疾患
・直腸粘膜脱症候群は慢性的な「排便時のいきみ」がきっかけとなり、顕在ないしは潜在的粘膜脱出による直腸粘膜の形態変化を引き起こす疾患です。
・内視鏡的に潰瘍型(53%)、平坦型(14%)、隆起型(33%)に分類され、病理学的には粘膜組織の繊維筋症と毛細血管の拡張と増生を認めます。
・大きな隆起型MPSは病変の表面にびらん・白苔を伴う事が多く、腫瘍性疾患や炎症性腸疾患との鑑別が大切になります。
症状
・排便時の出血
・粘液の分泌
・残便感
・排便後すぐにトイレに行きたくなる
・肛門からの腫瘤脱出
など
・長年にわたる排便時の過度のいきみを習慣としていることがほとんどです。
・ずれ落ちた粘膜は傷を受けやすく、また本来の位置にないため血流も悪化して潰瘍が生じます。
・また粘膜脱症候群に痔核(いぼ痔)を合併することもあります。
診断
・隆起型,潰瘍型,平坦型などの多彩な内視鏡像を呈するため,癌を含む腫瘍性疾患や炎症性腸疾患との鑑別診断が重要である.
・大きな隆起型 MPS は表面にびらん,白苔,表面不整などがみられ癌と間違われやすく,繊維筋症を組織で証明できない場合もみられる.
・生検で繊維筋症がみられないが,内視鏡的や臨床的に疑った場合は,ポリペクトミー・粘膜切除術や経肛門的局所切除で大きい組織を取り診断することも考慮する.
・潰瘍型MPS で は 2 型 癌との鑑別が重要である.癌と診断され過大な手術が行われることがあり,内視鏡診断は重要である.
治療
・排便習慣の改善、いきみ習慣の是正、便秘の改善といった保存的治療が有効です。
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