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電離放射線障害防止規則・放射線による健康障害

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「電離放射線」と「非電離放射線」の違い

・電離放射線は、物質を構成する原子を電離(正電荷のイオンと負電荷の電子に分離)する能力(電離作用)を持つ。

・そのため電離放射線はDNAなどの生体高分子への電離作用により、発がんや突然変異などの生態影響を及ぼす可能性がある

・一方、非電離放射線は生体組織の分子に対する電離作用はなく、発がんや突然変異などの生態影響を及ぼさない。

 

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電離放射線

電離放射線には、光の性質をもつ「電磁波」と、粒子の性質をもつ「粒子線」がある

電磁波

・電磁波にはγ線、X線、がある

波長が短いほど、エネルギーが大きいそのため波長の短いγ線、X線といった電磁波はエネルギーは大きく、人体を通過する。

γ線とは?

γ線は電磁波であり、高エネルギー状態の放射性物質の原子核から生ずる電磁波である。透過力が高く、鉛や厚い鉄の板で遮蔽する必要がある。

 

粒子線

・α線、β 線、X 線、中性子線、重粒子線、等

α線とは?

アルファ線は、原子核のアルファ崩壊で放出される粒子線である。

アルファ線は、電荷が正のヘリウム原子核(陽子2個・中性子2個)からなっている。

紙1枚でもさえぎることができる。

β線とは?

β線は、自然崩壊した原子核から放出される高速の電子の流れであり粒子線である。

β線は、陽子または中性子の崩壊によって放出される電子である。

β線は、物質中を通過する際に電離を引き起こすことができるが、相対的に軽いため、物質中で減速しやすく、比較的短い距離で吸収される。

β線は、アルミの薄い板で遮蔽することが可能である。

 

 

 

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放射線による健康障害

「身体的影響」と「遺伝子的影響」

・電離放射線に被ばくした場合、被ばくした本人に直接出る影響を「身体的影響」という

・電離放射線に被ばくした場合、被ばくした人の子孫にでる影響を「遺伝的影響」という

 

「急性障害」と「晩発障害」

・急性とは、被ばく後2~3カ月以内に現われてくるもの

・晩発とは、被ばく後数ヶ月から数十年後に症状が出る

 

「確定的影響」と「確率的影響」

確定的影響

・電離放射線による健康への影響のうち、線量が大きいほど障害の程度が重篤となり、閾値(しきいち、いきち)がある影響。一定の閾値(しきいち)を超えると必ず発症するものをいう。

・確定的影響は、急性障害と晩発性障害に分類される。

急性障害

・被爆から発症までが数週間までのものを急性障害と呼ぶ

(一方、数か月以上のものを晩発性影響と呼ぶ)

・例えば、皮膚障害や吐き気、脱毛など

・このような影響は、線量との関係性は確定的なのもであるため、一定の線量以上であればほぼ確実に生じる

・1グレイ以上の放射線を短時間に受けた場合、嘔吐、下痢等の前駆症状が現れる。その後、0~3週間程度の潜伏期を経て、受けた放射線の強さにより、被ばくした器官や組織の細胞死・細胞変性が起きる。
これによって、造血器障害(骨髄症候群)、消化管障害(胃・腸管症候群)、中枢神経(中枢神経系症候群)が現れる。

・皮膚障害は、被ばく量が大きいと被ばく初期に皮膚紅斑が現れることもある。一般には、角質層から基底層までの細胞が表面に現れる2~3週間後に発症することが多い。

 

※ 急性皮膚炎の聖職者が急増するのは確定的

(急性障害、皮膚障害、生殖器障害、急性放射線症、造血器障害、確定的影響)

 

晩発障害

・被爆から発症までが数か月以上のものを晩発性影響と呼ぶ。

・電離放射線による晩発性影響は確率的影響であることが多いが例外もある。

・白内障は晩発障害ではあるが、放射線白内障の重篤度や潜伏期間の長さ、進行の速さは、被ばく線量に依存するとされており、確定的影響である

 

※ 晩ごはんが白いご飯だけでがーん

(晩発性、白内障、白血病、がん)

※ 遺伝で癌が移るのは2分の1

(白血病、癌は晩発性のうちの半分で、確率的影響)

 

確率的影響

・閾値はなく、必ず発症する訳ではないが、線量が高いほど発症する確率が高くなるもの。

・がんや遺伝子異常などの発症リスクが線量とともに増加する影響

・放射線防護において、確率的影響にはしきい線量はないと仮定されています。この仮定に基づくと理論上どんなに低い線量でも影響が発生する確率はゼロではないことになります

・「白血病」「がん等の悪性腫瘍」(以上、晩発障害)、「遺伝子突然変異」「染色体異常」(以上、遺伝子的影響)がある

 

一覧表:この表を書けるようになることが必要

「急性皮膚炎の聖職者が急増するのは確定的」

「晩ごはんが白いごはんだけでがーん」

「遺伝で癌が移る確率は2分の1」(晩発障害の半分(癌、白血病)は確率的影響)

 

 

