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髄膜炎(身体所見、髄液検査、腰椎穿刺の適応判断、初期治療)

髄膜炎の3徴:「意識障害」「発熱」「頚部硬直」

「意識障害」
「発熱」
「頚部硬直」

・上記のうち少なくとも1つ認めるのは99%

3徴を全て認めなければ髄膜炎を除外できる可能性は高い

 

髄膜刺激症状

1.項部硬直(nuchal rigidity)

・仰臥位、枕を外す
・検者は患者の後頭部に両手を当て、頭部をゆっくり持ち上げて前屈させる
・陽性:前屈時に抵抗を感じる、下顎が胸につかない、疼痛を訴える場合を陽性とする
・感度30%、特異度68%(→陰性でも髄膜炎を否定できない)

※髄膜炎の頸部痛(項部硬直)は前後方向に限局しており、左右側屈や回旋では増悪しない

→左右側屈や回旋でも増悪した時には「crowned dens syndrome」を疑う

 

2.Kernig sign

・片方の股関節、膝関節を90°に屈曲し保持
・膝関節を135°以上になるように伸展
・膝関節が伸展できない、頭痛を訴える場合を陽性とする
・感度5%、特異度95%(→陽性なら髄膜炎を強く疑う)

 

3.jolt acccentuation

・「jolt(揺さぶる)」「accentuation(増強する)」

・座位で、1秒間に2~3回の速さで頭を左右に振ることで「頭痛が増悪」したら陽性

・感度52.4%(決して高くない→陰性でも否定できない)、特異度71.1%、

・陽性尤度比 1.81、陰性尤度比 0.67

事前確率を高める項目:

・2週間以内におこった頭痛

・37℃以上の発熱

・意識障害や神経学的異常を伴わない

→ 上記の項目が陽性の症例において、jolt accentuationが陽性なら、髄液検査を考慮すること

 

 

4.Neck flexion test

・座位でいる患者に頭部を前屈してもらう
・後頸部の痛みを訴え,下顎は胸部につかない場合を陽性
・感度81%、特異度39%

 

5.Brudzinski sign

・仰臥位、両下肢伸展位
・検者が患者の頭部を他動的に前屈させる
・股関節、膝関節が自動的に屈曲する場合を陽性とする
・感度5%、特異度95%(→陽性なら強く髄膜炎を疑う)

 

髄液検査

腰椎穿刺の適応・判断

・単独で感度や特異度が高く、診断や除外に役立つ病歴や所見はない!

➡「髄膜炎を疑った時が腰椎穿刺をするべき時」

 

・発熱と頭痛を主訴に来院した患者で、

「シックである」「増悪する今までにない頭痛」「ピークを迎えていない頭痛」では腰椎穿刺実施を考慮すべき

 

※「腰椎穿刺が躊躇なく施行できる自信(技術)を持てるようになること」が重要!もしくは腰椎穿刺ができるDr.にコンサルテーションすることが大切!(患者さんファースト)。

 

髄液穿刺前にCT検査の適応がある状態

下記の1つでもあれば、事前CT検査の適応がある

・60歳以上

・免疫不全状態

・意識レベル異常(GCS<10)

・乳頭浮腫

・神経巣症状(focal sign)がある

・中枢神経系疾患の既往

新規のけいれん

上記のいずれも該当しなければ、頭部CTなしで腰椎穿刺を行う

 

診療手順(治療を遅らせない!)

問診、身体所見

→採血、血培2セット(必須:採血部位を変えて)

髄液が採れなくても、血培さえ採取できていれば原因微生物をすいていできることが多い

→ステロイド(デキサメタゾン(デカドロン®)10㎎)

→抗菌薬(腰椎穿刺に時間がかかる場合は抗菌薬を先行投与してもよい)

→頭蓋内圧亢進が疑われる場合は腰椎穿刺前に頭部CT

→腰椎穿刺(20G以下の細い針を使用)

→グラム染色

 

 

髄液検査項目

・外観の観察

・初圧(正常:50~180㎜H2O)

・一般検査(蛋白、糖、細胞数、分画)

・グラム染色、墨汁染色、抗酸菌染色

・培養(一般細菌、抗酸菌、真菌)

※状況に応じて:

