FENaの意義
・糸球体からボウマン嚢に濾過されたナトリウムのうち、再吸収されずに排泄尿中に排泄された
ナトリウムの割合(%)
・腎前性、腎性腎障害の鑑別に有用。
・一般に正常では、生体にとって必要なナトリウムや水は99%再吸収されるため、尿中にはほとんど排泄されない
・正常値(排泄率):1%前後
・採血とスポット尿で計算が可能。
計算に必要な検査項目
・「血中 Na、Cr濃度」、「尿中Na、Cr濃度」の4項目で計算可能
計算式
FENa={CNa/Ccr}×100
=(UNa・V/PNa)/(Ucr・V/Pcr)×100
={UNa・Pcr/PNa・Ucr}×100
判定
腎前性:FENa<1%
・腎への血流が低下しており、体液量を保持するために尿細管でのNa再吸収が亢進する
・尿細管での水再吸収能(尿濃縮)は保たれているので,尿中Naは減少し、FENa<1%となる。
・尿の比重や浸透圧は高く、濃くなっている。
・同時にNaClの再吸収も亢進するので尿中のNa+濃度は減少する.
腎性(急性尿細管壊死):FENa>1%
・尿細管障害によりNaの再吸収が低下するため、尿中Na濃度は増加する.
検査に影響する要因
併存疾患の影響
・心不全、肝硬変、ミオグロビン腎症、造影剤腎症、急性糸球体腎炎でFENaは低値になる
・糖尿病性ケトアシドーシス、多尿症、慢性腎臓病、高齢などでFENaが上昇する
利尿剤の影響
・利尿剤は尿細管でのNa再吸収を低下させるため、FENaを上昇させる
・利尿剤投与時には、腎前性であってもFENaは3%程度まで上昇する
→FF-UNを用いる(<35%で腎前性)
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