めまいの分類
① 前失神(pre-syncope):目の前が真っ暗になる感じ
② 回転性めまい(vertigo):ぐるぐる回る
末梢性
中枢性
③ 平衡障害(disequilibrium):まっすぐ歩けない
小脳梗塞、出血
小脳腫瘍
慢性硬膜下血腫
正常圧水頭症
パーキンソン病
末梢神経障害
薬剤性
④ 浮動性・分類不能型めまい(lightheadedness):ふわふわしためまい、何となくふらつく
・非特異的症状で、鑑別疾患は無数
ERで使えるめまいの分類
※ めまいの性状にとらわれない分類
※ 「前失神」や「平衡障害」は病歴で除外し、残りの「回転性めまい」と「浮動性・分類不能型めまい」を主訴に来院した時のアプローチ方針を示す
① 急性重度めまい(→中枢性と前庭神経炎に絞れる)
・急性発症、重篤、持続性めまい、嘔気、嘔吐、平衡障害
・前庭神経炎、小脳出血・梗塞、脳幹梗塞など
・鑑別にはMRIが必要
② 反復性頭位めまい
・頭位変換により誘発されるめまい
・BPPV、小脳腫瘍、椎骨脳底動脈血流不全
③ 反復性めまい
・自然に起こるめまい
・メニエル病、椎骨脳底動脈血流不全、TIA、片頭痛性めまい、多発性硬化症など
めまいの原因
① 末梢性(40%)
② 中枢性(10%)
③ 心因性(15%)
④ その他の前失神や平衡障害(25%)
⑤ 原因不明(10%)
HINTSとは
※ 感度100%(3つとも末梢性所見なら中枢性めまいは除外できる)
① HI:head impulse test:半規管系の前庭機能検査(頭位眼球反射)
・横向き(10~20°)の状態から検者の鼻先を見てもらい、急に顔を横向けから正面に戻す
→「人形の目現象」が保たれていない(行き過ぎてから戻る)ならば「陽性」で、末梢性めまい(前庭神経障害)
・「人形の眼」が保たれていれば「陰性」で、中枢性めまい
② N:nystagmus
・水平一方向性なら末梢性
・注視方向性や垂直性なら中枢性
③ TS : test of skew(斜偏位)
・上下方向の斜視(斜偏位)の確認
・検者の鼻を注視させる
↓
左右の目を交互に隠すことで、目が縦に流れれば中枢性(脳幹障害)
HINTS plus
・HINTSに新規片側性難聴の有無(蝸牛症状:「指こすり」による難聴の確認、耳閉、耳鳴りの有無)を加えたもの)
・新規片側性難聴があれば中枢性梗塞が否定できない(AICA梗塞)
・一方、末梢性(前庭神経炎)では聴力低下なし。
<理由>
・AICAは小脳や脳幹だけではなく,前庭神経そのものや、蝸牛神経核や蝸牛にも栄養している
→ AICA梗塞では内耳梗塞も合併し聴力障害も示すのが特徴
(メニエール病や突発性難聴との鑑別を要する)
・したがって、AICA梗塞では、HITで末梢性パターンを示すことがあり、nystagmusとtest of skewで異常がなければ末梢性と診断されてしまう。
・HIT末梢パターン+新規片側性難聴=AICA梗塞と考える
(つまり、HINTS末梢性に聴力低下もなければ「末梢性」と判断する)
↓
HINTS plusがすべて末梢パターンなら、まずは前庭神経炎を疑う。
1つでも中枢性なら中枢疾患を疑う。
参考:
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