発症様式、しびれの種類、分布、臨床状況の確認
1)真の感覚障害か、運動障害か
・運動障害を「しびれ」と表現していないか確認する
・pure motor neuropathy
→筋萎縮性側索硬化症、多巣性運動ニューロパチー(脱髄所見)
2)突然発症か、慢性発症か?
・突然発症の場合、血管障害を考える必要あり
・血管障害(突然)
・血管炎(強い痛み、多発単神経障害)
・ギラン・バレー(運動要害目立つ、腱反射消失)
・ビタミンB1,12欠乏
・悪性腫瘍による末梢神経障害、薬物・毒物
・顔面にもしびれ→手口感覚症候群の可能性(対側視床血管障害の可能性)
3)手以外に足にもしびれがあるか?
① 四肢遠位優位のしびれ
・糖尿病性ニューロパチー
・ビタミンB1欠乏
・薬剤性ニューロパチー
② 灼熱感、針で刺すような痛みなど、有痛性症状が四肢のしびれに先行したか?
・アルコール性ニューロパチー
・原発性全身性ALアミロイドーシス
③ 顔面や体幹にもしびれがあるか?
・傍腫瘍症候群による亜急性感覚性ニューロパチー
・シェーグレン症候群
・薬剤性ニューロパチー
これらは一側上肢から始まり、非対称性に下肢だけでなく、顔面~体幹まで数週間かけて出現する。
④ 単ニューロパチーが時間経過とともに多発
・血管炎
ニューロパチーの種類
① 単神経炎
・1本の末梢神経のみの障害
・外傷や圧迫などの局所的要因が多い
② 多発単神経炎
・複数の末梢神経が障害されたもの
・その分布は左右非対称でpatchyである
・血管炎など
③ 多発神経炎
・左右対称性
・四肢末梢に障害が強いglove and stocking patternをとる
・通常下肢の方が上肢より症状が強い
手のしびれ
① 環指に感覚障害の境界があるか?(ring-finger splittingの有無)
手根管症候群:
・環指の橈側に感覚障害を認めるが、尺側には認めない
・また手根管症候群では、手掌内の感覚を支配する正中神経掌側皮枝が手根管より近位で分岐するため、手掌内の感覚障害は生じない
・正中神経の単独支配である短母指外転筋の筋力低下を認める(掌側外転)
② 手背を含むか?
・正中神経の手背の支配域はPIPより遠位であるため、手根管症候群では手背の感覚障害は来さない
・一方、C6、7、8神経根障害では感覚障害が手背に及ぶ。
参照(このサイトより引用):http://www.jikosoudan.net/article/13498947.html
③ 前腕尺側の感覚障害がある場合、その広がりはどうか?
・肘部管症候群において尺骨神経障害による前腕の感覚障害は前腕尺側遠位(手関節皮線より6㎝以内)
・一方。C8神経根障害では前腕尺側近位までおよぶ(手関節皮線より6㎝を越えて近位に及ぶ)
④ 一側から両側に進行しているか?
・頚椎症性脊髄症
一側上肢のしびれで始まり、進行すると両上肢に広がる
10秒テスト(手掌を下にしてグーパーを繰り返す。脊髄症では21~22回以下)
Hoffmann反射(C8反射弓)が亢進
⑤ 単肢のしびれ
・末梢性の単神経障害や神経根障害によるしびれから考える
・単肢しびれ+運動障害なし→頭蓋内病変、延髄病変
しびれの種類
① 顕著な脱力+多少の感覚障害
・critical illness polyneuropathy(敗血症、多臓器不全)
・ギラン・バレー(上行性筋力低下、脳神経障害、自律神経障害、脱髄所見)
・CIPD
・鉛中毒(リスト、アンクルドロップ)
・急性ポルフィリン症(貧血、腹痛)
・シャルコー・マリー
② 疼痛が強いしびれ
・血管炎
・糖尿病
・アルコール
・アミロイドーシス(small fiber neuropathy)
・感覚失調→ビタミンB12
・ギラン・バレー
・CIPD
・IgM型M蛋白血症
③ non-length dependent small fiber sensory polyneuropathy(末梢優位だが、手背、足底にはない)
・自己免疫疾患(シェーグレン、腫瘍随伴症候群、等)
しびれを来す代表的疾患
【単神経障害】
・手根管症候群(環指撓側のしびれ、短母指外転筋筋力低下)
・橈骨神経麻痺
・外側大腿皮神経痛
【多発神経障害】
・糖尿病性神経障害
・アルコール性
・血管炎
・ギラン・バレー
・膠原病
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