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尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡

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「尋常性天疱瘡」と「水疱性類天疱瘡」の違い

・いずれも自己免疫性水疱症であるが、天疱瘡は表皮細胞膜に存在するタンパクに対する自己抗体が原因で、類天疱瘡は表皮基底膜部領域に存在する蛋白に対する自己抗体が原因。

・いずれも全身皮膚を侵し、生命予後に影響を与える重要疾患である。

 

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尋常性天疱瘡:めったにない

・表皮または粘膜上皮の細胞どうしを接着する鎖のような役割を持つ、表皮細胞間接着因子である「デスモグレイン(DSG)1,3」というタンパクに対する自己抗体抗(表皮細胞間抗体)が原因。皮膚の細胞と細胞が接着することができなくなり、やけどのような水ぶくれ(表皮内水疱、弛緩性水疱)やびらんが生じる。
・組織学的には基底層上層直上で水疱形成)
・好発年齢は、40~60歳代で、やや女性に多い傾向があります。比較的稀な病気で、国内では4,000~5,000人と推定。
・粘膜疹で初発することが多い(↔水疱性類天疱瘡との鑑別)
・口腔粘膜にびらんが生じて、痛みを伴い、食事がとれなくなることがある(口腔内有痛性びらん
・病初期には「口内炎がなおらない」「長引く咽頭炎」などを主訴として、耳鼻科を受診することがある

診断

・デスモグレイン(DSG)1,3に対する抗体(抗Dsg抗体1、3)の検出

・皮膚生検による蛍光抗体直説法

治療

・ステロイド内服

 

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類天疱瘡(水疱性類天疱瘡)

・表皮と真皮の境にある基底膜に存在する接着因子であるヘミデスモソームの構成タンパクであるBP230とBP180に対する抗体ができることによっておきる疾患。

・薬剤(特にDPP-4阻害薬)、ワクチン接種などで誘発されることがある(薬剤誘発性水疱性類天疱瘡)

・IgG自己抗体がこれらの類天疱瘡抗原に結合して、皮膚を傷害し、水疱を形成します。膜が厚い水疱が多発するのが特徴で、水疱ができる前に皮膚が赤くなり、かゆみを伴うことが多い。

・体幹、四肢に、強い掻痒を伴う浮腫性紅斑と緊満性水疱が混在する

・粘膜疹はない

・類天疱瘡は70歳以上の高齢者に多い。

・病気の勢いは、水疱の個数や血液中の抗体価(抗体の量)を参考にして決定します。

 

 

検査

・血中抗BP180抗体の検出(ELISA法は保険収載されている)

・生検皮膚を用いた蛍光抗体直接法検査で皮膚の基底膜部にIgGの沈着を認める

治療(皮膚科コンサルトが必要)

・軽症例ではvery strong,strongestレベルのステロイド外用のみでもコントロール可能。

・ステロイド外用無効例はステロイド内服。
0.5mg/体重kg(40㎏→20㎎/日、60㎏→30㎎/日)

 

皮膚診療ドリル〜あらゆる臨床医のための「皮疹の診かた」問題集 

梅林 芳弘 (編集)(羊土社:2021/10/2)

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