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1型糖尿病(成因、亜分類、治療)

1型糖尿病の成因

・原因は不明だが、ウイルス感染や自己免疫による膵臓β細胞破壊が原因とされる

 

症状

・小児期に急性発症することが多い

・インスリンの絶対的な不足が続くと、高い血糖値を薄めようとするように、口渇、多飲、多尿

・多尿は、幼児期では「おねしょ」「おもらし」の出現や増加、学童期以降では、夜、トイレに起きるようになること(夜間排尿)で気づかれることもある。

・食事をエネルギーに変えることが難しくなるためにるい痩(体重減少)、元気がなくなる、易疲労感といった症状が出ます。

・インスリン不足がさらに進むと「糖尿病ケトアシドーシス」を発症し「嘔気、嘔吐」「腹痛」「大きく深い呼吸」「意識障害(昏睡)」などの症状が現れます。

・小児1型糖尿病の一部では、ごく病初期のためにまだ血糖値がそれほど高くなっておらず、全く症状がないこともある。幼稚園や学校での「集団検尿で尿糖陽性」として発見される場合もある。

1型糖尿病の分類

現在、1型糖尿病はその進行のスピードによって以下の3つの亜型に分類されている。

・劇症1型糖尿病

・急性発症1型糖尿病

・緩徐進行1型糖尿病 

 

① 劇症1型糖尿病

疾患
・最も急激に発症し、日の単位でインスリン依存に至る糖尿病である。
・原因は不明(遺伝因子を背景にウイルス感染が契機となり、それに伴う免疫現象(抗ウイルス免疫)により、β細胞が破壊されると考えられている)
・感冒様症状や消化器症状(嘔気嘔吐、上腹部痛)を前駆症状とすることが多く、風邪や脱水と誤診し、不用意にブドウ糖液を点滴すると死を招くことがある。
※「通常の感冒にしてはsick」であることに気づくこと
・急性発症(有症状期間<10日)
・症状:感冒症状(発熱、咽頭痛)、口渇、意識レベル低下、消化器症状(嘔気嘔吐、上腹部痛)
・すぐにインスリンを補充する治療がなされなければ糖尿病ケトアシドーシスとなり、重い状態になることもあるため、早い段階での診断が重要。
「通常の感冒にしてはsickである」ことに敏感になる必要がある
・自己抗体は認めないことが多い。
・血中膵外分泌酵素の上昇(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1など)
発症時の平均血糖は約800mg/dLと著明に高値
・発症があまりにも急激であるために、過去2~3ヶ月の血糖の指標であるHbA1cはあまり上昇しないのが特徴。
・膵β細胞はほぼ消失しており、内因性インスリン分泌能の指標であるCペプチドは著しく低下(尿中CPR<10μg/日)。
・急性発症1型糖尿病の特徴である抗GAD抗体のような自己抗体は多くの場合陰性。
原因
・原因は不明
・遺伝因子を背景にウイルス感染が契機となり、それに伴う免疫現象(抗ウイルス免疫)により、β細胞が破壊される。
・劇症1型糖尿病の72%に先行感染症状を認め、ヒトヘルペスウイルス(HHV)6型、コクサッキーウイルス、インフルエンザBウイルス、ムンプスウイルスなど、様々なウイルスが報告されている。
・遺伝子としてはクラスⅠ/ⅡHLA遺伝子、CTLA-4遺伝子などがいわれている。
・病理学的には膵β細胞の破壊がα細胞も巻き込んでおり、マクロファージの浸潤が顕著である事が特徴。
治療
・血糖値288mg/dL以上かつ急激に進行するケトーシスを認めた場合は直ちに入院治療が行える医療機関へ紹介する

 

② 急性発症1型糖尿病

・1型糖尿病で最も頻度の高い典型的なタイプで、糖尿病の症状が出はじめてから数ヶ月でインスリン依存状態になる。
・発症した後に、一時的に残っている自分のインスリンの効果が改善する時期(ハネムーン期)がある場合もあるが、その後は再びインスリン治療が必要となる。
・自己抗体を認めることが多い。

③ 緩徐進行1型糖尿病

・半年~数年かけてゆっくりとインスリン分泌が低下していくタイプ。
・抗GAD抗体、または膵島細胞抗体(ICA)が陽性
・「当初は食事や経口血糖降下薬のみで治療が可能な2型糖尿病の病態を呈するが、膵島自己抗体が持続陽性で、緩徐にインスリン分泌能が低下し、最終的にインスリン依存状態となる糖尿病」と定義される。
・糖尿病診断時、および経口血糖降下薬の効果が乏しいと感じた時に膵島関連抗体のチェックを行い、早期発見に努める
・検査でこのタイプの可能性がある場合には、膵臓に負担をかけるような内服薬は推奨されず、インスリン治療などで膵臓を保護する治療を開始することが望ましいといわれている。

 

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