電離放射線の単位

グレイ(Gy):吸収線量

・放射線がある物質を通過する時に物質が吸収したエネルギーを表し、単位は [Gy(J/kg] を用いる

・ある放射線が1 kgの物質に1 J(ジュール)のエネルギーを与えた場合、吸収線量D = 1 [Gy] となります。

 

シーベルト(Sv):

・シーベルト(Sv)とは、放射線が人体に当たったときに、どのような健康影響があるのかを評価するための単位です。

・放射線の人体への影響を考える場合、受けた放射線の種類、放射線を受けた部位などを考慮する必要があり、グレイ(Gy)という値だけでは健康影響を評価することが困難です。

・そこで健康影響の評価を簡単に行えるよう、吸収線量(グレイ(Gy)の値)から計算式を使ってシーベルトの値を求めます。

・シーベルトの値は、まず人体の各部位(臓器等の組織)の吸収線量(グレイ(Gy))を求め、受けた放射線の放射線の種類による影響の強さの違いを補正するための係数(放射線加重係数)(や体の部位ごと(組織加重係数)に係数をかけて求めます。

 

※「放射線加重係数」β線、γ線、X線は1。α線は20

 

吸収線量、等価線量、実効線量

概要

・吸収線量とは、物質に吸収された放射線のエネルギーの量のことであって、物理的な概念である。

・等価線量とは、放射線の種類ごとに人体が影響を受ける程度を表す

・実効線量とは、さらに人体の臓器ごとの影響を考慮したものと考えておけばよい。

等価線量 = 吸収線量 × 放射線加重係数

実効線量 = ∑ 吸収線量 × 放射線加重係数 × 組織加重係数

 

吸収線量

・吸収線量とは、電離放射線の照射により、単位質量の物質に付与されたエネルギーをいい、単位としてはGy(グレイ)が用いられる。

 

等価線量

・吸収線量(Gy)が同じでも、放射線の種類や組織・臓器によって人体への影響(確率的影響)は違う。

・組織・臓器における吸収線量に対し、射線の種類ごとに影響の大きさを重み付けしたものを「等価線量」といいう。

・「等価線量」は、吸収線量に放射線の種類による影響の強さの違いを補正するための係数(放射線加重係数)を掛けて算出する。

・「等価線量」とは、放射線を浴びた結果、生体に与える損傷の程度を表す指標である。

・単位としてはSv(シーベルト)が用いられる。

実効線量

・人体が被曝した際に生じる影響を定量的に評価するための指標である。

・実効線量は、臓器ごとの等価線量に、発がんの起こりやすさによって決められた係数(組織加重係数)を掛けて、すべての臓器を足し合わせて算出する。

・単位としてはSv(シーベルト)が用いられる。

 

※ 実効線量=Σ(等価線量×組織加重係数)

 

内部被ばく

機序

・内部被ばくとは、体内に入った放射性物質からの放射線に被ばくすることである。

・放射性物質が体内に入る経路としては、経口摂取、吸入摂取、経皮吸収、創傷吸収、医療的な投与などがある。

・放射性物質の種類によって、ストロンチウムやセシウムのように体内で全身に分布して全身に被ばくする場合と、放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積するなどにより局所的に被ばくする場合とがある。

・体内に放射性物質を取り入れると、排泄又は放射能が減衰するまで被ばくは続く。このため、半減期の長い物質や、排泄されにくい物質は影響が大きくなる。

内部被ばく線量の測定法

・内部被ばく線量の計算に必要となる摂取量の推定には、吸入または経口摂取した放射性物質の放射能量を、体の外から測って評価する体外計測法(個人モニタリング)と、排泄する尿や便にある放射性物質の量を測る方法(バイオアッセイ法)がある。

・これらの方法で得られた結果から、放射性核種、体内挙動(残留率、排泄率)、摂取経路、経過日数などから、どのくらいの割合の放射性物質が体に残っているか、排泄物中にあるかを計算し、摂取量を求める。

・内部被ばく線量を測定する個人モニタリングは、大きく以下の2つに分かれる。
1)放射性セシウムや放射性ストロンチウムは全身に分布するため、ホールボディ・カウンタと呼ばれる装置で、全身から放射されるガンマ線を測定する。

2)放射性ヨウ素のように甲状腺に蓄積される放射性物質の場合は、甲状腺モニタと呼ばれる装置で、頸部の甲状腺から放射されるガンマ線を測する。

 

管理区域(放射線管理区域)

管理区域とは

・「管理区域(放射線管理区域)」とは、自然放射線レベルを超えて電離放射線にさらされる可能性があり、放射線障害防止のため、関係者以外の立ち入りを制限し、かつ作業者の被ばく管理を適正に行うことを目的とした区域のことを指す。

・原子力施設、放射性廃棄物の中間・最終貯蔵施設、電離放射線を発生させる施設(粒子加速器など)、エックス線施設、放射性同位元素等の取扱い施設(実験室や核医学)などは管理区域を設定しなければならない。

 

