・精巣(精索)捻転症→まずはこれがないか確認!
・精巣上体炎
・精巣垂捻転
の3つを考える。
※腹痛のみの場合もある(しかし腹部に圧痛はない)
→ 精巣はTh10~11支配のため
1)精巣(精索)捻転症
疾患
・新生児と思春期(12~18歳頃)の2峰性の年齢分布を示すが、あらゆる年齢で発症する
(ただし40歳以上ではまれ)
・通常は突然発症または急性発症の強い陰嚢部の痛み(24時間以内の受診)
・思春期では夜間睡眠中や早朝覚醒時に多い(レム睡眠時の性的刺激)
・左側に多い(右の2~3倍)
・過去に短時間に自然に寛解した一過性の急性陰嚢症の既往があることがある
・過去に短時間に自然に寛解した一過性の急性陰嚢症の既往があることがある
・悪心、嘔吐を伴う強い痛み(腹痛、悪心、嘔吐を主訴に受診するため、消化器疾患と思い込まないことに!)
所見
・陰嚢部の疼痛、腫脹、圧痛
・精巣の位置異常(挙上、横位):立位で診察
・精巣全体の圧痛(自分で掴んでもらってもよい)
・悪心嘔吐、急性腹症(主に下腹部痛)も主訴となり得る
・精巣挙筋反射の消失(感度99%)
↔付属小体捻転症や精巣上体炎では精巣挙筋反射は保たれる
↔付属小体捻転症や精巣上体炎では精巣挙筋反射は保たれる
・患側精巣は健側より高位
※Prehn徴候(精巣を持ち上げると疼痛が増悪する)は感度、特異度とも低く有用性なし
エコー:
・カラードプラで精巣の血流低下(ドップラーの感度を高くして);熟練を要する
・精索が捻じれた結節がある
TWIST score
・精巣の腫脹:2点
・精巣の触診で硬結を触れる:2点
・精巣挙筋反射の消失:1点
・嘔気・嘔吐:1点
・患側の精巣が高位:1点
・精巣の触診で硬結を触れる:2点
・精巣挙筋反射の消失:1点
・嘔気・嘔吐:1点
・患側の精巣が高位:1点
0~2点(低リスク):否定的
3~4点(中リスク):エコー検査へ
5~7点(高リスク):精巣捻転の特異度100%(泌尿器科コンサルト)
治療
・発症から6時間以上経過すると予後不良
・妊孕性保護のため、6時間以内の解除が必要
・観血的整復が原則
・冷却しつつ泌尿器科へ搬送
2)精巣上体炎
・あらゆる年齢(成人に多い傾向)
・通常緩徐発症
・外傷を契機に発症することがあり(外傷による精巣、精巣上体のうっ血による)
・発熱、排尿時痛、尿意切迫感
・精巣上体に限局性の圧痛
・発熱、炎症反応上昇、膿尿(感度低い)・原因菌
性活動期若年男性:淋菌、クラミジア
中年以降:グラム陰性桿菌(腸内細菌、緑膿菌:前立腺肥大、前立腺癌の検索必要)
・ドップラーエコーで精巣上体の血流増加の確認が有効
・治療:
外傷性ではNSAIDs、安静による対症療法
感染性では抗菌薬:
STDのリスクあり:セフトリアキソン1g静注+アジスロマイシン1g1回内服
STDのリスクなし:レボフロキサシン500㎎1日1回10日間
3)精巣垂捻転
・小学生に多い(成人は少ない)
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