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アルコール関連問題(単位、適正量、依存の診断)

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単位

・1ドリンク=アルコール10g
・1単位=2ドリンク=アルコール20g

 

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純アルコール量の計算

純アルコール量(g)=「摂取量(mL)」×「度数(%)」/100 × 0.8

・ビール:5%

・焼酎:25%

 

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節度ある適度な飲酒(健康日本21)

節度ある適切な飲酒:

・1日純アルコール男性20g(1単位)、女性10g以下(0.5単位)

・週5日間まで

 

多量飲酒:

・1日アルコール60g以上(6ドリンク、3単位以上)

 

生活習慣病のリスクを高める飲酒量

・1日、男性40g(2単位)以上、女性20g(1単位)以上

 

1単位=2ドリンクの目安(純アルコール20g)

※ 男性の1日の上限(1単位/日)(女性はさらにこの半分(0.5単位/日))

・日本酒1合(180mL)

・ビール中瓶(500mL)(大瓶は2.5ドリンク)

・焼酎25% 0.6合(110mL)

・焼酎お湯割り2杯

・ウイスキーダブル(60mL)

・缶チューハイ7% 350ml

・ワイングラス2杯(200mL)

 

飲酒の基礎知識 −公益社団法人アルコール健康医学協会−
お酒を分解する仕組みや酔いのメカニズムなど、飲酒に関する医学的な基礎知識を解説しています。

 

「アルコール使用障害」という概念

・DSM-5の疾患概念で、「依存症」「有害な使用」「乱用」「プレアルコホリズム」を含む。

※アメリカ精神医学会による診断基準「DSM-5」では、それまであった「アルコール依存症」の病名をなくす改訂が行われた

 

参照(このサイトより引用):https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-003.html

・アルコール使用障害(AUD)は、社会的な悪影響、職業への悪影響、または健康への悪影響があるにもかかわらず、アルコール摂取を止めるまたは管理する能力に障害があることを特徴とする病状。

・うつ病、双極性障害、パニック障害、摂食障害などさまざまな精神疾患や違法薬物などへの依存が併存していることがあり、注意を要する。

・国際疾病分類第10版(ICD-10)の診断基準に基づくアルコール依存症者の有病率は、男性の1.9%、女性の0.1%、全体で0.9%と推定された。 この割合をもとにわが国のアルコール依存症者数を推計すると80万人であった。

 

アルコール依存症のスクリーニング

CAGE質問

4項目のうち2項目以上当てはまればアルコール使用障害の可能性が高いとされる。

わが国の職域における検討では感度77.8%、特異度92.6%と信頼できる結果が得られている。

 

C:cut down
「飲酒量を減らさなければならないと感じたことはあるか」
A:annoyed by criticism
「飲酒を非難されて腹を立てたことはあるか」
G:guilty feeling
「飲酒に対して、罪悪感を抱いたことはあるか」
E:morning eye opener
「朝酒や迎え酒をしたことはあるか」

 

 2項目以上が当てはまる場合は、「アルコール依存症の可能性がある」と診断される

(感度77.8%、特異度92.6%)

 

AUDIT (Alcohol use disorders identification test)

・アルコール問題飲酒者のスクリーニングテスト

・10項目の質問からなる

・8~12点で「問題飲酒」、15点以上で「アルコール依存」と診断

 

 

 

アルコール使用障害のスクリーニングから専門的な治療介入までの流れ:『SBIRTS』

 

SBIRTS(エスバーツ)

S:screening(スクリーニング):

CAGEやAUDITで飲酒問題の程度を確認

 

BI:brief intervention(簡易介入):

ハイリスク飲酒者には簡単なカウンセリングを行い、節酒を促す。

動機付け面接法

 

R:referral to treatment(専門医療への紹介)

アルコール依存症の疑いがある場合には、専門医療の受診を勧める

 

S:self-help groups(自助グループへの紹介)

回復のため自助グループにつなげる

 

節酒か断酒か?

・アルコール依存症に対する治療目標として、以前は断酒のみが唯一の目標とされたが、近年ではHarm reductionの観点から飲酒量低減(節酒)を治療目標として許容する世界的な潮流がある

・2019年に飲酒量低減に有効な薬剤ナルメフェン(nalmefene)が上市された(推奨度2 Rs)

 

アルコール依存症の治療目標は原則として「断酒」

アルコール依存症から回復する方法は「断酒だけ」です。

・「飲みすぎたのがいけないのだから量を減らそう」「しばらくやめるが、体が良くなったらたまには飲もう」という「節酒」や、一定期間の禁酒が目標では、最初はうまくできているつもりでも、そのうちに元の飲み方に戻ってしまいます。

・そもそも、アルコール依存症とは、飲酒をコントロールできなくなる病気なので、飲酒をコントロールしようとしても無理なのです。

一滴でも飲酒をしないという「断酒」だけが、アルコール依存症から回復する唯一の方法です。

・そして、断酒は人から止められることでは達成できません。例えば、身体をこわして入院し、その間だけ飲酒しなかったとしても、自分で酒を断とうと決心しない限りは、問題の解決にはならないのです。

・自分自身だけが断酒を実行可能であり、一日一日断酒を続けていくことが依存症からの回復なのです。

・アルコール関連疾患の治療の現場では、患者の「少しは飲みたい」という要求に応じて「1~2杯程度ならよかろう」と結果的に節酒指導になっている場面が見受けられる。

・しかし、このことは“依存症は飲酒コントロールの障害”という病態を考えると最も困難な指示を与えていることになる。

・つまり、飲酒量をコントロールできない患者に飲酒量のコントロールを要求していることとなり、早晩に破綻を来す可能性が高い。

 

