顔面筋の診察
1)顔面上部(額のしわ寄せ)
・検者の指を注視してもらい、上にあげた指を頭を動かさずに追視してもらうと額に皺が寄る
・額の筋は両側支配であるため、末梢性ではしわ寄せができないが、中枢性では上部顔面の麻痺はなくしわ寄せができる
2)眼輪筋
・しっかり閉眼を指示→重度の麻痺では閉眼不十分で白目が見える
3)口周囲
・歯を「イー」とむき出し→笑筋、大頬骨筋
・口笛を吹く、頬を膨らます→口輪筋
顔面神経の解剖
参照(このサイトより引用):http://www.anatomy.med.keio.ac.jp/funatoka/anatomy/cranial/cn7.html
代表疾患
1)中枢性麻痺
・純粋な運動麻痺を呈する
末梢性との鑑別点
・一方、顔面神経は混合神経であるため、末梢性では、麻痺側の聴覚過敏、麻痺側の涙腺、唾液腺分泌低下、舌前2/3味覚低下などの症状を来しうる
2)Bell麻痺
・特発性の末梢神経障害。
・原因不明であったが、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)の再活性化が主な病因と考えられている。
・糖尿病との合併も多い
症状
・聴覚過敏(あぶみ骨筋反射の障害により鼓膜の緊張が増すため)
・麻痺側の涙腺、唾液腺分泌低下
・舌前2/3での味覚消失(鼓索神経の障害)
・耳介、顔面の痛み、しびれ(約半数)
治療・予後
・約90%は数か月で完全回復するが、味覚障害を伴う場合、高齢者、完全麻痺の症例では後遺症が残ることがある。
・PSL 60㎎7日間(発症48時間以内に開始)、その後漸減
3)Ramsay-Hunt症候群(ラムゼイ-ハント症候群)
・初感染後、膝神経節に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:vallicalla-zoster virus)の再活性化により生じる末梢性顔面神経麻痺
・顔面神経麻痺
・耳介・外耳道の発疹、水疱、疼痛(後耳介神経(感覚)→耳性帯状疱疹)
・隣接する内耳神経(Ⅷ)に炎症が波及し、感音難聴、耳鳴り、眩暈
・患側軟口蓋、舌前2/3の水疱
検査:
・VZV血清IgG抗体ペア測定、
・IgM(初感染)
・ウイルス抗原検出
・水疱液のPCRによる水痘帯状疱疹ウイルスDNA検出
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