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血液ガス(血ガス)の見方「4steps+2steps」

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基準値

pH         :7.40 ± 0.05(7.35~7.45)

HCO3-  :24 ± 2 mEq/L
Anion Gap(AG)(アニオン=陰イオン)
    :Na+ ー(Cl+HCO₃):12 ± 2 mEq/L
乳酸      :3~15mg/dL(<2mmol/L)
PaO2    :80~100 Torr
PaCO2 :35~45 Torr
SaO2 :95%以上
A-aDO2:10㎜Hg以下(≦年齢✖0.3)
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代償の目安

1)代謝性異常の場合の呼吸性代償性変化

・代謝性アシドーシス

HCO₃ ↓1mEq/L ➡ PaCO2 ↓1.2㎜Hg

・代謝性アルカローシス

HCO₃ ↑1mEq/L ➡ PaCO2 ↑0.7㎜Hg

 

2)呼吸性異常の場合の腎性代償性変化

・呼吸性アシドーシス

急性:PaCO2 ↑10㎜Hg ➡ HCO₃ ↑1mEq/L
慢性:PaCO2 ↑10㎜Hg ➡ HCO₃ ↑3.5mEq/L以上

呼吸性アルカローシス

急性:PaCO2 ↓10㎜Hg ➡ HCO₃ ↓2mEq/L

  慢性:PaCO2 ↓10㎜Hg ➡ HCO₃ ↓4mEq/L以上

 

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血液ガスの見方 「 4 steps + 2 steps 」

Step1:アシデミアなのかアルカレミアなのか?(pH 正常値:7.35~7.45)

Step2:呼吸性か代謝性か?

Step3:代償は適切か?

Step4:代償が適切でなければ、他の異常は何か?

Step5:Anion Gapを計算

Na+ ー(Cl+HCO₃):12 ± 2 mEq/L

Step6:AG>12なら、隠れた酸塩基平行異常はないか?

二つの代謝性酸塩基平衡異常併存を判断

補正HCO₃またはΔAG / ΔHCO₃を計算

 

※ 補正HCO3-

・代謝性アシドーシスをきたしたアニオンギャップ増加分(ΔAG)がなかったと仮定した場合の血清HCO3-濃度のこと

・アニオンギャップが増加しない代謝性アシドーシスや代謝性アルカローシスが混在していないかを確認することができる

・HCO3-減少分=アニオンギャップ増加分(ΔAG)

・[補正HCO₃]=[実測HCO₃] + ΔAG
→これが正常値(24 mEq/L)より高いか低いか?
→24より高ければ、代謝性アルカローシスの併存を考える。

 

※ ΔAG/ΔHCO3-

・ΔAG=実測AGー12(AG上昇分)、ΔHCO3-=24ー実測HCO₃(HCO₃低下分)

・1mEq/Lの酸負荷で血清HCO₃が1mEq/L低下し、AGが1mEq/L上昇するため、

通常はΔAG/ΔHCO₃は1となる。

・これが0.8より小さい場合は、実測HCO₃が予想以上に少ない

→代謝性アシドーシスの合併を考える

・これが2より大きい場合は、実測HCO₃が予想以上に多い

→代謝性アルカローシスの合併を考える

 

 

※ 低アルブミン血症による補正

・「測定できない陰イオン」(UA)であるアルブミンが低下すると、ア二オンギャップ(AG=UAーUC)も低下する。

・アルブミン1g/dL低下に対して、アニオンギャップは2.5mEq/L低下する。

[補正AG]=[AG] +(4ーAlb) ✖ 2.5

 

アシデミア、アルカレミアの病型

⓵ 代謝性アシドーシス

1)アニオンギャップ開大性アシドーシスの原因

『I SLUMPED』

I:iron(鉄) INH(イソニアジド)

S:salicylate※(アスピリン)、sulfide(硫化水素)

L:lactic acidosis(乳酸):循環不全、壊死、メトホルミン

U:uremia(尿毒症)

M:methylalcohol(メチルアルコール中毒)carbon monoxide(一酸化炭素)

P:paraaldehyde(パラアルデヒド)

