定義
腋窩体温37.5℃以上で好中球絶対数(absolute neutrophil count:ANC)500/μL 未満、またはANC 1,000/μL 未満で48 時間以内に500/μL 未満を予測できる状態
特徴
・免疫応答が低下した結果、発熱や呼吸数の異常以外には感染源を示す局所の症状、所見が乏しいことが多い(臨床的に感染源を特定できるのは20~30%、微生物を特定できたのは10~20%)
・そのため、各種培養などの検査閾値を下げる必要がある
考えるべき原因、疾患
・薬剤性(抗癌剤、抗甲状腺薬、抗てんかん薬、解熱鎮痛薬、抗菌薬など)
・一般的な院内感染症(肺炎、尿路感染症、Clostridioides difficile腸炎、カテーテル関連血流感染症)
・口腔粘膜、消化管粘膜由来感染症(肛門周囲膿瘍など)
・真菌感染症(副鼻腔、肺、皮膚)
検査
・血液培養2セット以上(必ず!)
・尿検査(定性・沈査、培養、グラム染色)
白血球減少のため膿尿は見られにくい
・高リスク患者では真菌感染を念頭にアスペルギルス抗原、副鼻腔・胸部CT
経験的治療
ガイドラインでは「緑膿菌を含むグラム陰性桿菌をカバーした広域抗菌薬」が推奨
・セフェピム(CFPM:マキシピーム®(第4世代))
・ピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ) 4.5g 1日4回
・メロペネム(MEPM) 1g 1日3回
バンコマイシンの追加を検討すべきリスク因子
・血行動態不安定、もしくは重症敗血症を示唆する他所見の存在
・肺炎の存在
・血液培養でグラム陽性球菌が発育
・重症カテーテル関連感染症が臨床的に疑われる場合
(カテーテル使用時の悪寒戦慄、カテーテル刺入部/出口周囲の蜂窩織炎など)
・皮膚軟部組織感染症の存在
・MRSA、VRE、ペニシリン耐性肺炎球菌の保菌
・フルオロキノロンが予防で入っており、セフタジジムが経験的治療として使用されている中での重症粘膜炎の存在
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