疾患
・中脳黒質緻密質のドパミン神経細胞内にレビー小体が形成され、神経細胞が脱落変性する
・神経細胞に過剰に発現した「αシヌクレイン」が凝集・蓄積し、神経変性や細胞死を引き起こすことで発症する
・ドパミン放出が障害されるが、後シナプスのドパミン受容体は温存されるため、ドパミン系の活動を上げる薬物によって運動障害が改善する(一方、パーキンソン病以外のパーキンソニズムを来す疾患の多くは、後シナプスのドパミン受容体も併せて変性するので、薬物反応が不良となる)
・全国の患者数は15~20万人といわれており、高齢化により今後ますます増加が予想される
症状:TRAP
4大症状:TRAP
安静時振戦(tremor at rest):
・初発症状として最多
・片側上肢から始まる4~6Hzの静止時「丸薬丸め振戦(pill-rolling tremor)」
・右手→右下肢→左手→左下肢というように、N字型、または逆N字型の進行
筋固縮(rigidity)
・歯車様
無動(akinesia)、寡動
・動作緩慢、小字、小声、仮面様顔貌
姿勢不安定(postural instability)
・進行期に出現
その他:
自律神経障害
・起立性低血圧
・排尿障害
・便秘
睡眠障害
・レム睡眠行動異常症など
・運動障害発現前から現れることがある
精神症状(抑うつ、アパシー)
認知機能障害
感覚障害
参考:pre-motor phase(前駆症状)
運動症状出現前に先行する非運動症状
・便秘
・抑うつ
・レム睡眠障害
・嗅覚低下
・起立性低血圧
など
重症度分類
・「Hoehn-Yahr(ホーエン・ヤール)重症度分類」と「生活機能障害度」の二つがある
参照(このサイトより引用):https://www.kyowakirin.co.jp/parkinsons/diagnosis/diagnosis02.html
薬物療法
・パーキンソン病治療の基本薬は「L-dopa」と「ドパミンアゴニスト」である。
・L-dopa合剤で治療を開始すると、5~10年程度の間に「wearing-off」や「on-off」などの運動系合併症の頻度が高くなってしまうため、70~75歳以下の比較的若年者では、運動系合併症の少ないドパミンアゴニストから開始する。
・一方、高齢者(一つの目安として70~75歳以上)及び認知症を合併している患者は、ドパミンアゴニストによって幻覚・妄想が誘発されやすく、運動合併症の発現は若年者ほど多くないのでL-dopaで治療開始して良い。
L-dopa(レボドパ):高齢者
・ドパミンの前駆物質(ドパミンは血液脳関門を通過できないが、L-dopaは通過できる)
・長期にわたる服用により日内変動(on-off現象(突然薬の効果がきれ体が動かなくなる)、wearing-off現象(薬の効果持続時間が短縮し薬物濃度の変動とともに症状が変動する現象))、ジスキネジアといった副作用(運動合併症)が表出する。
・L-dopaの特徴
・効きやすい
・幻覚リスク少ない
・消化器症状あり
・運動系合併症を起こしやすい
・高齢者に適している
・DLB合併例
・自動車運転(突発性睡眠障害がない)
L-DOPA/カルビドパ合剤
L-dopaに対する重量比で10%のドパミン脱炭酸酵素阻害薬であるカルビドパが配合された薬剤
「メネシット®」
「ネオドパストン®」
「ドパコール®」
L-DOPA/ベンセラジド合剤
レボドパに対する重量比で25%のベンセラジドが配合された薬剤
「イーシードパール®」
「マドパー®」
「ネオドパゾール®」
L-DOPA / カルビドパ / エンタカポン合剤
「スタレボ®」
ドパミンアゴニスト
・なだらかにジワジワ効く(底上げ効果)
・幻覚の副作用あり
・突発的睡眠あり(非麦角系)
・若年者によい
ゾミサミド(トレリーフ®)
・脳内のドパミン放出促進作用などによるドパミン作用を増強
抗コリン薬(アキネトン®、アーテン®)
・(若年者の)振戦の改善
※高齢者では副作用が問題となるため、投与は控える
アマンタジン(シンメトレル®)
・神経細胞からのドパミン放出やドパミンの合成を促進
・ジスキネジアの改善
COMT阻害薬(エンタカポン®)
・Ⅼドパ効果延長作用
・wearing offの軽減
モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬(エフピー®、エクフィナ®)
・内因性およびレボドパ含有製剤由来のドパミン脳内濃度の維持助長(ドパミン作動性作用)。
・また、電位依存性ナトリウムチャネル阻害作用を介した脳内グルタミン酸放出抑制作用(非ドパミン作動性作用)を併せ持つ。
・症状が抑えられている時間(オン時間)の1時間以上の延長や運動機能の改善が認められており、wearing off現象の改善効果が期待される。
アポモルヒネ
・ドパミン受容体のうちD1およびD2受容体の作動薬で、即効性がある。
・すでに1950年代からパーキンソン病への適応が検討されていたが、初回通過効果を受けやすいため経口薬としては使えなかった。
・その後、皮下注射薬が開発されて即効性と半減期の短さから、進行期のオフ症状に対するレスキュー役として使われるようになった (日本では2012年3月承認)。
アデノシンA2A受容体拮抗薬(ノウリアスト®)
・2013年3月25日に製造販売承認を取得し、2013年5月24日に薬価基準収載された新薬。
・ウェアリングオフ現象の改善効果
抗パーキンソン病薬の経口内服が困難となった場合の対応
・抗パーキンソン病薬の中止により、悪性症候群がおこることに注意
・レボドパ注(ドパストン静注®)やドパミンアゴニスト貼付薬(ニュープロパッチ®、ロチゴチン®)を用いて、悪性症候群を予防する必要がある。
ドパストン点滴用量:
・L-DOPA合剤100㎎ 1錠に対し、50~100㎎の換算
・L-DOPA以外の薬剤は、レボドパ合剤換算量を算出
プラミペキソール
・生食100mLに混合し、点滴静注する(1日量を3回に分けて、など)
リハビリテーション
コメント