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異常な呼吸(ビオ―呼吸(失調性呼吸)、チェーンストークス呼吸、奇異呼吸、陥没呼吸)

ビオー呼吸(Biot’s respiration)

・失調性呼吸とも呼ばれ、呼吸リズム(呼吸数)、換気量および無呼吸時間がすべて不規則に混在する異常呼吸である。

・チェーンストークス呼吸と同様に無呼吸と頻呼吸の反復であるが、異なる点はチェーンストークス呼吸のような呼吸のリズムの周期性変化はなく、呼吸のリズムは不規則

・原因としては、中枢神経系疾患(特に橋と延髄の外傷、圧迫、血管障害)、脳炎、脳腫瘍、髄膜炎など頭蓋内圧亢進による圧迫や脳卒中(脳血管障害)などによるものが多い。

・橋と延髄の病変でビオー呼吸が起こるのは、呼吸をコントロールしている呼吸中枢が橋と延髄付近にあるためである。

 

チェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration、periodic respiration)

・呼吸が徐々に増大と減少を繰り返し、最も減弱したときにしばらく停止しているような周期的な異常呼吸である。

・まず数秒から数十秒の無呼吸がみられ、その後浅い呼吸が始まり、徐々に深い呼吸となる。その後再び浅い呼吸に戻って呼吸停止となる。このサイクルを30秒から2分程度で繰り返すことが多い。

・正常呼吸の換気量は、延髄の呼吸中枢にある化学受容器で感受されている動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)によって主に調節されている。何らかの原因により、この動脈血二酸化炭素濃度分圧が高い状態が続くと、重度の呼吸性アシドーシスとなり、pHの低下とCO2の鎮静作用により、意識障害と呼吸中枢の感受性低下による自発呼吸の減弱が生じ、二酸化炭素ナルコーシス(炭酸ガスナルコーシス、CO2ナルコーシス)という状態になる。

・意識が明瞭な時は、頻呼吸や努力呼吸で酸素を取り入れようとするが、睡眠時や意識レベル低下時は、より動脈血二酸化炭素分圧が低下した状況にならないと呼吸が必要だと判断されなくなる。少しずつ呼吸が大きくなり1回換気量が増えると、脳がこれ以上の酸素は必要ないと勘違いを起こす。すると呼吸が小さくなり無呼吸状態になり、これを繰り返してしまう。

・このチェーンストークス呼吸を繰り返すうちに、二酸化炭素ナルコーシスがさらに進み、意識レベルは低下して朦朧状態となり、意識消失による舌根沈下や窒息、呼吸のさらなる低下から呼吸停止につながり死に至ることもある。

・チェーンストークス呼吸が見られる疾患としては、中枢神経疾患、アルコール中毒、モルヒネ中毒、脳血管障害、心不全、腎不全(尿毒症)、各種疾患の末期などにみられる。

奇異呼吸

①左右が対称的な動きでない:一側の無気肺,気胸,血胸,気道内異物

②胸部と腹部の動きが同調していない:頸髄損傷

③胸郭の一部が他と逆の動きをする呼吸運動:胸郭動揺(flail chest)

 

陥没呼吸

・息を吸い込むとき胸の一部が陥没する状態の呼吸。

・胸骨上窩、鎖骨上、肋間、肋骨弓下

 

 

シーソー呼吸

・吸気時に胸郭が下がり、腹部が膨らむ

・上気道閉塞(舌根沈下、気道異物、喉頭浮腫など)

 

ベイツ診察法 第2版

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