・細胞診(特に担癌患者)

・ADA

・単純ヘルペスPCR(HSV-PCR)

・結核PCR(感度が低く、疑った場合は髄液検査を繰り返して何度も検体を提出することが重要)

 

髄液正常値

※ 髄液細胞数≧500/μLで髄液糖が血清糖の2/3以下であれば、細菌性髄膜炎として治療開始

 

・圧:50~180㎜H2O(ものすごく高ければクリプトコッカスを疑う)

・細胞数:0~5個/mm3(リンパ球60~70%、単球30~40%:多核球は正常では含まれない)

・蛋白:≦45㎎/dL以下

・糖:45~80㎎/dL

・髄液糖/血糖値:正常0.6~0.8

0.4以下なら細菌性、結核性、真菌性、癌性を疑う

・Cl:血中と同等(低ければ結核を疑う)

・ADA:<4IU/Lの場合、結核は否定的

 

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/zuimaku_guide_2014_05.pdf

 

 

細菌性髄膜炎における年代別の原因微生物

生後1か月未満

Streptococcus agalactiae

Eschaerichia coli

Listeria monocytogenes

Klebsiella species

生後2か月~23か月(2歳未満)

Streptococcus agalactiae

Escherichia coli

Haemophilus influenzae

Streptococcus pneumoniae

Neisseria menigitidis

2歳~50歳

Streptococcus pneumoniae

Neisseria menigitidis

50歳以上

Streptococcus pneumoniae

Neisseria meningitidis

Listeria monocytogenes(→アンピシリン併用必要)

aerobic GNR

 

免疫不全患者

Streptococcus pneumoniae

Neisseria meningitidis

Listeria monocytogenes(→アンピシリン併用必要)

aerobic GNR(P.aeruginosaを含む)

 

頭蓋底骨折

Streptococcus pneumoniae

Haemophilus influenzae

Group A β-hemolytic streptococci

 

頭部外傷、脳外科手術

CNS

Staphylococcus aureus

aerobic GNR(P.aeruginosaを含む)

 

単純ヘルペス脳炎(無菌性髄膜炎)

・発熱が先行し、徐々に意識障害や人格変化(「言動がおかしい」の主訴)などを認めた場合は、ヘルペス脳炎を疑う

・同定は髄液のPCR分析で行う

・PCRの結果が出るまでには数日かかるため、ヘルペス脳炎が疑われる場合は結果を待たず治療を開始する。

・ウイルス性髄膜炎の初期は多核球優位が2/3あり!

・頭部MRIが有効で、両側側頭葉内側にFLAIRで高信号を呈するのが特徴的

・脳波では、約半数にPLEDs(periodic lateralized epileptiform dischartges)を認める

・アシクロビル 10㎎/㎏ 8時間毎(1日3回)

治療後7日間毎にPCRを再検し、2回連続で陰性を確認できたら修了

 

感染症以外による髄膜炎の原因

・癌性

・自己免疫性

ベーチェット病

サルコイドーシス

関節リウマチ

混合性結合組織病

原田病

 

治療

抗菌薬

・セフトリアキソン 2g 12時間ごと 1日2回

・バンコマイシン 20㎎/㎏ 12時間毎 1日2回

(→ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)に対して)

 

・アンピシリン(ABPC ビクシリン) 1回2g 4時間毎 1日6回

(→リステリア(特に50歳以上、免疫不全、妊婦、生後1か月未満)に対して)

 

・アシクロビル 10㎎/㎏ 8時間毎(1日3回)

(→単純ヘルペスに対して)

 

 

参考:ステロイド(デキサメタゾン(デカドロン®)→肺炎球菌のみ有効

・生命予後、機能予後改善効果

抗菌薬初回投与前に投与すること(抗菌薬の髄液移行性を阻害する)

・肺炎球菌でないと判明したら中止する。

デキサメタゾン(デカドロン®)10㎎ 6時間毎(1日4回)4日間

 

腰椎穿刺の再実施の適応

・基本的には再実施は不要

治療開始後、48時間経過しても臨床症状が改善しない場合、硬膜外膿瘍や脳膿瘍の可能性を考え、腰椎穿刺の再検や頭部MRIも考慮する必要がある

 

 

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