3)感染発症あり:
・ABPC/SBT 1回3g 6時間毎
・CTRX 1回2g 24時間毎
※ クリンダマイシンは耐性があり不適
※ レボフロキサシン結核や緑膿菌が強く疑われる場合以外使用しない
抗菌薬の投与期間
予防投与:3~5日間
感染:7~14日間
破傷風予防
免疫状況によって破傷風トキソイド、破傷風ヒト免疫グロブリンを投与
参照:破傷風(予防、治療)
抗菌薬ドリル 実践編〜臨床現場で必要な力が試される 感染症の「リアル」問題集
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