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非結核性抗酸菌症(NTM)

非結核性抗酸菌(ドック学会専門医試験)

非結核性抗酸菌について:

・結核菌とらい菌以外の、雑多な抗酸菌の総称

・結核菌と異なり(結核菌はほぼ人の体内に限られる)、自然環境内に広く存在する

・水環境や土壌などに常在する菌を吸引し、たまたま定住することで感染が成立し、増殖することで発症に至る

・基本的にはヒトーヒト感染はない

50~60歳代の女性に増加傾向にある

・多くの場合、無症状での経過が多く、健診等で発見されるケースが多い

・非結核性抗酸菌症の進行速度は遅く、通常は数年から数十年で徐々に進行する。

・症状は軽い咳・痰や、血痰を認めることもある。

喀痰培養検査で2回以上同じ菌種が繰り返し検出されることが確定診断の重要条件

・痰が採取困難な場合は誘発喀痰や気管支鏡検査を行います。

・画像診断で肺結核との鑑別は困難である。

・非結核性抗酸菌症の治療法は確立されておらず、長期間の多剤抗生物質の投与が必要となる。

・非結核性抗酸菌症の標準的な抗菌薬治療は、クラリスロマイシン(マクロライド系)と抗結核薬(エタンブトール、リファンピシン)の3剤併用療法が基本です。これらを併用する理由は耐性菌の発生を防ぎ、効果を高めるためで、治療期間は少なくとも1年半(菌が培養されなくなってから1年間)続ける必要があります。

・現在行われている多剤併用療法(例:クラリスロマイシン、エタンブトール、リファンピシンなど)により菌の減少や症状の改善は期待できますが、菌を完全に消失(根治)させることは非常に難しいとされています。

 

 

非結核性抗酸菌とは

・結核菌とらい菌以外の、雑多な抗酸菌の総称

・結核菌と異なり(結核菌はほぼ人の体内に限られる)、自然環境内に広く存在する

・水環境や土壌などに常在する菌を吸引し、たまたま定住することで感染が成立し、増殖することで発症に至る

・基本的にはヒトーヒト感染はない

50~60歳代の女性に増加傾向にある

・多くの場合、無症状での経過が多く、健診等で発見されるケースが多い

 

原因菌種

・MAC(Mycobacterium avium complex)が8割

M.aviumとM.intracellulareの総称。この2菌種は似通っており厳密に区別する必要がないため一纏めにされる

・M.kansasiiが1割

 

発症要因

・膠原病、IFN抗体の存在する例

・シャワーの乱用

・女性ホルモンの低下

・やせ型に例

 

症状

・50~60歳代の女性に増加傾向

・軽い咳や痰、時に血痰

・多くの場合無症状での経過が多く、健診などで発見されるケースが多い

 

画像

・中葉、舌区に気管支拡張所見、粒状陰影、散布陰影(結核との鑑別は困難)

 

検査

抗GPL-core IgA抗体

・肺MAC (Mycobacterium avium complex) 症の補助診断

・血清中のMAC壁抗原〔glycopeptidolipid (GPL)-core〕に対するIgA抗体を測定することにより、肺MAC症の補助診断が可能。

・GPL-coreはMAC壁の主要な構成成分であり、MAC以外の主要な肺抗酸菌感染の病原体であるM.tuberculosisやM.kansasiiには存在しないため、MACに特異的な血清診断の抗原として用いられている。

培養、同定

・診断のゴールドスタンダードは結核同様、培養。

・しかし結核と異なり、気管支鏡検体等を除き異なる2つ以上の喀痰検体から検出されることが診断に必要

 

 

 

肺非結核性抗酸菌症の診断基準(日本結核病学会・日本呼吸器学会基準)

A 臨床的基準(以下の 2 項目を満たす)

1 .胸部画像所見(HRCTを含む)で、結節性陰影、小結節性陰影や分枝状陰影の散布、均等性陰影、空洞性陰影、気管支または細気管支拡張所見のいずれか(複数可)を示す。

2 .他の疾患を除外できる。

B 細菌学的基準(菌種の区別なく、以下いずれか1項目を満たす)

1. 2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性。

2 .1回以上の気管支洗浄液での培養陽性。

3 .経気管支肺生検または肺生検組織の場合は、抗酸菌症に合致する組織学的所見と同時に組織、または気管支洗浄液、または喀痰での1回以上の培養陽性。

4 .稀な菌種や環境から高頻度に分離される菌種の場合は、検体種類を問わず2回以上の培養陽性と菌種同定検査を原則とし、専門家の見解を必要とする。

以上のA、Bを満たす。

※呼吸器症状の有無は問わない

 

治療

・非結核性抗酸菌症の治療法は確立されておらず、長期間の多剤抗菌薬の投与が必要となる

・治療期間は喀痰培養陰性化から最低1年間と長期にわたることや、特に高齢者では多剤併用療法による副作用があることから、治療適応をよく検討する必要がある

 

1)MAC症標準的治療

・クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトール併用療法

・マクロライド耐性や空洞形成、重症例では、アミカシンかストレプトマイシン併用

 

2)M.kansasii

・イソニアジド

・リファンピシン

・エタンブトール

 

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