・脚ブロック(bundle branch block)は、心臓の刺激伝導系においてヒス束よりも遠位で伝導障害が生じた状態である。
・なお、心房性期外収縮に伴って脚ブロックが生じることがあり「変行伝導」と称されるが、病的意義は少ない。
reasonable discordance:理にかなった極性不一致
・通常、RBBBのV1は陰性T
⇒これが陽性Tなら、Burgada、心筋梗塞、高Kの可能性あり!
・通常、LBBBのV6は陰性T
⇒これが陽性Tなら、心筋梗塞または高Kの可能性あり!
右脚ブロック(RBBB)
・一見正常な個人にも生じうる。前壁梗塞に伴い発生することもあり、少なからぬ心筋障害を示唆する。
・基礎疾患としては、虚血性心臓病、高血圧、特発性心筋症、二次性心筋症(特に筋緊張性ジストロフィー)などで、左室肥大、心不全の合併を多く認める。
・新たに出現したRBBBに対しては,心臓にある基礎的な病態の検索を試みるべきであるが、何も発見されないことが多い。
・RBBBはQRS波を変形させるが,心筋梗塞の心電図診断を著しく妨げることはない。
右脚ブロック時の3つの注意点:(Dr.林の右脚ブロックのツボ)
・V1のT波は下向きか? ⇒ 上向きならBrugada、心筋梗塞、高Kの可能性あり!
・軸偏位はないか? ⇒ 左軸偏位あれば2枝ブロック!
・新規RBBB ⇒ 肺塞栓の可能性あり!
左脚ブロック(LBBB)
・RBBBと比べて重大な構造的心疾患(心筋梗塞や心筋症)と合併することが多い。
・そのため、完全左脚ブロックを指摘された場合は、無症状でも必ず心臓の精密検査が必要。
・LBBBは通常,心電図による心筋梗塞の診断を妨げる。
左脚束枝ブロック
・左室伝導系は左脚前枝および後枝の2枝に分かれる。左脚前枝は左室前壁を左方へ、左脚後枝は後側壁を下方へ向かう。
参照(このサイトより引用):https://www.kango-roo.com/learning/1949/
・左脚前肢は後枝に比べて細く長く、また大動脈弁の近くを走行するために、硬化性病変に巻き込まれ易い。
・またまた後枝が左冠動脈回旋枝と右冠動脈から栄養されているのに対し、前枝はもっぱら左冠動脈前下行枝のみから血流を得ているため、前枝の方が障害されやすく、後枝ブロックは極めてまれである。
左脚前枝ブロック
・左脚前枝の伝導が途絶すると,中等度のQRS延長(120msec未満)と左軸偏位(前額面のQRS電気軸が−30°を超える)を特徴とする左脚前枝ブロックが生じる。
・左脚前枝がブロックされると、左室へは、後枝のみから信号が入る。そして前枝が本来担当していた領域には、心室の右下から左上に興奮が伝導する。したがって、全体の興奮ベクトルは左上を向くので軸は-30°以上の高度な左軸偏位になる。
参照(このサイトより引用):https://www.kango-roo.com/learning/1949/
左脚後枝ブロック
・右軸偏位(前額面のQRS電気軸が+120°を超える)がみられる。
2枝ブロック、3枝ブロック
・2枝ブロックは、右脚ブロックに、左脚前枝ブロックか左脚後枝ブロックのいずれかが合併したもの。
・後枝のほうが障害を受けにくいので、右脚+左脚前枝ブロックがほとんど。
2枝、3枝ブロックの注意点
2枝、または3枝ブロックに加えて、
失神の既往
腎不全
QRS>140msec(3.5mm)
HV間隔>64msec
のいずれかがある場合、3度房室ブロックになる可能性があり、精査が必要
(pacemaker挿入必要)
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