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急性下痢症(感染性腸炎の鑑別と治療)

まずは胃腸炎以外の疾患を鑑別

・アナフィラキシーショック

・TSS(Toxic Shock Syndrome:眼球充血、舌紅潮、手掌や足底の落屑)

・甲状腺クリーゼ(甲状腺疾患の既往、意識変容、頻脈を伴う時)

・副腎不全(倦怠感、血圧低下を伴う時)

・消化管出血(便色を確認すること!)

・胆道系疾患

・骨盤内炎症性疾患(虫垂炎、腸腰筋膿瘍)

 

問診、診察

・感染性ではウイルス性胃腸炎、小腸型細菌性腸炎、大腸型細菌性腸炎の鑑別が必要。
・食事歴は7日前までさかぼって聞く必要あり
カンピロバクター(2~5日)
腸管出血性大腸菌(1~8日)
の二つは潜伏期が長い
・ノロ、ロタの感染情報をチェック
・高熱(赤痢、カンピロバクター、サルモネラ)
・旅行歴のチェック
・脂肪便(便器にビチビチ便がパッと広がる感じ)は胆道系疾患を考慮(→右上腹部痛、背部痛、胆石、アルコールをチェック)
・慢性経過(>1か月)では慌てなくてよい
→炎症性腸疾患、過敏性腸症、吸収不良症候群、大腸癌、原虫、乳糖不耐症、腸結核、慢性膵炎、HIVなど

ウイルス性胃腸炎

・「悪心」+「嘔吐」+「頻回な水様下痢」の3拍子が「上から下へ」起こる場合のみ「ウイルス性胃腸炎」と診断できる。
・「下から上」の場合、「虫垂炎」、「異所性妊娠」、「腸閉塞」などの可能性がある。
・「下のみ」もダメ(細菌性腸炎の可能性)
・常に虫垂炎の可能性を考慮!(患者に「もしも右下腹部痛が出てきたら来院するように」と話しておくべき)
・体液管理、整腸剤処方。普通なら3~5日で良くなる。

細菌性腸炎

高熱、血便(粘血便)、しぶり腹では細菌性を疑う

・食事歴は5日前までさかぼって聞く必要あり。

・食直後から消化器症状→中毒(ヒ素、有機リン、カーバメート、犯罪)

・食後3~6時間→毒素型(ブドウ球菌)

・食後2~7日→細菌性の可能性

・潜伏期間が長いものあり(カンピロバクター(2~5日)、腸管出血性大腸菌(1~8日))

 

毒素型

熱がない場合、毒素型を考える

①食品内毒素型:熱なし+嘔吐型、潜伏期間短い(6時間以内)

・食品内で原因菌が増殖する際に毒素を産生し、その毒素を食品とともに摂取することによって発症
・ブドウ球菌(握り飯、仕出し弁当)
・セレウス菌(焼き飯、スパゲッティー)

 

②生体内毒素型:熱なし+下痢型

摂取した菌が腸管内で増殖する際に毒素を産生し、その毒素が原因で発症(12時間以内)

・毒素原性大腸菌(ETEC)

旅行者下痢症

・腸管出血性大腸菌(EHEC)

無熱性血便(大腸型だが発熱なし)

潜伏期長い(1~8日)

・ウエルシュ菌

耐熱性芽胞形成、カレー、シチューによる集団発生

 

小腸型

・水様多量下痢。しかし嘔吐、腹痛は軽度、発熱はあったりなかったり(微熱に留まることが多い)

・臍周囲に間欠的な腹痛を伴う(内臓痛)

・腸炎ビブリオ:の魚介類(↔ノロは冬)

・ノロウイルス:冬、生ガキ

・ビブリオコレラ
・原虫(ランブル鞭毛虫:海外、特に発展途上国への旅行と男性同性愛)
・治療はウイルス性同様、対象療法

炎症性下痢型(大腸型)

・高熱、血便、しぶり腹、激しい腹痛。

・便中白血球陽性

・エコーで大腸壁肥厚あり(≧3㎜)

 

<各論>

サルモネラ

・生卵、豚肉、鶏肉

・潜伏期短い(48時間、長くても72時間:カンピロとの鑑別)

・回盲部炎

・重症化、菌血症の危険性あり(抗菌薬使用も考慮)(サルも寝込むほど重症)

・注射:CTRX、ABPC、ニューキノロン

・内服:AMPC(サワシリン)、CPFX(シプロフロキサシン)、ST

 

カンピロバクター

・潜伏期長い(2~5日、72時間以降)(サルモネラとの鑑別)

・便グラム染色でgull wing

・ギランバレー発症の危険性

・回盲部炎

・腸間膜リンパ節炎を起こすので、右下腹部痛となることがある(虫垂炎との鑑別)

・初期から発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛を起こす(虫垂炎との相違点)

・カンピロバクターによる腹痛は虫垂炎と鑑別が難しい(偽虫垂炎)

・マクロライド(ジスロマック)

 

・赤痢

糞便

 

・腸管出血性大腸菌

牛肉

無熱性血便、潜伏期長い(1~8日)

上行結腸炎

 

検査

・小腸型が大腸型か、迷ったら便中白血球(大腸型で出現)、便培養、超音波、CT、臨床像で総合的に判断を

・カンピロバクターはgull wing

 

治療(抗菌薬の適応)

基本は脱水評価と体液量補正

経口補水液

抗菌薬の適応

・悪寒戦慄などの菌血症が疑われる場合

・重度の下痢による脱水やショック状態で入院が必要な場合

・菌血症のリスクが高い場合(HIV感染者、ステロイドや免疫不全者)

・新生児

・高齢者

・人工物がが入っている患者(人工血管、人工弁、人工関節)

・抗菌薬の有用性が示されている特殊なケース(旅行者下痢症、赤痢、重症カンピロバクター腸炎)

・合併症を伴うサルモネラ感染症(50歳以上、3歳未満、細胞性免疫障害(AIDS、臓器移植後、ステロイド使用、リンパ腫などの悪性疾患)、心臓弁膜症、人工関節、腎不全など)

抗菌薬

・第一選択はニューキノロン

・第二選択としてマクロライド(アジスロマイシン)

例)

・レボフロキサシン(500㎎) 1T 1×朝 3~5日間

・シプロフロキサシン 600㎎/日 分Ⅰ~2、3~5日間

・(第2選択)アジスロマイシン(ジスロマック®) 500㎎/日 3~5日間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

消化器感染
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新潟の総合診療医、家庭医療専門医・Dr.がわそのBlog

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