運動負荷試験の禁忌
参考:
心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)
絶対禁忌
1.2日以内の急性心筋梗塞
2.内科治療により安定していない不安定狭心症
3.自覚症状または血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈
4.症候性の高度大動脈弁狭窄症
5.コントロール不良の症候性心不全
6.急性の肺塞栓または肺梗塞
7.急性の心筋炎または心膜炎
8.急性大動脈解離
9.意思疎通の行えない精神疾患
相対禁忌
1.左冠動脈主幹部の狭窄
2.中等度の狭窄性弁膜症
3.電解質異常
4.重症高血圧*
5.頻脈性不整脈または徐脈性不整脈
6.肥大型心筋症またはその他の流出路狭窄
7.運動負荷が十分行えないような精神的または身体的障害
8.高度房室ブロック
*原則として収縮期血圧>200 mmHg,または拡張期血圧>110mmHg,あるいはその両方とすることが推奨されている
運動負荷試験の中止基準
絶対的適応
・(aVR,aVL,V1以外の)心筋梗塞の既往による既存のQ波がない誘導で、ST上昇(>1mm)がある
・作業負荷の増加にもかかわらず、>10mmHgの収縮期血圧低下があり、虚血を示す他のエビデンスをともなっている場合
・中等度~重度の狭心症
・中枢神経系の症状(運動失調、めまい、失神寸前の症状など)
・血液灌流不良の徴候(チアノーゼまたは蒼白)
・運動時の心拍出量の正常な維持に支障をきたす持続性心室頻拍(ventricular tachycardia;VT)または他の不整脈(2度または3度房室ブロック)
・心電図または収縮期血圧のモニタリングの技術困難
・被験者による中止依頼
相対的適応
・虚血の疑いのある患者における著名なST偏位(J点から60~80ms後で測定した>2mmの水平型または下降型の偏位)
・作業負荷の増加にも関わらず>10mmHg の収縮期血圧低下があり(持続的なベースライン以下の低下)、虚血を示す他のエビデンスがない場合
・胸痛の増悪
・疲労、息切れ、喘鳴、こむらがえり、または跛行
・悪化したり、あるいは血行動態の安定性に支障をきたす可能性のある、持続性VT以外の不整脈(多源性期外収縮、心室性期外収縮3連発、上室性頻拍、徐脈性不整脈など)
・過度の高血圧反応(収縮期血圧>250mmHgまたは拡張期>115mmHg )
・直ちにVTとの鑑別ができない脚ブロックの出現
急性心筋梗塞に対する急性期リハビリテーション負荷試験の判定基準
参照:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)
1.胸痛,呼吸困難,動悸などの自覚症状が出現しないこと.
2.心拍数が120bpm以上にならないこと,または40bpm以上増加しないこと.
3.危険な不整脈が出現しないこと.
4.心電図上1mm以上の虚血性ST低下,または著明なST上昇がないこと.
5.室内トイレ使用時までは20mmHg以上の収縮期血圧上昇・低下がないこと.
(ただし2週間以上経過した場合は血圧に関する基準は設けない)
※負荷試験に不合格の場合は,薬物追加などの対策を実施したのち,翌日に再度同じ負荷試験を行う
最大酸素摂取量(V̇O2max)
・全身持久力の指標
・1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量(mL / kg /分)
・運動強度が強くなったり、運動時間が長くなったりしても、体内に十分な酸素を取り入れ代謝することができる能力を示す
・V̇O2max(Volume〔量〕、O2〔酸素〕、max〔最大値maximum〕)と略記される
・心疾患患者の運動療法では最大酸素摂取量の40~60%の運動強度が推奨される
Karvonen法
・心肺運動負荷試験が行えない場合の処方心拍数計算式
※ k:Karvonen係数(運動強度);心疾患患者では0.4~0.6
※ 予測最大心拍数=(220-年齢)
嫌気性代謝閾値(anaerobic threshold : AT)
・「無酸素性作業閾値」ともいう
・強度の強い運動を行う場合、筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追い付かなくなり、血中乳酸濃度が急激に上昇する
(より具体的な指標として「乳酸閾値(lactate threshold:LT)」とも呼ばれる)
・有酸素性運動から無酸素性運動に変換する運動強度を示す
・この乳酸濃度が上がり始める手前の運動強度の限界点が概念的なATである
・最大酸素摂取量の50~60%の運動負荷に相当する
・Borg 13(ややきつい)、HR130に相当
Borg Scale、修正Borg Scale(自覚症状による運動強度設定)
Borg Scale
・Borg Scaleは6~20までの15段階で、おおよそ心拍数の10拍分を1段階とする尺度で設定されている
・11(楽である)~13(ややきつい)レベルが通常のATレベル(50%運動強度)に相当する運動負荷と考えられる
Borgスケール
6 全くなし
7 非常に楽である
8
9 かなり楽である
10
11 楽である
12
13 ややきつい
14
15 きつい
16
17 かなりきつい
18
19 非常にきつい
20 もうだめだ
修正Borg Scale
・0~10に0.5を加えた12段階の尺度
・酸素飽和度や血中乳酸濃度などを反映するとされる
・4(ややきつい)レベルを目標として運動を行う
修正Borg Scale
0
0.5 非常に楽である
1 かなり楽である
2 楽である
3 楽ではない
4 ややきつい
5 きつい
6
7 かなりきつい
8
9
10 非常にきつい
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