定義
・「医学的に説明困難な身体症状」で、「何らかの身体疾患が存在するかと思わせる症状が認められるが、適切な診察や検査を行っても、その原因となる疾患が見出せない病像」
・訴えが多様で、医学的に説明が困難
・MUSの中に「機能性身体症候群(FFS)」と「身体症状症(SSD)」が含まれる
MUSに含まれる状態像
① 未知の疾患による身体症状
② 医師の能力不足のために未診断のまま放置されている身体症状
a.身体症状を伴う精神疾患の見逃し
(例:うつ病、認知症、統合失調症など)
b.心因性と誤診された身体疾患
(例:内分泌代謝疾患、膠原病および類縁疾患、悪性疾患、神経変性疾患など)
③ 詐病、虚偽性障害
④ 身体症状症(DSM-5)
鑑別すべき病態
① 薬剤性の除外
サプリメントやOTC薬も確認すること
3つの可能性を考える
・睡眠時無呼吸症候群 :倦怠感、集中力の低下
・低髄圧症候群 :ふらつき、脱力感
・片頭痛 :嘔吐、眩暈、皮膚異痛症
診断手順
① 症状は「局在している」か、「局在していない」かの確認
局在症状:
・両側足関節の痛み
・左半分の頭痛
・胸痛
局在していない症状:
・倦怠感
・発汗
・発熱
・全身痛
② 一般検査
・血液検査一般
・甲状腺ホルモン(TSH、FT4)
副腎皮質ホルモン(コルチゾール、ACTH)
② 炎症反応が陽性の場合
・CRPなどの炎症反応が陽性なら、原因検索が必要
・慢性炎症のマーカー
血清アルブミン低下
ヘモグロビン低下
血沈亢進
血清IgG軽度高値
体重減少
・これらが陽性の場合は、炎症性疾患の検索が必要
血管炎
結核
菌血症
炎症反応が陽性の場合、必要な検査
・体幹造影CT
・消化管内視鏡検査
・血培
・甲状腺ホルモン
・頭部MRI
③ 炎症反応が陰性の場合
・内分泌疾患(甲状腺疾患、副腎皮質機能不全)と神経疾患の検索が必要
・除外すべきは薬剤性
・頭部MRI
不定愁訴にしない“MUS”診療ー病態からマネジメントまで
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