E:ethl aicohol(アルコール、アルコール性ケトアシドーシス)ethylene glycol(エチレングリコール)

D:diabetec ketoacidosis(糖尿病性ケトアシドーシス、絶食、飢餓)

 

※アスピリン(サリチル酸)中毒

・サリチル酸は「酸化的リン酸化反応を脱共役させる」ことにより、

細胞呼吸を障害するため代謝性アシドーシスを引き起こす。

・またサリチル酸は延髄の呼吸中枢を刺激して、

一次性呼吸性アルカローシスを引き起こす。

 

 

2)アニオンギャップ非開大性アシドーシスの原因

高Cl血症性代謝性アシドーシスになる

 

原因(『消化器2つ、泌尿器2つ、薬物2つ』と覚える)

1)消化器2つ

・下痢(便へのHCO₃喪失)

・膵瘻

 

2)泌尿器2つ

・呼吸性アルカローシスの腎代償(尿へのHCO-喪失)

・尿細管性アシドーシス(Ⅱ型:HCO₃再吸収障害、Ⅰ、Ⅳ型:H+排泄障害)

 

3)薬剤2つ

・アセタゾラミド(ダイアモックス®)(尿細管でHCO3-再吸収を阻害)

・生理食塩水の大量投与(Cl-過剰により、電気的中性を保つために尿中へHCO3-排泄増加)

 

② 代謝性アルカローシス

1)消化管からのH+喪失

・嘔吐、胃管からの吸引

2)腎からのH+排出

・原発性アルドステロン症

・クッシング症候群

・利尿剤

・低Mg血症

・高Ca血症

3)H+の細胞内移動

・低K血症

参照:低カリウム血症になると何故アルカローシスになるのか?

酸塩基平衡:

H₂O+CO₂ ⇔ H₂CO₃ ⇔ H+ +HCO₃
において、H+を喪失すると酸塩基平衡は右側の方向に傾き、 HCO₃が増加してアルカローシスとなる。
何らかの原因で大量のK+が失われて低カリウム血症となると、K+が細胞内から細胞外に移行。すると電気的中性を維持するためにH+が細胞外液から細胞内へ移行しアルカローシスとなる。

また、遠位尿細管のNa–K交換部位でも、Kの代わりにH+が排泄されやすくなります。その結果、細胞外のH+は減少し、アルカローシスが起こる。

 

4)循環血漿量の減少

 

③ 呼吸性アシドーシス

・呼吸中枢機能低下

・神経筋疾患

・胸郭、横隔膜の損傷

・慢性呼吸不全

・死腔量増加(気管支喘息、COPD急性増悪)

④ 呼吸性アルカローシス

・アスピリン中毒(呼吸中枢刺激)

・疼痛、発熱や交感神経亢進

・低酸素血症(肺炎、肺水腫、肝肺症候群)

 

※  静脈血による血液ガス分析

pH、HCO3-は動脈血と同等に考えてよい
(その他のPO2、PCO2、乳酸値、は静脈血で代替できない)

・一方、

「PvCO2≦45TorrならばPaCO2<50Torrである感度が100%」

「乳酸値は静脈血が正常なら動脈血の乳酸値の上昇はほとんどない(陰性尤度比0.1)」

動脈血でなければならないのは「呼吸不全時の低酸素血症の評価」

(実際にはSpO2で代用できることも多い)

 

参照:レジデントノート 2021年6月号 Vol.23 No.4 血液ガス読み方ドリル

 

参考:  乳酸値

・敗血性症ショックでは血清乳酸値2mmoL/L(18mg/dL)を超える状態。

 

参考: 手関節部での橈骨動脈穿刺法

※ 第1選択は「橈骨動脈」

2本の指で動脈拍動を触れる

人差し指の直下で拍動を触れる

その際、拍動を示指爪橈側負荷点で「点」として感じることが重要

ペンホールド、45~60°の角度で穿刺

 

 

実際の手技の動画:

https://www.youtube.com/watch?v=-xfXUOVJI5k

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMvcm0803851

https://www.youtube.com/watch?v=l404ti6HAuk&t=29

 

 

 

 

 

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