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めまい診療(末梢性めまいか中枢性めまいかの鑑別、HINTS)

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「めまい」患者に対する初期対応

① バイタルサインの確認

 

② 病歴聴取

・発症様式

・トリガー

持続時間

持続性:AVS(急性前庭症候群:前庭神経炎、脳血管障害)

非持続性:BPPV、前庭片頭痛、TIAなど

・時間経過

・関連症状

動悸、胸部不快感、呼吸苦はなかったか(不整脈、冠動脈疾患、心不全の確認)

 

③ 対症療法

・めまいは救急外来を受診時には強い症状を訴えいることが多いため、対症療法を早めに行うことは患者さんにとって重要。

・また身体診察にとっても症状を落ち着かせることは重要

例)

アタラックスP25㎎ 点滴静注(なければプリンペラン10㎎)

 

 

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ERにおける「急性発症のめまい」の新分類

・めまいの性状にとらわれない分類

・「前失神」や「平衡障害」は病歴で除外し、残りの「回転性めまい」と「浮動性・分類不能型めまい」を主訴に来院した時のアプローチ方針を示す。

「急性重度めまい」「反復性頭位めまい」「反復性特発性めまい」の3つに大まかに分類する

 

① 急性重度めまい(→中枢性と前庭神経炎に絞れる)

・急性発症、重篤、持続性めまい、嘔気、嘔吐、平衡障害

前庭神経炎(蝸牛症状(難聴、耳鳴り耳鳴り)はなし)小脳出血・梗塞、脳幹梗塞など

・鑑別にはMRIが必要(ただし脳梗塞に対して発症3時間以内の感度76%、特異度96%、12時間以内でも感度91%)

 

② 反復性頭位めまい

・頭位変換により誘発されるめまい

・BPPV、小脳腫瘍、椎骨脳底動脈血流不全

 

③ 反復性めまい

・自然に起こるめまい

・メニエル病、椎骨脳底動脈血流不全、TIA、片頭痛性めまい、多発性硬化症など

 

 

参照:めまいの性状による分類 (旧分類:現在は信頼性がなく使用されない)

① 前失神(pre-syncope):目の前が真っ暗になる感じ

「失神」の鑑別へ

 

② 回転性めまい(vertigo):ぐるぐる回る

末梢性

中枢性

 

③ 平衡障害(disequilibrium):まっすぐ歩けない

小脳梗塞、出血

小脳腫瘍

慢性硬膜下血腫

正常圧水頭症

パーキンソン病

末梢神経障害

薬剤性

 

④ 浮動性・分類不能型めまい(lightheadedness):ふわふわしためまい、何となくふらつく

・非特異的症状で、鑑別疾患は無数

 

 

 

 

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めまいの原因

① 末梢性(40%)

② 中枢性(10%)

③ 心因性(15%)

④ その他の前失神や平衡障害(25%)

⑤ 原因不明(10%)

 

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CT、MRIの限界

・頭部CTにおける発症24時間以内の後方循環系の脳梗塞の感度は7~16%

・MRIも発症24~48時間以内では80~90%(偽陰性が多い)

・出血は比較的容易に判断できるが、脳梗塞を疑っている場合は、MRIでたとえ高信号が認められなくても、MRAで特記すべき異常が認められなくても、安易に中枢性めまいを除外してはならない

・臨床的に脳血管障害によるめまいを疑う場合、48時間あけてMRI再検査が必要

 

参照:

 

HINTS(Head Impulse-Nystagmus-Test of Skew)

・前庭性と中枢性の鑑別(半規管性は含まれないことに注意)

急性期脳梗塞で感度100%、特異度96%

(3つとも末梢性所見なら中枢性めまいは除外できる)

 

① HI:head impulse test(HIT):半規管系の前庭機能検査(前庭動眼反射)

・前庭動眼反射(vestibulo-ocular reflex:VOR)を評価する試験。

・横向き(10~20°)の状態から検者の鼻先を見てもらい、急に顔を横向けから正面に戻す
→「人形の目現象」が保たれていない(異常、行き過ぎてから戻る)ならば「陽性」で、末梢性めまい(前庭神経障害:感度34~57%、特異度90~99%)

・「人形の眼」が保たれていれば正常、「陰性」で、中枢性めまいを示唆

 

② N:nystagmus

・水平一方向性なら末梢性
注視方向性(両方向性)垂直性なら中枢性

 

③ TS : test of skew(斜偏位)

・上下方向の斜視(斜偏位)の確認

・検者の鼻を注視させる

・この時、脳幹障害側の眼は下方、健側は上方に偏位する

・これを確認した後、検者の手で左右の目を交互に隠すと、眼球が正常位置に戻る(cover uncover test)

・患側眼は上方移動、健側眼は下方移動する

・目が縦に流れれば中枢性(脳幹障害)

 

 

 

HINTS plus

・HINTSに「新規片側性難聴」(蝸牛症状:「指こすり」による難聴の確認、耳閉、耳鳴りがある)を加えたもの

・「指こすり」による難聴の確認、耳閉、耳鳴りの有無

「新規片側性難聴」があれば中枢性梗塞が否定できない(AICA梗塞)
・一方、末梢性(前庭神経炎)では聴力低下なし。

 

理由

・AICAは小脳や脳幹だけではなく,前庭神経そのものや、蝸牛神経核や蝸牛にも栄養している

→ AICA梗塞では内耳梗塞も合併し、聴力障害も示すのが特徴

(メニエール病や突発性難聴との鑑別を要する)

・したがって、AICA梗塞では、HITで末梢性パターンを示すことがあり、nystagmusとtest of skewで異常がなければ末梢性と診断されてしまう危険性がある。

HIT末梢パターン+新規片側性難聴=AICA梗塞と考える
(↔ HINTS末梢性に聴力低下もなければ「末梢性」と判断する)


HINTS plusがすべて末梢パターンなら、まずは前庭神経炎を疑う。
1つでも中枢性なら中枢疾患を疑う。

 

参考:

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