行動変容のステージモデル
J O Prochaska, C C DiClemente:Stages and processes of self-change of smoking: toward an integrative model of change.J Consult Clin Psychol. 1983 Jun;51(3):390-5.
・人が行動を変える場合には、前熟考期、熟考期、準備期、実行期、維持期、再発期の各ステージを経るといわれる
・行動変容のステージを一つでも先に進むには、その人が今どのステージにいるのかを把握し、それぞれのステージに合わせあ働きかけが必要である。
① 前熟考期
・行動を変えようと思っていない時期
・まずは話を聞いて、相手の関心領域を見定める。
・行動が健康に与える危険性や変化への援助方法について情報提供する
「糖尿病についてどうお考えですか?」
「パンフレットを読んでみませんか?」
② 熟考期
・6か月以内に行動を変えようを思っている
・行動変容を起こすメリットとデメリットを会話のなかで明らかにする
「体重が増えて、困っていることはありますか?」
「甘いものを食べることがストレス発散になっているのですね」
③ 準備期
・1か月以内に行動を変えようを思っている
・これから実行可能な具体的な目標、計画を相談する、励ます
「1か月に何キロ減らそうと考えていますか?」
「妨げになりそうなものはありませんか」
④ 実行期
・行動を変えて6か月未満
・賞賛する、再発予防の対策を行う
「甘いものを減らすなんてすごいですね」
「お正月はおいしいものが多い時ですが、どうしようとお考えですか」
⑤ 維持期
・行動を変えて6か月以上
・賞賛する
「もう3か月も体重が減り続けていますね」
「どうして続けられるのですか」
⑥ 再発期
・責めない
・患者の努力を称える
「今回は1年も続いたなんてすごいですね」
抵抗にあった時の対処法
1)LEARNのアプローチ
・患者が前熟考期にある時や患者の抵抗が強い時に有効
① Listen(傾聴):患者の考えや希望を聞く
② Explain(説明):解釈をわかりやすく説明する
③ Acknowledge(相違の明確化):お互いの違いや共通点を話し合う
④ Recommend(提案):お互いに一番いいと思うプランを提案する
⑤ Negotiate(交渉):どすれば実行できるか相談する
2)動機付け面接法
・人は主に外的圧力によって行動を変えるという既存の仮定に異論を唱え、行動変容の最も効果的な方法は患者自身が自己動機付けを行うこととする考え
・3つの構成要素と4つの原則からなる
A. 3つの構成要素
① 協調性:
医療者の意見を押し付けず、協同作業のパートナーとして話す
② 喚起性:
医療者が何かを与えるのではなく、相手の知恵。洞察力、現実的経験を引き出す。相手の心の中にある「変化への動機」を見出す
③ 自律性:
外側から変化を強制するよりも、自分自身の目標と価値観に従って、内側から変わっていくように援助する
B. 4つの原則
① 共感を表現する:
傾聴を通して相手の感情や意見を理解する
② 矛盾を拡大する:
現在の行動と目標や価値観の矛盾を拡大する
③ 抵抗に巻き込まれ転がりながら進む:
相手が抵抗を示した時に、反論せずに思考の枠組みを少し変える。躊躇や両価性は自然で理解可能なものと認める
④ 自己効力感を表現する:
相手の自信を深める、変化の可能性を信じる
両価性の理解「重要度・自信度」モデル
・自信度と重要度の低い方を持ち上げるアプローチを行う
「重要度」を上げるアプローチ
① 患者の価値観を明らかにする
② 価値観の優先順位(今、何が重要なのか)について話し合う
「自信度」を上げるアプローチ
① 過去に行った行動変容について聞く
② ハードルの低い短期的な目標を設定する
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