脊椎圧迫骨折
特徴
・骨折椎体は胸腰椎移行部(Th11~L2)に多い
・一方、痛みの訴えは「L4~5付近」が多いので、疼痛部位に騙されないこと
骨折部位から握こぶし一個分下、握りこぶし一個分外側が多い
胸腰椎移行部の後根神経後枝は臀部を支配するため、ここに放散痛が生じる
・臀部痛の場合もある
※ 「老人の下部腰痛、臀部痛では胸腰椎移行部骨折を疑え」(by Dr.仲田)
診察
・必ず打腱器、手拳で直接、棘突起上を叩打して、痛みのある脊椎を確認する。
・側臥位にして確認(座位や立位では骨折部が嚙み合って安定して打痛が出ないことがあるため)
・拳骨パンチ(closed fist percussion sign)
まずは痛くない腰の下部から叩いて徐々に胸腰椎移行部の方に上がっていく
10~15㎝位の高さから、最後に押さえつける様に脊椎正中を叩き、骨に響かせる
(片方の手掌を当ててその上から叩くのでは骨に響かないためだめ)
検査
・検査は「腰椎2方向+腰椎2方向」(または「胸腰椎移行部2方向」)
・受傷時X線で新鮮骨折が判明するのは10%(正常の場合もある)
・確定診断はMRI(MRIが撮れる環境なら、CTよりMRIが優先)
・MRIではT1低、T2高信号(骨髄浮腫の所見)
(参照:総合診療2022年4月号、レジデントノート2021年6月号)
注)圧迫骨折と破裂骨折との鑑別に注意
・椎体後壁に破綻が認められる場合は破裂骨折であり、圧迫骨折と比べて圧潰が非常に早く不安定な状態である。
・急速に下肢の麻痺や直腸膀胱障害を来すことがある。
→破裂骨折の場合はコルセット固定が必要。コルセットができるまでは安静臥床が必要
治療
除痛(頓用ではなく定期内服)
・NSAIDs(セレコキシブ一択)
潰瘍既往なければPPI併用不要
・アセトアミノフェン
最大1800㎎ 3×
セレコキシブに併用でも可
・トラマドール
25mg錠 3錠3×併用
・ダーメンコルセット
・カルシトニン注も有効とされる
早期離床を目指す
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