正常胸水とは?
・正常では、タンパクが低いこと(< 1.5g/dL)を除き、血漿と同様の組成である胸水が10~20mL、臓側胸膜と壁側胸膜に薄く広がっており、肺と胸壁の間の動きを容易にしている。
漏出性胸水
・静水圧の上昇および血漿膠質浸透圧の低下がある程度組み合わさることで生じる。
滲出性胸水(「侵襲大きい滲出性」)
・毛細血管透過性の亢進を引き起こす局所的変化により、体液、タンパク、細胞およびその他の血清成分の滲出を来すことで生じる。・原因は多数あり,最も一般的なものは肺炎,悪性腫瘍,肺塞栓症,ウイルス感染症,および結核である。
・黄色爪症候群は慢性滲出性胸水、リンパ浮腫、および栄養障害性の黄色爪を引き起こすまれな疾患であり、全てはリンパ流出障害の結果と考えられている。
明らかな原因のない胸水
・時に潜在性肺塞栓、結核、または悪性腫瘍による。
・胸水の約15%は広範囲な検査を行っても病因が不明である(このような胸水の多くはウイルス感染によるものと考えられている)。
胸水で検査する項目
・総蛋白(血清値との比)
リンパ球優位→悪性腫瘍、結核
好中球優位→細菌感染
・pH:<7.1→膿胸、<7.3→結核、>7.4→悪性腫瘍
・糖:低値(<60㎎/dⅬ)→肺炎随伴性胸水、悪性腫瘍、リウマチ疾患、結核など、糖を消費する疾患
・ADA
リンパ球優位の胸水でADA≧40IU/Lなら結核性胸膜炎を考慮。
極端なADA上昇(≧150)なら、膿胸や悪性胸水(悪性リンパ腫、悪性胸膜中皮腫)を考える。
・CEA:≧5.3ng/mLで悪性胸水の可能性が高くなる
・細胞診、セルブロック(癌性胸膜炎など)
・細胞分画(リンパ球が優位→結核性、悪性リンパ腫など)
・グラム染色・抗酸菌染色
・細菌培養
・抗酸菌塗抹、培養
・アミラーゼ、
胸水LDL / ADA比
漏出液と滲出液との鑑別
<Lightの基準>:感度 97%、特異度 85%
・Lightの基準はほぼ全ての滲出液を正確に同定するが(感度97%)、漏出液の約20%を滲出液と誤って同定する(特異度85%)。
・漏出性胸水が疑われ(例:心不全または肝硬変による)、かつ生化学的検査値にLightの基準のカットオフ値を15%以上超えるものがない場合、血清と胸水のタンパク濃度の差を測定する。その差が3.1g/dLより大きければ,その患者はおそらく漏出性胸水を有する。
参考文献:
総合診療 2021年 2月号 特集 肺炎診療のピットフォール COVID-19から肺炎ミミックまで
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