中間的な治療目標として「飲酒量低減」

断酒を治療目標としたアルコール依存症治療は、患者の抵抗が強く、脱落者も多く認められた。また薬物使用や危険なセックスなど有害となる行動を止めさせるのではなく、まずは軽減しようとするHarm reductionの理念が欧州を中心に拡がった。アルコール依存症治療においても、特に治療の導入期において飲酒量を低減して、身体的・精神的合併症や社会的問題の軽減をはかるといった治療方針の転換が一部で生じている。
また、アルコール依存症の重症度や随伴するアルコール関連問題の程度は患者によってさまざまであり、いずれも軽度で、必ずしも断酒を必要としない患者群がいる。そのような軽症のアルコール依存症患者に対して、飲酒量低減薬は適切な治療選択肢となり得る。
アルコール依存症予備軍といえる多量飲酒者を対象として、飲酒問題の進展を予防する薬剤として期待されたが、適応はアルコール依存症患者に限定された。また、処方医についても「本剤の安全性及び有効性を十分に理解し、アルコール依存症治療を適切に実施することができる医師によってのみ本剤が処方されるよう、適切な措置を講じること」との条件があり、『アルコール依存症臨床医等研修』を受講した医師、またはそれに準ずる研修を受けた医師に限定され、初回投与までの診察時に30分を超えて心理社会的治療を行うことが必要となる。
アルコール依存症者に対する飲酒量低減効果についてプラセボ対照ランダム化比較試験が、ヨーロッパの4カ国、39施設で実施され、6カ月後には1カ月間の多量飲酒日が平均11日間減少し、飲酒量は60%減少し、プラセボ群との有意差が示された。

セリンクロ

減酒(節酒)治療における薬物療法(セリンクロ)
従来の抗酒薬(ノックビン、シアナマイド)は抗酒剤を服薬中にお酒を飲むとアルコールの分解酵素の働きが阻害され、ひどい二日酔いの状態になります。これを経験した患者さんの中には、二度と同様のひどい目にあいたくないと断酒を意識するようになる方もいます。

一方で、この不快感を避けるためにそもそも抗酒剤を服用しなくなってしまう患者さんもおります

こういった服薬の中断を防ぐためには、周囲の人が服薬を管理する必要がありますが、患者さん本人はそれを嫌がる人も少なくありません。

一方で、セリンクロは服薬しても従来薬(ノックビン、シアナマイド)のような不快な感覚になる薬効はありません。飲みたくなる気持ち(欲求)そのものが抑えられるのです。

欲求が抑えられれば、少量のお酒で満足できます。その結果、服薬が継続し、飲酒量・多量飲酒日が半分に減るという報告がされています。

 

アルコホーリクス・アノニマス(AA)

・アルコホーリクス・アノニマスは「無名のアルコホーリクたち」という意味であり、通常、AAと略されます。

・AAはアルコール依存症者が断酒を達成し、継続するために自発的に参加する世界的な自助グループです。

・AAは断酒会と並んで代表的な自助グループであり、依存症治療の柱の一つとなっています。

・AAには、飲酒をやめたいという希望がある依存症者であれば誰でも参加でき、会費や料金はありません。

・AAの活動の中心は、ミーティングで体験談を語ることと、回復のための12のステップを実行することとなります。

・ミーティングにはアルコール依存症者だけが参加できるクローズド・ディスカッション・ミーティングと、依存症者以外の、医療関係者なども参加できるオープン・ミーティングがあります。

・12のステップは、アルコールに対して無力であることを認めること、自分を超えた力が健康な心に戻してくれると信じるようになること、自分自身の棚卸しなどの項目からなっています。

・AAは、2019年1月現在、およそ180以上の国と地域に12万5,000以上のグループが存在し、メンバー数は200万人以上の、世界最大のアルコール依存症の自助グループです。日本にも600以上のグループが存在し、メンバー数は5,800人以上と推定されています。

 

「AA」と「断酒会」との違い

・「AA」には組織がなく、「断酒会」は組織化されている。

・「AA」は匿名で参加し、「断酒会」は実名を明かす。

・「AA」は原則本人のみが参加し、「断酒会」は家族も参加する。

 

AA12のステップ

1.私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた。

2.自分を超えた大きな力が、私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった。

3.私たちの意志と生きかたを、自分なりに理解した神の配慮にゆだねる決心をした。

4.恐れずに、徹底して、自分自身の棚卸しを行い、それを表に作った。

5.神に対し、自分に対し、そしてもう一人の人に対して、自分の過ちの本質をありのままに認めた。

6.こうした性格上の欠点全部を、神に取り除いてもらう準備がすべて整った。

7.私たちの短所を取り除いてくださいと、謙虚に神に求めた。

8。私たちが傷つけたすべての人の表を作り、その人たち全員に進んで埋め合わせをしようとする気持ちになった。

9.その人たちやほかの人を傷つけない限り、機会あるたびに、その人たちに直接埋め合わせをした。

10.自分自身の棚卸しを続け、間違ったときは直ちにそれを認めた。

11.祈りと黙想を通して、自分なりに理解した神との意識的な触れ合いを深め、神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求めた。

12.これらのステップを経た結果、私たちは霊的に目覚め、このメッセージをアルコホーリクに伝え、そして私たちのすべてのことにこの原理を実行しようと努力した。
(AAワールドサービス社の許可のもとに再録)

 

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