概念
・おもに8の字型の電磁石によって生み出される、急激な磁場の変化によって(ファラデーの電磁誘導の法則により)弱い電流を組織内に誘起させることで、脳内のニューロンを興奮させる非侵襲的な方法である。
・磁気刺激を反復することから、repetitive(反復)TMS:rTMSとも呼ばれる。
・低頻度(1Hz以下)の反復刺激では刺激部位を抑制し、高頻度(5Hz以上)で興奮性っを増加させる。
・0.1Hz以下の刺激では大脳皮質の興奮性を変化させない
・電磁誘導の法則により、コイルを流れる電流とは逆向きの渦電流が皮質内に生じる
・TMSによる運動誘発電位は皮質脊髄路の影響を受け、運動時に誘発電位の振幅は増大する。
刺激コイル
・一般的に用いられている刺激コイルは「円形コイル」、「ダブルコイル」、「ダブルコーンコイル」の3種類。
・円形コイルは中心直径が90mmのもので、コイル直下で誘導電流密度が最大となります。固定が容易ですが、広範囲の刺激になります。
・ダブルコイルは中心直径が70mmの円形コイルを2つ同一平面上で8の字型に並べたもので、8の字の交点に向かって電流が流れます。この交点直下で誘導電流密度が最大となり、固定が難しいですが、限局した刺激が可能。
・ダブルコーンコイルは中心直径が110mmの円形コイルを8の字コイルと同様に2つ並べたものですが、平面でなくコイル同士のなす角度が約95°です。下肢運動野等の深部を刺激するのに適しています。
皮質内抑制皮質内抑制(intracortical inhibition:ICI)と皮質内促通(intracortical facilitation:ICF)
・運動野を同一のコイルで連続 2 発刺激(2重刺激:paired-pulse stimulation)を行うことにより ICI,ICF を評価する。
・第1 発は運動閾値下の条件刺激で,第 2 発は閾値上の試験刺激を行う
・条件刺激と試験刺激の刺激間隔が 1 ~ 6 ms では試験刺激で生じるMEP 振幅が低下し(抑制)、10 ~ 15 ms では増大する(促通)。
・リハによる脳機能再構築における損傷半球の興奮性の増大の機序として,ICI の脱抑制
が示唆されている.感覚運動野における可塑性において,神経回路のシナプス効率の増加と ICI の脱抑制が重要な役割を果たしているものと考えられる
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