管理区域の基準

・管理区域は、法令により定められる基準により定義されます。

・外部放射線に係る線量、空気中の放射性物質の濃度(空気中放射能濃度)、汚染された物体の表面の放射能密度(表面密度)に定められる基準を超えるおそれのある区域は管理区域に設定する必要があります。

管理区域の基準

① 外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3mSvを超えるおそれのある区域

② 放射性物質の表面密度が、表面汚染に関する限度の1/10を超えるおそれのある区域

 

(三日月のひみつ 1cmの天パー→三日月:3か月、ひみつ:1.3、1cm→線量1cm、天パー:1/10)

 

電離放射線従事者の被ばく限度

男性、妊娠の可能性がない女性

基本:5年間につき100mSv、かつ1年間につき50mSv

緊急時:100mSv

 

(:恋多きikko kinkiは100点→こ;5年、いおお;100mSv、いっ;1年、こう;50mSv、kinki;緊急、100点;100mSv)

 

妊娠可能女性、妊娠中の女性

妊娠可能女性

実効線量を3か月5mSv以下とする

 

(:巫女さん)

(:三日月にごめんで日妊娠可能→三日月:3か月、ごめん:5mSv、妊娠可能)

 

妊婦

・内部被ばく:実効線量は1年間に1mSv以下

・腹部表面に受ける外部被ばく:等価線量は1年間に2mSv以下

 

(:赤ちゃんは姫→赤ちゃん:妊婦、姫;1mSvまで)

 

線量の測定結果の確認、記録等

・事業者は、一日における外部被ばくによる線量1センチメートル線量当量について1ミリシーベルトを超えるおそれある労働者については、外部被ばくによる線量の測定の結果を毎日確認しなければならない

・放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては5年間につき100ミリシーベルト及び1年間につき50ミリシーベルトを、皮膚に受けるものについては1年間につき500ミリシーベルトを、それぞれ超えないようにしなければならない。

 

電磁波の波長

・ガンマ線<エックス線<紫外線<可視光線<赤外線<マイクロ波<電波

 

(星がみえる赤マイク

→ほ:放射線、し;紫外線、見える:可視光線、赤;赤外線、マイク:マイクロ波)

・波長が短いほど、エネルギーが大きい(γ線、X線といった電磁波は波長が短く、エネルギーは大きい)

 

 

 

放射線従事者の眼に生じる恐れがある健康障害

疾患

・放射線白内障

・放射線網膜症

 

予防

健康障害を予防するための等価線量の限度

・放射線業務従事者の眼の水晶体に受ける等価線量は5年につき100mSvおよび1年につき50mSvを超えないようにしなければならないとされている。

 

放射線業務における眼の水晶体の被ばくに係る放射線障害防止対策

放射線業務における眼の水晶体の被ばくに係る放射線障害防止対策について

【健康障害を予防するための措置】

・眼を放射線から守るための遮蔽物の使用

・放射線源を遠ざける

・眼の個人用保護具の使用

・電離放射線健康診断の実施

・放射線業務従事者に対する研修・教育の実施

 

ALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則(アララの原則)

・放射線防護の基本原則のひとつ

・個人の被ばく線量や人数を、経済的及び社会的要因を考慮に入れたうえ、合理的に達成できるかぎり低く保つことである。

・必ずしも被ばくを最小化するというのではなく、社会・経済的なバランスを考慮しつつ、

可能な限り被ばくを少なくするよう努力するということである。

 

医療現場における放射線防護

① 照射条件の工夫

・医療現場において、放射線照射を最小限に抑えつつ、診療可能な最低限な画質となるように、出力、パルスレートや撮影枚数、照射範囲を調整すること、画像検出器と患者を可能な限り近づけること、が挙げられる。

② 散乱線の遮蔽

・患者に照射されたX線は、そのほとんどが患者の体内に吸収されてしまうが、吸収されなかった一部の放射線が受像機に到達して画像を結ぶ。しかし、一部は、患者の体内で散乱を繰り返した後に患者の体外に放出される。これが「散乱線」で、医療スタッフの被ばくの原因となる。

・散乱線は、被曝線量を増加させる原因となるため、医療現場では散乱線を遮蔽することが求められる。

・「散乱線」を遮蔽へいする方法としては、散乱線を遮蔽するシールドやカーテン、防護板の設置、遮蔽部分の隙間から散乱線が入射しないようにする、散乱線源から距離をとる、などが行われる。

 

③ 放射線業務従事者の行動に関する留意点

・被ばく防止対策の基本は、遮蔽する、時間を短くする、距離を離すの3点である。

時間:放射線照射時間んを最小限にとどめる

距離:放射線源、散乱線源を意識し、可能な限り距離をとること

遮蔽:適切な遮蔽を用いること

個人線量計を着用:放射線被曝量をモニタリングする

放射線業務従事者特殊健康診断

 

④ 個人用保護具

放射線を防護するため、必要に応じて以下の個人用防護具を使用する。

・防護めがね(軽量タイプから重量タイプのものがあり、鉛当量が異なる。)

・防護手袋

・防護衣(防護エプロン(背面が開いており腰への負担が少ない。)、防護コートなど)

・防護クロス

 

 

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